そらいろネット > 家庭の医学 > 皮膚の病気 > 尋常性乾癬
鱗屑をともなう大小さまざまな角化性紅斑
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん) ジベールばら色粃糠疹(ひこうしん) 股部白癬(こぶはくせん) 局面性類乾癬 慢性湿疹(まんせいしっしん)
汎発性膿疱性乾癬(はんぱつせいのうほうせいかんせん) 関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん) 乾癬続発性紅皮症(かんせんぞくはつせいこうひしょう)
尋常性乾癬は皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に雲母のような白い垢(あか)が厚く付着します。その一部は、ポロポロと剥がれ落ちる病気です。全身性に多発し、慢性に経過する病気です。長年に渡って良くなったかと思うと、また悪化することを繰り返します。 乾癬(かんせん)という言葉から、人に感染する病気だと勘違いされることがありますが、まわりの人に感染する病気ではありません。
医学の世界では「尋常性」とは、「普通の」や「ありふれた」といった意味となります。 尋常性乾癬は、普通の乾癬という意味で、乾癬の中ではもっとも患者さんの多い皮膚病です。
日本では3万人〜16万人の患者さんがいると推定されていますが、最近では増加傾向にあります。 男女比では、2対1で男性に多い病気です。年齢では30代〜40代に発病します。女性は男性と違って、10代と50代に発病のピークがあります。
尋常性乾癬の起こる原因やメカニズムは、まだわかっていません。 血縁の家族内に乾癬がみられる場合もあり、体質が発病に関係しているとも考えられています。日本の調査では、家族内に乾癬の人がいる場合は、全体の5%で多くありません。
乾癬が起きやすい体質には、扁桃腺炎などの感染症、薬物、外傷などの外的因子、肝臓病、糖尿病、ストレスなどの内的因子が複雑に絡み合って発病したり、悪化したりするものと考えられています。 戦後に増加した病気で、もともとは欧米人に多い病気です。食事の西洋化が関係しているのではないかとも考えられています。 家庭の医学:急性扁桃炎とは? 家庭の医学:慢性扁桃炎とは?
ひとつひとつの発疹は、にきびのような赤いブツブツで始まります。境界がはっきりわかり、表面に特徴的な銀白色で雲母状の鱗屑をともなう角化性紅斑が多発します。大きさはさまざまで、色は淡紅色〜鮮紅色まであります。次第に周りに拡大するとともに、厚い垢を持つようになります。 大きさは一定していませんがある時を境にして、良くなってくるということを繰り返します。 頭髪に覆われたところに、脂漏性皮膚炎様病変で初発することが多いです。
乾癬はケブネル現象といって、擦ったり傷付けたりしたところに、数日してから新しい発疹が出てくることがあります。 体のなかでは、良く擦れる部分の肘、膝、尻、顔などから発疹ができたり、発疹がひどかったりする傾向があります。 尋常性乾癬は、良くなったり、悪くなったりと、長年にわたって繰り返す経過の長い病気です。
爪が白く厚ぼったくなったり、爪水虫(つめみずむし)と間違えられることもあります。 なにかのきっかけで急激に悪化する場合は、膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)や関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん)などの重症型になることがあります。 家庭の医学:水虫・足白癬とは?
特徴的な発疹、発疹の分布、経過から判断します。 普通は内臓の異常はありませんが、糖尿病、高血圧、肝臓病を合併していることがあるので、検査で確認する必要があります。 また、薬の副作用によって乾癬のような発疹が出てくることもあります。 家庭の医学:薬疹とは?
治療効果がみられない場合や、経過の長い場合には、発疹の一部を切り取り、顕微鏡で調べる組織検査を行い診断を確定します。
外用薬、内服薬、光線療法など、さまざまな治療法があります。 症状の軽い場合には、外用薬で治療を行います。症状が重くなると、内服薬や光線療法で治療を行います。
外用薬では、ステロイド薬が多く使用されます。 ステロイド薬以外では、ステロイド薬ほどの即効性はありませんが、副作用が軽微なため活性型ビタミンD3外用薬もあわせて使用します。 以前から使用されてきた外用薬としては、タールやアンスラリンなどがありますが、現在では一部の病院でしか使用されていません。
内服薬では、ビタミンA類似物質のエトレチナート(チガソン)、免疫抑制薬のシクロスポリン(ネオーラル)が使用され、一定の効果が得られています。
光線療法では、紫外線の増感剤のメトキサレン(オクソラレン)を発疹部位に塗り、紫外線をあてる治療法で、PUVA療法と呼ばれています。 乾癬が全身にある場合は、入院して内服のメトキサレンを使用し、PUVA療法を行う場合もあります。 最近では、PUVA療法に代わる光線療法として、特定の紫外線波長を利用したナローバンドUVB療法が利用されるようになってきました。
さまざまな治療法が開発されていますが、どの治療法も一長一短があるため、うまく組み合わせて症状をコントロールすることが大切となります。
皮膚科専門医のいる病院を受診しましょう。医師と良く相談し、治療法を決めていきます。長期にわたって、根気強く治療を受ける必要があります。 重症の場合には、入院治療が必要になることもあります。
アントニオ猪木さんのモノマネで有名な春一番さんが、乾癬を患った経験があります。乾癬を治す免疫抑制剤の副作用から、腎不全になってしまい入院し、さらに肺気腫を併発して肺の手術を3回受けています。 医師にも回復は望めないと告げられていましたが、アントニオ猪木さんに闘魂を注入されたのをきっかけに、体調は回復しました。