そらいろネット > 家庭の医学 > こころの病気 > むずむず脚症候群・レストレスレッグス症候群
眠っている間に、下肢・脚がむずむずして、じっとしていられなくなる不眠を招く病気です。 ドパミン神経系の機能障害が原因ではないかと考えられています。
むずむず脚症候群は徐々に進行していくともいわれています。 一般の人はもちろんのこと、医師の間でもまだあまり知られていない病気です。自分の症状が病気だと気付いていない場合や、病院に行っても医師に理解してもらえないことも少なくありません。
欧米人に比べると日本人には少ないと考えられていますが、人口の2%〜5%の潜在患者さんがいると考えられています。その中で治療が必要な患者さんは約200万人と推定されています。 おもに40歳以上の中高年に多く、男性に比べて女性の患者さんの方が多いです。まれに小児にもみられます。 不眠症の患者さんの1割が、むずむず脚症候群の患者さんだとも考えられています。
むずむず脚症候群の原因はまだ明らかにはなっていません。 有力な説としては、脳内の神経伝達物質のひとつであるドパミンの機能低下、鉄欠乏が関与していると考えられています。 ドパミンは、さまざまな運動機能を潤滑にするはたらきをします。鉄はドパミンを作る過程で欠かすことのできない物質です。鉄欠乏によってドパミンがうまくはたらかない症状を引き起こすのではと考えられています。
原因がはっきりわからないもの一次性のものと、他の病気や薬などが原因となって起こる二次性のものとに分類できます。 二次性の原因としては、慢性腎不全の透析中、鉄欠乏性貧血、妊娠、糖尿病、パーキンソン病、関節リウマチなどがあります。
下肢の深部に、「むずむずする」、「虫がはうようだ」などと表現される耐えがたい異常感覚、不快感が生じ、じっとしていられなくなります。 むずむず感が悪化してくると、上半身にも広がることもがります。
むずむず脚症候群は、睡眠時、安静時、夕方〜夜間に出現することが多いです。足を動かすことによって一時的に消失します。そのため、夜間の不眠、日中の眠気が生じ、日常生活の質の低下を起こしてしまいます。 また、睡眠中に足首や膝などが急に曲がる不随意運動の反復を起こす周期性四肢運動障害が多くみられます。
むずむず感などの症状は、鉄欠乏性貧血、妊娠、尿毒症、糖尿病、悪性腫瘍などにともなって生じたり、加齢によって出現したりします。 また、身体の疲労によって悪化します。
むずむず脚症候群の診断は、問診を中心に行ないます。 他の病気との鑑別のため、より確実に診断するために検査をすることもあります。睡眠の状態や睡眠中の身体機能を測定する終夜睡眠ポリグラフィ検査。貧血、鉄欠乏、糖尿病などの基礎疾患の有無を検査する血液検査を行ないます。 注意する病気としては、坐骨神経痛、末梢神経障害、うつ病などがあります。
クロナゼパム、メシル酸ブロモクリプチン、レボトパ(L-ドパ)、カルバマゼピンなどの薬物が有効です。
むずむず脚症候群は、筋肉や皮膚の病気ではありません。中枢神経に関係する病気なので、睡眠専門医か、神経内科医の受診を受けるようにしましょう。