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ポリオ・急性灰白髄炎


ポリオ・急性灰白髄炎の概要は?

おもな症状

 

初期は軽い発熱
手・足・首・背・腹の麻痺
筋の萎縮

似ている病気

 

コクサッキーウイルス感染症
エコーウイルス感染症


ポリオ・急性灰白髄炎ってどんな病気?

ポリオウイルスによる急性ウイルス感染症

 

イメージ画像 ポリオ・急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)は、ポリオウイルスの中枢神経組織への感染によって引き起こされる急性ウイルス感染症です。一般的には、小児麻痺(しょうにまひ)として、良く知られています。
 脊髄の前角細胞と呼ばれる運動神経細胞が破壊され、左右非対称性の麻痺を残す病気です。
 ポリオウイルスはエンテロウイルスに属するRNAウイルスです。1型、2型、3型に分類されます。
 経口感染したポリオウイルスは、おもに腸管や咽頭(いんとう)で増殖し、便の中に多くのウイルスが排泄されます。便の中に数週間、ウイルスが排泄されます。咳やくしゃみで飛沫感染することもあります。

ワクチンが効果的

 

 古代エジプトの壁画にポリオが示唆された描写が残されています。20世紀に入ってから、欧米各国で大流行がみられました。
 日本ではワクチン接種の普及によって、1960年代初頭の大流行以降、ポリオの流行は起こっていません。7月〜9月に流行が多発しています。乳幼児に多く発病し、4歳以下で90%を占めます。
 1988年にWHO(世界保健機構)が世界ポリオ根絶計画が提唱されました。その結果、世界のポリオ患者は激減しました。
 日本含む西太平洋地域では、2000年にポリオ根絶が宣言されました。2003年のポリオ流行国はナイジェリア、インドなど6ヶ国までに減少しました。近い将来、世界的なポリオ根絶が期待されています。


ポリオ・急性灰白髄炎の原因は?

ポリオウイルス

 

イメージ画像 ポリオウイルスによる感染症です。
 経口感染し、潜伏期間は3日〜21日です。多くの場合、潜伏期間は1週間〜2週間です。


ポリオ・急性灰白髄炎の症状は?

障害が残ることが多い

 

イメージ画像 軽い発熱が1日〜5日続きます。熱が下がると、手や足が麻痺していることに気が付きます。
 麻痺する部位は片側の下肢に多いのが特徴で、次いで手、頸部、背、腹部などの筋肉にもみられます。麻痺が始まった時は範囲も広く、程度も重いように見えますが、回復期になると範囲も狭くなり、程度も軽くなっていきます。最後まで残った麻痺の部位は、筋肉や骨が萎縮して細くなっていきます。
 ポリオの典型的な臨床症状です。呼吸筋麻痺によって死に至る場合もあります。
 ポリオによる不可逆的な運動神経麻痺によって、一生、ハンディキャップを背負う子供も少なくありません。

典型的なポリオ発症は感染者の1%以下

 

 ポリオウイルスに感染したすべての人が発症するわけではありません。
 典型的なポリオ発症の割合は、感染者の1%以下です。感染者の90%〜95%は無症状に経過します。感染者の数%に感冒様症状、下痢、無菌性髄膜炎が発症します。症状が現れた人の5人に1人程度、年長児や成人で解熱の前後に麻痺が現れます。
 麻痺は片側の下肢に多く、筋肉も萎縮していきます。


ポリオ・急性灰白髄炎の診断は?

ポリオウイルスの同定

 

イメージ画像 急性弛緩性麻痺と呼ばれるポリオ様疾患は、ポリオウイルス以外のエンテロウイルス、ギラン・バレー症候群によって発症する場合も多いです。そのため、臨床検体からのポリオウイルスの分離同定によって、確定診断を行う必要があります。
 発症後すぐに便を採取して、細胞培養でウイルスを分離した後、中和法によりポリオウイルスの同定を行います。

遺伝子解析

 

 ポリオウイルスが分離された場合、遺伝子解析などの方法によってワクチン株か、野生株かの判別を行います。


ポリオ・急性灰白髄炎の治療法は?

治療薬はなくワクチンで予防

 

イメージ画像 ポリオには市販されている治療薬はありません。発症後は対症療法、リハビリテーションを行うことになります。
 安全性と有効性に優れた予防法として、ポリオワクチンが全世界で使用されています。
 ポリオワクチンには、大きく分けて弱毒化生ワクチンと、不活化ワクチンの2種類があります。どちらのワクチンも、ポリオに対する感染を防ぐ効果があります。

弱毒性生ワクチンと不活化ワクチン

 

 日本を含む多くの国で、安価で投与しやすい弱毒化生ワクチンが使用されています。弱毒化生ワクチンは、ポリオ根絶に大きな貢献をしています。
 多くの先進国では、ごくまれに起こる弱毒性生ワクチンによる重い副反応のリスクを減らすため、不活化ワクチンの導入が進められています。


ポリオ・急性灰白髄炎かなと思ったら?

小児科へ

 

イメージ画像 ポリオは感染症法によって2類感染症に分類されています。診断した医師はただちに、保健所に届け出る必要があります。
 まれなケースですが、弱毒化生ワクチンの副反応によってワクチン接種者や接種者がポリオを発症することがあります。
 症状からポリオ様症状が疑われる場合、発症後できるだけすみやかに適切な臨床検体を採取し、ウイルス分離同定による確定診断を行う必要があります。


ポリオ・急性灰白髄炎の予防法は?

予防接種を

 

イメージ画像 おもな感染源は糞便中にいるウイルスですが、咽喉にいるウイルスでも感染源になります。そのため患者さんは、入院して治療し、糞便、鼻や咽喉の分泌物で汚染された物は消毒します。
 予防にもっとも効果があるのは、予防接種です。日本では国産不活化ワクチン導入が2012年度に見込まれています。
 ポリオ常在国であるナイジェリア、インド、パキスタン、アフガニスタンや、その周辺諸国へ長期間渡航する場合は、予防接種が推奨されます。南アジア、中近東、アフリカでは感染する可能性があります。

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