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放射線皮膚炎


放射線皮膚炎ってどんな病気?

急性放射線皮膚炎と慢性放射性皮膚炎

 

イメージ画像 放射線照射による皮膚障害です。
 短期間に過度の放射線に被曝して起こる急性放射線皮膚炎と、少量の放射線を繰り返し被曝し続けたために起こる慢性放射性皮膚炎があります。

事故や職業病

 

 通常では起こりませんが、悪性腫瘍の治療時や放射線被曝による事故、または仕事で少量の放射線を繰り返し被曝することで発症します。

放射線角化症

 

 急性放射線皮膚炎が治った部位、あるいは少量の放射線を長期間にわたって浴び続けた部位に起こるイボ状の病変です。


放射線皮膚炎の原因は?

事故や職業病

 

イメージ画像 通常では起こりませんが、悪性腫瘍の治療時や放射線被曝による事故、または仕事で少量の放射線を繰り返し被曝することで発症します。
 慢性放射線皮膚炎は放射線治療を受けた人、仕事で放射線を扱う人にみられます。

さまざまな放射線被曝

 

 放射線には、レントゲンに使うエックス線、放射性物質、粒子線などもあります。


放射線の限度量と医療で使う放射線は?

放射線被曝の限度量

 

 放射線の被曝は、できるだけ少ないことに越したことはありません。
 国際放射線防護委員会(ICRP)では、やむを得ない場合の上限値として放射線の線量限度の勧告を行っています。
 1990年(平成2年)、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告によると、放射線作業従事者は5年間で100mSv(100ミリシーベルト)、かつ1年間で50mSv(50ミリシーベルト)となっています。一般公衆(医療行為とは別)では1年間で1mSv(1ミリシーベルト)となっています。

医療で使う放射線

 

 放射線による検査や診断における被曝量は、検査の種類、身体の部位にもよりますが、多くはひとつの検査につき0.1mSv〜数mSvというわずかなものです。
 放射線療法では、ガン細胞に最大のダメージを与えて、健康な細胞には最小限の影響しか与えないように被曝線量は決まっています。
 1日あたり2Gy(2グレイ)、週5日、6週間の計30回で合計60Gy(60グレイ)が標準線量であり、最大線量です。ただしガンの種類や大きさ、進行度によって線量は決定されます。

シーベルトとグレイ

 

 Sv(シーベルト)は、放射線が人体に与える影響を計る単位で、線量当量です。
 Gy(グレイ)は、生体に吸収されるエネルギー量を表す単位で、吸収線量です。


放射線皮膚炎の症状は?

被曝する放射線は異なっても症状は共通

 

イメージ画像 放射線は細胞のDNAを傷害し、細胞分裂に対して強い影響を及ぼします。
 放射線には数種類の性質の異なるものがあるため、被曝による症状の強さは、放射線の種類、強さ、被曝時間などによって異なります。
 放射線の種類を問わず、皮膚症状としては同様の症状が現れます。

急性放射線皮膚炎の症状

 

 短期間に大量の被曝をしたために起こる急性放射線皮膚炎では、重症度によって現れる症状が異なります。

 

軽症の場合

   

 放射線量が8Gy(グレイ)以下の軽症の場合、24時間以内に局所が腫れて赤くなり、軽度の痛みをともなう場合があります。数週間続きますが、しかしその後、褐色の色素沈着を残して治癒します。

 

中等症の場合

   

 中等症の場合、受傷から3日後〜6日後に患部が腫れて小水疱、びらんが現れ、強い刺激痛をともないます。
 軽快するまでに数ヶ月を必要とし、色素沈着、脱毛などの変化を残しやすくなります。

 

重症の場合

   

 重症の場合、熱傷と同様の症状が現れ、難治性の潰瘍を残します。

慢性放射性皮膚炎の症状

 

 慢性放射線皮膚炎の場合、病巣部から皮膚ガンが発生することがあります。
 徐々に落屑(らくせつ)、脱毛が進み、色素が沈着し、小さな外傷も治りにくくなります。角化や潰瘍化が進みます。

放射線角化症の症状

 

 慢性放射線皮膚炎の患部にイボができます。このイボはたくさんでき、白っぽいもの、紅褐色のもの、黒褐色のものがあります。皮膚ガンになる傾向が強く、転移しやすい傾向があります。
 ガンになるのは、慢性放射線皮膚炎が発症してから15年〜20年後です。


放射線皮膚炎の診断は?

慢性放射線皮膚炎

 

イメージ画像 慢性放射性皮膚炎による皮膚ガンを除外診断するために、皮膚を採取して病理組織検査を行う必要があります。
 慢性的に放射線に被曝していないかどうか、チェックする必要があります。

急性放射線皮膚炎

 

 急性放射線皮膚炎の場合、すぐに医師の診察を受け治療を開始する必要があります。

放射線角化症

 

 慢性放射線皮膚炎があり、その患部にできたイボであれば予測がつきます。切り取った組織を病理検査して、診断を確定します。


放射線皮膚炎の治療法は?

急性・慢性放射線皮膚炎

 

イメージ画像 急性放射線皮膚炎の場合、おもに消炎剤軟膏を塗布します。
 慢性放射線皮膚炎の場合、程度に応じて軟膏療法や手術療法などで治療します。

放射線角化症

 

 患部を完全に切り取る切除手術を行います。多くできている場合は、一括して切除し、傷跡は植皮して治療します。
 そのほか、抗ガン剤のフルオロウラシル軟膏を塗る治療法や、液体窒素を使った冷凍外科的療法、レーザー照射などがありますが、完全な治療法とは言えず、再発に注意する必要があります。


放射線皮膚炎かなと思ったら?

皮膚科専門医へ

 

イメージ画像 以前に放射線被曝した部分から隆起性のものができたり、潰瘍が治らなかったりした場合、皮膚科医の診察を受けるようにしましょう。生検と呼ばれる病理組織検査によって、皮膚ガンや前ガン状態になっていないかどうか、検査を受ける必要があります。
 また、慢性放射線皮膚炎のある人は、患部にイボができていないか、時々チェックするようにしましょう。


放射線皮膚炎に関連する病気は?

放射線皮膚炎に関連する病気

 

イメージ画像 事故などによる放射線被曝によって起こる放射線障害、事故や放射線治療によって起こる放射線皮膚炎放射線肺炎、放射線の影響を受けやすい腸管粘膜に起こる放射線腸炎などがあります。この他にも、放射線角化症、放射線膀胱炎などがあります。
 通常、放射線治療によって発症しますが、原子力発電所や放射線を取り扱う機器の事故によって被曝し、発症することもあります。

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