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 インプラント義歯
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インプラント義歯とは?
インプラントとインプラント義歯
  イメージ画像 インプラントとは、失われた歯を補うため、人工の歯の根を顎(あご)の骨の中に埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。
 本来は人工の歯の根のことを、「インプラント」、または「人工歯根」(じんこうしこん)と呼びます。しかし一般的には、治療法も含めて「インプラント」と呼ばれています。
 人工歯根の上に取り付けられた人口の歯のことを、「インプラント義歯」と呼びます。インプラント義歯には、取り外し可能なものや、固定されているものなど、多くの種類があります。
歴史は古いが新しい治療法
   人工の歯を顎に埋め込む治療法は、紀元前から行われている治療法です。しかし、治療法として確立されたのは、ここ数十年の間です。
 通常の義歯ではどうしても安定せず、噛むことが難しい症例では効果的な治療法です。
インプラントに使う材料
   インプラントに用いる材料は身体の中に埋め込まれるため、生体適合に優れていなければなりません。
 生物学的適合性として、無害であること(無毒性)、アレルギー反応を起こさないこと(無アレルギー性)、発ガン物質でないこと(無発ガン性)、腐食しにくい物質(耐食性)を持つ必要があります。
 力学的適合性として、噛みあわせる時に加わる圧力(咬合圧)に耐える強度(機械的強度)と、壊れにくい性質(靭性)、骨と同じようにひずみが生じにくいこと(高い弾性率)が求められます。
 生体組織が拒絶反応を起こさないこと(組織適合性)も要求されます。
 現在、もっとも一般的に使われているインプラントの材料は純チタンとチタン合金です。チタン以外にもハイドロキシアパタイトやセラミックスなども使用されています。

インプラント義歯の治療法は?
すべての歯をインプラント治療することも可能
  イメージ画像 インプラントは、従来から広く行われている治療法のひとつであるブリッジとは異なります。失った歯を補うために、周囲の歯を削らないで済みます。
 天然歯には歯髄(しずい)と歯根膜(しこんまく)が存在するため、歯に加わる刺激を感じることができますが、インプラントではそれらの組織がないため、噛んだ時の感覚は天然の歯と異なります。インプラントを受けている顎の骨にある神経や顎関節(がくかんせつ)でそれらが代償され、天然の歯と同じような感覚を得ることができます。インプラントの本数が多くても、半年〜1年で、噛んだ時の感覚が戻ります。
 義歯やブリッジでは、残存する歯に負担を強いるのに対して、インプラントは単独で埋め込まれて使用することができるため、残存する歯に負担をかけないで済むメリットもあります。
 失った歯が広範囲に及ぶ場合でも、インプラント治療は可能です。
 1本だけ歯がなくなった場合でも、すべての歯がなくなった場合でも、インプラントなら広範囲な治療が可能です。
口の中がスッキリ
   歯がなくなった部分の骨に数本のインプラントを埋め込みます。これを土台として、入れ歯を維持装置で固定します。骨の中に棒状や板状の物を埋め込む方法と、骨と骨膜の間にメタルのフレーム状の物を挟む方法があります。
 従来の入れ歯のように不安定に動くこともなく、歯茎・歯肉で噛むのではなく、骨に力が伝わって噛むので、より良い感触が得られます。
 入れ歯周りの歯に固定する金具・バネもないので、口の中の異物感も少なく、自然な噛み合わせを取り戻すことができます。
インプラント手術
   手術には1回法と2回法があります。どちらの手術でも、基本的に無菌状態(無菌操作)で行います。
 通常の歯科の局所麻酔を施し、次いで植立部の粘膜を切開し、入れる予定のインプラントと同じ幅・長さの穴を開け、インプラントを挿入します。
 1回法が良いか、2回法が良いかは、骨の状態などに左右されます。歯科医師と相談して決めるようにしてください。
  1回法
     一度の手術でインプラントを入れる方法です。
 歯根部と下部構造の支台部が一体になったインプラントを使用し、インプラントの支台部が口腔内に露出した状態で手術を終えます。
 その後、インプラントと骨が結合したら、通常の歯科治療と同じように型(印象)をとり、支台部に人工の歯(上部構造物)を装着します。
  2回法
     歯根部と上部構造の支合部が分かれているインプラントを使うため、二度の手術が必要になります。
 一度目の手術で歯根部を入れて粘膜を閉じ、骨との結合を3ヶ月以上待ちます。再び粘膜を切開して、上部構造の支台部を埋め込みます。
 その後、インプラントと骨が結合したら、通常の歯科治療と同じように型(印象)をとり、支台部に人工の歯(上部構造物)を装着します。

修復物の寿命は?
口の中は過酷な環境
  イメージ画像 修復物の寿命は、修復物が歯に装着されてから使用不可能となるまでの期間です。
 修復物が置かれている歯の表面は、修復物にとってとても厳しい環境です。
 唾液の存在があるため、常に潤滑状態で、噛むことによって自分の体重ほどの力がかかります。0℃〜50℃以上の食べ物が触れる温度変化も大きい環境にあるため、修復物は脱落や破損によって使用不可能になる場合があります。
 修復物自体が使用可能でも、新たな虫歯の発生、歯の神経である歯髄(しずい)の障害などの問題が起こり、使用不可能になる場合もあります。
およその寿命
   修復材料や治療別の平均使用年数を調査した結果では、アマルガムが7.4年、レジンが5.2年、インレーが5.4年、クラウン(鋳造冠)が7.1年、ブリッジが8.0年、ジャケット冠が5.9年、継続歯・差し歯が5.8年です。
 修復物のいずれの寿命も、すべて10年以下でした。
 原因疾患への対処がなく、修復だけを行うのでは、自分の歯を守れないことが明らかになっています。

インプラント義歯の治療の注意は?
治療できない人
  イメージ画像 インプラント治療は、誰にでも受けられるわけではありません。心臓病、糖尿病骨粗鬆症、など、持病のある人、妊娠中の人などは、治療を受けられない場合があります。
 顎の骨の大きさ、骨質によっても、治療が受けられない場合があります。男性と女性ではインプラントを埋め込む部分の骨の幅が異なる場合もありますが、インプラントの種類、長さ、太さは豊富なので、検査結果に合わせて決めることができます。
 顎の骨が成長発育段階では、インプラントの位置が動くなどの不都合が生じるため、通常は顎の発育が安定するまで待つことになります。よほどの理由がない限り、20歳以上が適応年齢となります。
 インプラント治療の前に、生体反応など十分な検査が必要になります。
 インプラントがすべての症例で優れているというわけではなく、義歯やブリッジの方が適している場合も少なくありません。
高額な治療費
   インプラント治療は医療保険外の扱いになっているので、自費で治療を受けることになります。
 インプラントの本数や種類によって治療費は異なります。
 インプラント治療を希望する場合、事前に主治医と相談するようにしましょう。
治療期間
   骨とインプラントがきちんと結合するオッセオインテグレーションが、必要十分条件となります。周囲組織によってうまく固定されるまで、約3ヶ月の期間が必要になります。
 その後、義歯を作るため、不自由な期間が長期間になってしまいます。
 また、歯を失った原因が、虫歯や歯周病の場合、口腔内清掃が十分にできるようになってから、インプラント治療を行う必要があります。
歯科医の技術
   インプラントは人にとっては異物の装置を骨内や骨面上に埋め込むため、専門的な技術と知識が必要な治療法です。
 インプラントの専門医によって実施されるべき治療法です。
治療後の注意術
   インプラントには歯根膜がないため、天然歯よりも強い力で噛むことができ、セラミックなどで作られた上部構造物を壊してしまうこともあります。
 上顎にインプラントがある場合、対応する下顎の歯や、インプラントの隣の歯に必要以上の力が加わり、さまざまな障害が現れることもあります。
 インプラントを入れた後は、患者さんによる徹底した口腔内清掃と、専門家による定期的なチェックが必要です。

インプラント義歯で歯周病は?
歯と歯周病
  イメージ画像 歯は、歯槽骨(しそうこつ)との間に歯根膜(しこんまく)という組織を介して植立しています。歯と歯茎・歯肉は、付着上皮という組織で付いていて、体の中と外を封鎖しています。
 歯周病は、歯周病原因菌による感染症です。炎症が歯茎だけにある時は歯肉炎と呼びます。歯根膜に炎症が及び、歯槽骨が溶けてなくなると歯周病と呼ばれます。
インプラント周囲炎
   インプラントでは、周囲の歯槽骨とインプラント表面が接合した状態で支えられているため、歯根膜がありません。歯茎との境界には付着上皮がなく、粘膜と付いている状態です。そのため、インプラント周囲には歯周組織がないので、歯周病と呼ばれる病気は存在しません。
 しかしインプラントにも周囲組織はあるため、インプラント周囲炎があります。歯周病と同様に、インプラント周囲組織の炎症が起きたり、歯槽骨が溶けてなくなることもあります。
 インプラント周囲炎では、歯周病よりも早く重度に現れます。
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