そらいろネット > 家庭の医学 > こころの病気 > 詐病・虚偽性障害
一般的には「仮病」と呼ばれることもある病気です。実利目的で病気の真似をします。 体の病気では、頸椎捻挫(むちうち症)、弱視・失明の病気を真似る人が多いです。精神病の真似をする人もいます。 逆に、線維筋痛症、慢性疲労症候群など、検査で異常を見付けるのできない病気の患者さんが、詐病扱いされて精神的に追い込まれるケースもあります。
自ら症状を作り出しては、病院で検査を受けたり、救急外来の受診を繰り返す人がいます。 病気ではないのに急性の腹痛を訴えて手術を要求したり、入院後に点滴の中に汚物を混入して高熱を出したりします。 このようなケースを「虚偽性障害」と呼びます。
身体症状を長年に渡って産出し続ける場合は、ドイツの小説『ほらふき男爵の冒険』に登場するミュンヒハウゼン男爵の名前にちなんで、「ミュンヒハウゼン症候群」と呼びます。
ミュンヒハウゼン症候群の一形態で、傷害の対象が自分自身ではなく他の代理のものになります。子供を持つ母親に多く見られ、傷付ける対象も多くは自分の子供です。不必要な薬を与えて体調を悪くさせ、救急病院に連れて行くなどします。 これは、小児虐待の亜型ともいえるでしょう。
仕事、試験、兵役、刑事訴追から逃れる、保険金や社会保障などを不正受給するためなど、実利的な目的で行なわれます。
詐病と違って明らかな目的はなく、ただ「病院の患者」になりたいための行動です。
ミュンヒハウゼン症候群に罹患する原因は、小児期の手術の経験が大きく影響されます。そのときの記憶が相手の同情や気を引くために手術や入院を要する病気を作り出す行為を繰り返します。
子どもに対する親心の操作、懸命で健気な子育てを演じて他人に見せることによって同情をひいたり、人間関係の操作を行い自己満足を得ることが原因となります。
詐病の場合は、その症状が役に立たなくなった時点で、症状は消失します。
虚偽性障害の場合は、病院への入退院がライフスタイルになっているケースが多いです。早めに診断を下し、無意味な検査、試験開腹などをしないことが、まず大切になります。 境界性人格障害・パーソナリティー障害との関わりが指摘されていますが、根本的な治療法は確立されていません。
虚偽の病気による手術や入院を繰り返すため、治療による薬や手術の副作用などにより、予後は良くありません。
傷害の対象と患者を隔離すれば、直ちに傷害は改善します。しかし、ミュンヒハウゼン症候群の治療法そのものは、まだ確立されていません。