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早期障害 |
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被爆後、数週間以内に現れる障害を早期障害と呼びます。 |
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急性放射線症 |
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短時間で、全身、あるいは身体の広範囲に、高線量の放射線を被爆すると、被曝線量に応じてさまざまな障害が現れます。このような症状を、急性放射線症と呼びます。
前駆期は、被曝後最初の48時間以内です。この時に現れる、食欲不振、悪心、嘔吐、倦怠感などの症状を前駆症状と呼びます。
潜伏期は、前駆期から発症期に至る中間の過程で、疲労感の他には無症状の期間がしばらく続きます。
発症期は、6Gy(グレイ、呼吸線量のこと)以下の被曝で、放射線感受性の高い骨髄の障害がおもに現れます。骨髄が障害されると、白血球減少、血小板減少、貧血がみられるようになります。皮膚には5Gy以上で紅斑や脱毛、25Gy以上で潰瘍、500Gy以上で壊死が現れます。10Gy以上の被曝では、骨髄障害に加えて、消化管障害が現れ、腹痛、嘔吐、下痢などの症状がみられます。
数十Gy以上の被曝になると、骨髄や消化管の障害に加えて、中枢神経系の障害が発生し短時間で死亡します。中枢神経系の障害では、感覚鈍麻、興奮、運動失調、痙攣、意識障害などの症状が現れます。
発症期を乗り越えることができれば、回復期に移行します。 |
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眼障害 |
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水晶体は、眼の組織の中でも、もっとも放射線感受性の高い組織です。
被曝によって水晶体は混濁し、進行すると白内障になります。5Gyの1回被曝、もしくは8Gy以上の分割被曝で白内障が発生します。 |
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生殖機能障害 |
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男性では精原細胞(せいげんさいぼう)、女性では卵母細胞(らんぼさいぼう)が、もっとも放射線感受性の高い組織です。
一時的に不妊の起こる吸収線量は、男性で0.15Gy、女性で0.65Gy〜1.5Gyとなっています。
永久的に不妊の起こる吸収線量は、男性で3.5Gy〜6.0Gy、女性で2.5Gy〜6.0Gyとなっています。 |
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晩発障害 |
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被曝線量が低く、死に至らなかった場合、数ヶ月〜数十年後に白血病や皮膚ガンなどの悪性腫瘍の発生、白内障や老化の促進などの症状が現れます。
このような状態を、晩発障害と呼びます。
わずかな被曝線量でも、長期間被曝することによって遺伝的影響と発ガン性がもっとも問題となります。 |
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後世代的障害 |
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奇形などの胎児障害や、染色体異常などの遺伝的障害などを後世代的障害と呼びます。成長遅延、胎児死亡、出産後の死亡率増加、形態異常、胎児の将来の発ガン性リスクの上昇などがあります。
放射線被曝については、被曝線量、胎児発生の段階(週数)、被曝の回数など、すべて考慮に入れなければなりません。しかし、病院で行う単純エックス線検査、CT検査であれば、ほとんど問題ないと考えてよいでしょう。
検査別の胎児被曝線量 |
検査方法 |
平均被曝線量 |
最大被曝線量 |
単純撮影 |
頭部 |
0.01mGy以下 |
0.01mGy以下 |
胸部 |
0.01mGy以下 |
0.01mGy以下 |
腹部 |
1.4mGy |
4.2mGy |
腰椎 |
1.7mGy |
10mGy |
骨盤部 |
1.1mGy |
4mGy |
CT |
頭部 |
0.005mGy以下 |
0.005mGy以下 |
胸部 |
0.06mGy |
0.96mGy |
腹部 |
8.0mGy |
49mGy |
腰椎 |
2.4mGy |
8.6mGy |
骨盤部 |
25mGy |
79mGy |
下表の「放射線被曝とおもな先天性異常」の見方。しきい値とは、ある線量以上の被曝をすると胎児に影響を与え、それ以下の線量では胎児に影響しないという境界値です。100mGy以下の胎児被曝は、ほとんど問題ないと考えられます。「+++」は感受性が特に高いことを示し、「+」は感受性あり、空欄は感受性なしです。
放射線被曝とおもな先天性異常 |
受精後 |
着床前期 |
器官形成期 |
胎児期 |
しきい値 |
0日〜8日 |
2週〜8週 |
8週〜15週 |
15週〜25週 |
25週以後 |
流産(胎芽・胎児死亡) |
+++ |
+ |
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100mGy以上 |
形態異常 |
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+++ |
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100mGy〜200mGy |
発育遅延 |
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+ |
+ |
+ |
+ |
100mGy以上(動物実験) |
知的障害 |
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+++ |
+ |
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120mGy |
悪性新生物(ガン) |
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+ |
+ |
+ |
+ |
50mGy以上 |
遺伝的影響 |
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1000mGy〜1500mGy(推定) |
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確率的影響と確定的影響 |
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悪性腫瘍や遺伝的障害は、被曝線量の増加にともなって発生頻度が高くなります。これを確率的影響と呼びます。
骨髄障害、皮膚障害、眼障害、性腺機能障害などは、ある一定量以上の被曝で発生します。これを確定的影響と呼びます。 |