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多汗症


多汗症(たかんしょう)の概要は?

おもな症状

 

わずかな刺激によって起こる全身、手のひら、足の裏、脇の下などの強い発汗

似ている病気

 

腋臭症(ワキガ)

起こりやすい合併症

 

バセドウ病
糖尿病
アルコール中毒
足白癬(あしはくせん、水虫)
汗疱


多汗症(たかんしょう)ってどんな病気?

必要以上に汗が出る

 

 汗は体温調節を行っています。体温が上がると汗が出て、汗の気化熱によって体温を下げます。
 必要以上に汗が出て、皮膚の表面が汗で濡れてしまう状態を多汗症と呼びます。


多汗症(たかんしょう)の原因は?

汗の種類

 

イメージ画像 通常では、汗は全身に分布するエクリン腺から分泌されます。
 汗の種類にはいくつかの種類があります。

 

温熱性発汗

   

 温度を調節するための発汗のため、全身に発汗します。温度が高いときに出る汗です。

 

精神性発汗

   

 精神的に緊張したときに出る汗です。手に汗を握るとか、冷や汗をかくという表現のときにみられる汗のことです。

 

味覚性発汗

   

 香辛料や、熱い食べ物を食べたときに出る汗です。おもに、顔や頭からみられる発汗で、とくに強く発汗する場合には、限局性多汗症ともいえます。

多汗症の種類

 

続発性多汗症

   

 原因となる病気のために生じる多汗症。

 

原発性多汗症

   

 とくにこれといって原因となる病気がなく、健康な人に発生する多汗症。

 

全身性多汗症

   

 多汗部位が、ほぼ全身に広がっている多汗症。わずかな温熱や運動で、強く発汗する状態をいいます。
 大部分の人は、体質によるものです。乳幼児、新陳代謝の活発な青年、運動をする人は、強く発汗します。生理的なもので、運動で汗かきの人は、運動をしないで汗をかかない生活をしている人に比べて、汗腺が数倍〜十数倍も大きく発達しているといわれています。

 

限局性多汗症

   

 局所性多汗症ともいいます。体の一部で発汗が増える多汗症。ちょっとした精神的な緊張で、手のひら、足の裏、腋の下などに強く発汗します。先天的、遺伝的な傾向がみられます。


多汗症(たかんしょう)の症状は?

限局性多汗症

 

 多くの場合、腋の下、手のひら、足の裏に発生します。
 これらの部位は、精神性発汗部位であり、精神的緊張によって発汗が増えます。
 手のひら、足の裏の多汗症は、病気のない健康な若い人に多く発症します。

 

手のひら

   

 手から汗が滴り落ちるほどの汗の量が多い人もいます。
 手のひらの多汗症では、手で触れるものが汗で濡れてしまうため、書類などが濡れて困っている場合が多いです。また、他人に手を触れたり、触れられたりすることを避け、劣等感を持っていることが多いです。

 

足の裏

   

 足の裏に多汗症があると、ニオイの原因になったり、足白癬(あしはくせん、水虫のこと)や、細菌感染を起しやすくなります。

全身性多汗症・原発性多汗症

 

 全身性多汗症では、感染症、内分泌・代謝性疾患、膠原病(こうげんびょう)、悪性腫瘍、中枢神経疾患などが原因になっていることがあります。
 特に原因となる疾患のない原発性全身性多汗症もあります。

肥満・更年期障害など

 

 肥満症の多汗症は、重い体重の体温調節のために必要な発汗です。
 更年期の女性に多い多汗症は、性ホルモンの失調が原因とされています。
 妊娠中の多汗症は、黄体ホルモンの増加が原因とされています。
 バセドウ病、糖尿病、アルコール中毒などでも多汗をしめし、多汗の症状がこれらの病気の発見の手がかりとなることがあります。


多汗症(たかんしょう)の診断は?

検査は簡単

 

イメージ画像 発汗量が多い場合は、目視によって確認したり、手で触れるだけで多汗の有無を判断できます。
 客観的に判断したり、治療効果を判定する場合は、汗を吸い取ると青紫色に変色するヨード紙、発汗記録計を使って、発汗量を測定します。

原因となる疾患を探す

 

 全身性多汗症では、原因になっている疾患を検査します。
 甲状腺機能亢進症が疑われる場合は、甲状腺機能検査を行います。褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)が疑われる場合は、尿中のカテコールアミン代謝産物を測定します。


多汗症(たかんしょう)の治療法は?

治療には長所と短所

 

 多汗症の治療法には、外用薬治療、水道水イオントフォレーシス、交感神経切除治療などがあります。それぞれの治療には、長所と短所があり、決定的な治療法は見付かっていません。

外用薬治療

 

イメージ画像 外用薬としては、塩化アルミニウム液、塩化ベンザルコニウム液などが使用されます。
 外用薬は1日1回、就寝前に使用します。

水道水イオントフォレーシス

 

 水道水イオントフォレーシスは、手のひら、足の裏、腋の下の多汗症の治療に適した治療法です。多汗部位を水道水に浸し、直流電流を流します。
 ただし、治療を中止すると発汗は元の状態に戻ってしまいます。
 最近では、水道水イオントフォレーシスに用いる、乾電池式の装置が市販されています。

胸部交感神経節切除術

 

イメージ画像 手のひらの多汗症の症状が強い場合には、胸腔鏡を使った胸部交感神経節切除術という手術があります。
 この方法では、確実に手のひらの汗を止めることができますが、欠点として多くの人に代償性多汗があらわれてしまいます。代償性多汗とは、体のほかの部位に多汗があらわれることで、背中や腹などに多く見られます。

その他の治療法

 

イメージ画像 精神の安静が必要となります。薬物療法として、精神安定剤、交感神経遮断剤が有効ですが、効果は一時的で、長期間使用することはできません。
 また日常的な対策としては、タバコ、アルコール、香辛料の飲みすぎ・食べすぎなどは慎みましょう。


多汗症(たかんしょう)かなと思ったら?

成長とともに改善することも

 

イメージ画像 大部分のものは、放置していても大丈夫です。手のひらの多汗症は、思春期にあらわれやすく、成長とともに軽くなっていきます。
 さまざまな治療法があり、それぞれに長所と短所があります。自分にもっとも適した方法を選ぶことが大切です。
 他の疾患が合併していないかに関しては、注意をしましょう。

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