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脳腫瘍


脳腫瘍の概要は?

おもな症状

 

頭痛
吐き気
嘔吐
痙攣発作
進行性の片麻痺
意識障害

似ている病気

 

慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)
脳膿瘍(のうのうよう)
痴呆(ちほう)


脳腫瘍ってどんな病気?

頭蓋骨内にできる腫瘍

 

イメージ画像 頭蓋骨の中にできる腫瘍です。
 身体の他の部位にできたガンが転移してくる転移性脳腫瘍(てんいせいのうしゅよう)と、脳そのものから腫瘍ができる原発性脳腫瘍(げんぱつせいのうしゅよう)に分類されます。原発性脳腫瘍はさらに、良性脳腫瘍と悪性脳腫瘍とに分類されます。

手術で最終的に診断される

 

 診断は、手術で取り出した腫瘍を顕微鏡で観察して最終的に決定されます。
 一般的に、悪性脳腫瘍は周囲に根を生やすように発育します。良性脳腫瘍は周囲の脳と境界を持って徐々にまわりを圧迫しながら大きくなります。

多発年齢と部位

 

 脳腫瘍の種類によって発生しやすい年齢があります。成人に多い腫瘍は、大脳と呼ばれる脳の上半分に多く発生します。小児に多い腫瘍は、小脳と呼ばれる脳の下半分、脳の中心である脳幹(のうかん)に多く発生します。

脳腫瘍の数

 

 多くの脳腫瘍は、脳の中にひとつだけ発生します。
 転移性脳腫瘍、悪性リンパ腫では、2つ以上できることもあります。


小児の脳腫瘍ってどんな病気?

成人とは異なる特徴

 

イメージ画像 小児悪性腫瘍の中で、脳腫瘍は白血病に次いで多くみられる病気です。
 発育・発達期にある小児の中枢神経系に発生した脳腫瘍は、成人に発生する脳腫瘍とは異なる特徴があります。
 脳腫瘍の種類では、髄芽細胞腫(ずいがさいぼうしゅ)、星細胞腫(せいさいぼうしゅ)、脳室上衣腫(のうしつじょういしゅ)、頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)が多くみられます。

年齢によって異なる脳腫瘍

 

 発生部位では、成人に比べて脳の中心部に発生するものが多く、テント下と呼ばれる後頭蓋窩(こうとうがいか)に多くみられます。
 1歳以下ではテント上、1歳〜10歳まではテント下、10歳を過ぎると再びテント上が多くなり、年齢によって好発部位が異なります。これは年齢によって発生しやすい脳腫瘍の種類が異なるためです。

予後

 

 治療法の進歩によって良好な予後の期待ができる脳腫瘍もあれば、悪性度の高い脳腫瘍、発生部位によっては予後不良の脳腫瘍も多くみられます。


脳腫瘍の原因は?

転移性脳腫瘍

 

イメージ画像 身体のほかの部位にできたガンが、脳に転移して発生します。

原発性脳腫瘍

 

 原因はまだわかっていません。
 原発性脳腫瘍の年間発生率は、人口10万人に10人〜15人といわれています。
 遺伝性、家族性のみられる脳腫瘍があります。神経線維腫症(しんけいせんいしゅしょう・NF2)では、聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)や、髄膜腫(ずいまくしゅ)が発生しやすいことが知られています。


脳腫瘍の症状は?

早朝の強い頭痛

 

イメージ画像 脳腫瘍の一般的な症状は、早朝に強い頭痛があることです。
 くも膜下出血などとは異なり、突然の強い頭痛に襲われることは多くありません。

頭蓋内圧亢進症の症状

 

 脳そのものは硬い頭蓋骨で保護されているため、内部に脳腫瘍ができると頭蓋骨の内部で圧力があがります。これを頭蓋内圧亢進症状(ずがいないあつこうしんしょうじょう)と呼びます。
 頭蓋内圧亢進症状には、頭痛、吐き気、嘔吐、眼がぼやけるなどの症状があり、進行すると意識が低下する場合があります。
 成人では、今までにてんかん発作がない人に、初めててんかん発作を起こした場合、脳腫瘍が強く疑われます。

その他の症状

 

 徐々に進行する麻痺や感覚障害、言語の障害、視野が一部欠ける、性格の変化、乳汁分泌、不妊症などの内分泌障害などの症状があります。
 乳幼児では頭の大きさが大きくなる頭囲拡大がみられることがあります。

小児の症状

 

 脳腫瘍の脳内の発生部位、脳腫瘍の種類、年齢などによって症状が異なります。
 脳腫瘍が大きくなると、意識障害、痙攣、性格変化、頭蓋内圧亢進症状(頭痛、嘔吐、うっ血乳頭など)、局所症状(片麻痺、視野欠損、失語症)がみられます。
 1歳半以下の乳幼児では頭蓋縫合(ずがいほうごう)が閉鎖していないため、頭蓋内圧亢進症状が縫合離開(ほうごうりかい)や頭囲拡大によって代償されて現れにくいこともあります。


脳腫瘍の診断は?

脳神経外科医による検査

 

イメージ画像 脳神経外科医の診察を受けます。
 検査の方法は、CTやMRIで、腫瘍の形や位置を診断します。
 次に治療方法を決定するために、ホルモン検査、視野検査、聴力検査、脳血管撮影、CTによる細かい骨の断層撮影、核医学検査、PET(ポジトロンエミショントモグラフィー)などが、腫瘍の型や位置によって追加検査として行われます。

手術による検査

 

 場合によっては、手術室で頭蓋骨に小さな穴を開けて腫瘍組織を取り出す生検術、内視鏡を使った生検術を行い、治療方針を決定することもあります。
 頭蓋内圧が高くない場合には、腰から針を刺して脊髄の周りを流れる髄液を取り出し、腫瘍細胞を検査することがあります。

全身に転移がないか

 

 転移性脳腫瘍が疑われる場合は、全身にガンがないかどうかを検査します。

最終的な診断は

 

 腫瘍の種類を決定するには、生検術か手術によって切除した腫瘍を病理診断医が診断する必要があります。これが最終的な診断になります。


脳腫瘍の治療法は?

外科手術が基本

 

イメージ画像 脳腫瘍の治療の基本は、手術による切除です。
 手術の目的は、病変を切除することと、切除した腫瘍を病理診断医に診てもらい種類を特定することです。

原発性脳腫瘍

 

 原発性良性脳腫瘍の多くは、手術によって全部切除することが可能です。
 原発性悪性脳腫瘍は、周囲の神経に沿って発育していることが多いので、手術でその大部分を切除したあと、放射線治療や抗ガン薬を使った化学療法、免疫療法が行われます。

最近の手術方法

 

 最近では、脳神経外科医が行う手術は、手術顕微鏡を使った手術に加え、内視鏡の使用、手術中にMRIやCT画像を見ながら手術を進行させる手術支援システムの使用、腫瘍細胞を発行させる方法、頭蓋骨をドリルで細かく切除する方法、脳の血管に他の場所から血管を移植する方法など、多くの技術革新があり、手術成績は向上しています。

検査によって異なる治療法

 

 生検術やホルモン検査などで腫瘍の種類が特定された場合、手術療法よりも薬物療法や放射線治療が最初から選択されることもあります。

研究中の治療法

 

 基礎研究から臨床へ応用されようとしている治療方法として、遺伝子治療、温熱療法があります。


小児の脳腫瘍の治療法は?

成人と異なる治療

 

イメージ画像 治療法は脳腫瘍の種類、脳内での発生部位、年齢によって異なります。
 外科的手術、放射線治療、化学療法が行われますが、場合によってはそれぞれを組み合わせた集約的治療が行われます。

外科的治療

 

 主要全摘出術が理想ですが、腫瘍の存在部位によっては困難であることも少なくありません。
 閉塞性水頭症(へいそくせいすいとうしょう)が合併していることもあり、症状軽減のために脳室シャント術も行われます。

放射線治療

 

 脳腫瘍の種類によっては効果のある場合があります。他の治療と組み合わせて行われます。
 副反応として、放射線によって脳腫瘍以外の正常神経細胞の障害を起こすことがあります。

化学療法

 

 いくつかの化学療法薬を組み合わせて行われます。


脳腫瘍かなと思ったら?

脳神経外科へ

 

イメージ画像 脳神経外科を受診するようにしましょう。
 現在では、CTスキャン、MRI(磁気共鳴画像)などの検査によって、確実に診断できるようになりました。

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