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悪性黒色腫


悪性黒色腫の概要は?

おもな症状

 

手のひら・足底・爪の下の褐色の染み
黒色の染み
盛り上がり(口腔や外陰部の粘膜にもできます)
古いホクロの増大

似ている病気

 

褐色から黒色に変化する皮膚の病気は多く、大部分は良性です
母斑細胞母斑
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)
血管拡張性肉芽腫(けっかんかくちょうせいにくげしゅ)
基底細胞ガン

起こりやすい合併症

 

遠隔転移


悪性黒色腫ってどんな病気?

ほくろのがん

 

イメージ画像 悪性黒色腫は悪性度の高い皮膚ガンです。「ホクロのガン」としても、広く知られています。皮膚の色素細胞(メラノサイト)から発生する皮膚ガンの一種です。
 また、色素産生能を持つため、黒褐色の平べったい皮膚病変、あるいは盛り上がった皮膚病変になることが多いです。しかし、色がついてないこともあります。
 口腔、外陰部などの粘膜、眼の結膜などに生じることもあります。


悪性黒色腫の原因は?

人種による違い

 

イメージ画像 発生頻度には人種差がみられ、多い順から、白人、黄色人種、黒人の順になります。

中波長紫外線

 

 露光部の発症が多いことから、日光紫外線、とくに中波長紫外線の関与が指摘されています。

外的刺激

 

 足の裏や指(趾)の爪部(そうぶ)などに生じることから、クギを踏んだり、ドアに指を挟んだりしたなどの外的刺激も悪性黒色腫の誘因と考えられています。


悪性黒色腫の症状は?

転移しやすく予後が悪い

 

イメージ画像 悪性黒色腫は、腫瘍が小さくても、肺、肝臓、脳、骨、リンパ節、皮膚に早期に転移しやすく、予後のきわめて悪い病気です。

4つの型

 

 皮膚原発の悪性黒色腫は以下の4つの型に分類されます。しかし、いずれの型にも分類できない症例もしばしばあります。

 

悪性黒子型

   

 高齢者の露光部、とくに顔面に好発します。
 黒褐色の斑状皮疹と呼ばれる悪性黒子(あくせいこくし)として初発し、次第に拡大したあとに盛り上がりを生じてきます。

 

表在拡大型

   

 白人でもっとも多くみられる病型です。比較的若年者でも発症し、背部や下肢などに好発します。
 近年では日本人でも表在拡大型の増加傾向にあります。その原因としては、生活様式の変化、戸外スポーツの隆盛、衣服のスタイルの変化、オゾン層破壊による紫外線照射量の増加などが指摘されています。

 

末端黒子型(まったんこくしがた)

   

 ホクロのガンといえば、アシの裏、指先が連想されるほど、日本人では最多の病型です。
 爪部に発生した時は黒色色素線状となり、進行すると爪が破壊されてしまいます。

 

結節型

   

 日本人では末端黒子型に次いで多い病型です。しみ出しなどはなく、ドーム状に盛り上がっています。
 悪性黒子型、表在拡大型、末端黒子型では、まず表皮に沿って水平方向に、その後、垂直方向に増殖していくのに対して、結節型は水平方向への拡大がみられないため、見た目には小さくても病気が進行してしまっていることがあります。

肛門部にはも

 

 肛門部の悪性黒色腫は、痔疾患にともなって偶然に発見される場合があります。腫瘍が大きくなると、痛み、出血、しこりなどの症状がみられます。鼠径部(そけいぶ)に硬いリンパ節を触れることもあります。
 治療法は、ほかに転移がみられなければ、鼠径リンパ節郭清をともなう直腸切断術、または局所切除術が行われます。


悪性黒色腫の診断は?

病理組織検査が必要

 

イメージ画像 病変を詳細に観察することで診断できることも多いです。最終的には、病理組織検査が必要となります。
 血行性に転移しやすいため、悪性黒色腫が疑われる場合、外来でむやみに生検せず、手術が行える準備のもとに入院し、ただちに迅速組織診断が行われます。

腫瘍マーカー

 

 血中および尿中のメラニン産生の中間代謝産物である5-S-CDが腫瘍マーカーとなりますが、初期病変ではあまり参考にはなりません。

ABCD診断基準

 

 悪性黒色腫には、診断に役立つABCD診断基準があります。
 悪性黒色腫は通常の後天性色素性母斑と比べると、以下のA・B・C・Dの特徴を呈することが多いです。

A Asymmetry 非対称性形状
B Border irregularity 不規則な境界
C Color variegation 多彩な色調
D Diameter enlargement 大きな直径:6mm以上

腫瘍マーカーとは?

腫瘍から出る特異な物質

 

イメージ画像 腫瘍マーカーとは通常、腫瘍ができるとその表面に特異的に発現してくる物質で、腫瘍の大きさ、広がりに応じて、血液中にその物質がたくさん流入してきます。
 腫瘍マーカーは、腫瘍の発生している臓器と強い特異性があるため、血液検査で高値を示すようなら、その臓器に腫瘍があることが推測されます。

さまざまな腫瘍マーカー

 

 婦人科の腫瘍で特に特異性があるものに、CA125があります。この腫瘍マーカーは卵巣腫瘍、とくに卵巣ガンの場合に高値を示します。ただし他の腫瘍マーカーでも同様ですが、子宮内膜症などの他の病気でも高値を示すことがあるため、CA125の検査値が上がったからといって、すぐに卵巣ガンだと診断することはできません。
 CA19-9は、婦人科以外の腫瘍でも高値を示すことが知られていますが、婦人科腫瘍では卵巣腫瘍、とくに成熟嚢胞性奇形腫で高値を示すことがあります。
 卵巣ガンは、いわゆる腺ガンであることが多いのですが、扁平上皮ガンが多い子宮頸ガンでは、SCCという腫瘍マーカーがよく高値になります。
 胎盤から分泌されるhCGという腫瘍マーカーは、胞状奇胎(ほうじょうきたい)、絨毛ガンなどで高値を示します。

腫瘍マーカーで確定診断にはなりません

 

 これらの腫瘍マーカーは、一般的に病気の病状に従って増減します。しかし診断上の意義は、画像診断などを含めた検査の一部に過ぎないことを頭に入れておくことが大切です。


悪性黒色腫の治療法は?

手術療法

 

イメージ画像 おもな治療法は手術療法になります。
 予後は悪性黒色腫の肉眼的な大きさとは関係ありません。病理組織検査による腫瘍の厚さに関係してきます。
 そのため、手術後の治療計画などを立てた上での全切除生検を行い、病期を決定するとともに、それぞれの患者さんに合った治療法を選択します。抗ガン薬による化学療法は、切除したあとの再発や転移を予防する目的で行われます。
 放射線療法は、悪性黒色腫には効きにくいと考えられていますが、皮膚転移に対して、温熱療法と組み合わせて行われることがあります。


悪性黒色腫かなと思ったら?

自己診断は厳禁

 

イメージ画像 黒褐色調のできもののすべてが悪性黒色腫ではありません。むしろ悪性黒色腫の頻度は少ないのですが、自己診断は禁物です。
 早期発見し、治療を開始することが第一であることから、生後に生じたホクロである後天性色素性母斑(こうてんせいしきそせいぼはん)で、ABCD診断基準に示すような変化がみられたら、ためらうことなく皮膚科専門医を受診するようにしましょう。
 生まれた時からあるホクロである先天性色素性母斑であっても同様です。

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