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さまざまな症状 |
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食べ物の多くは、体内で代謝され、大部分は水と炭酸ガスになります。
蛋白質などは窒素代謝産物(尿素窒素、尿酸、クレアチニンなど)になり、正常なら尿中から排出されます。しかし尿毒症の場合、十分に排泄できずに体内に貯まってしまいます。
その結果、神経症状、消化器症状、出血傾向などの症状が現れます。 |
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水、電解質の異常 |
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ナトリウムやクロールの蓄積は体内の水分の増加をもたらし、高血圧、浮腫・むくみ、心不全などを起こします。
カリウムの増加は不整脈を、カルシウムやリンの異常は腎性骨異栄養症(じんせいこついえいようしょう)と呼ばれる骨の代謝異常を起こします。
腎不全によるリン酸、有機酸の蓄積とアンモニアの生成・排泄障害、水素イオンの排泄障害などは、代謝性アシドーシス、骨代謝異常、アルブミンの合成低下、筋力低下などを起こします。 |
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血液の異常 |
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尿毒症にともなう貧血を腎性貧血(じんせいひんけつ)と呼びます。
人生貧血のおもな原因は、造血ホルモンであるエリスロポエチンの腎臓での産生低下にあります。さらに造血抑制因子、赤血球寿命の短縮、低栄養による鉄・葉酸不足、出血傾向などが関わってきます。 |
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骨代謝異常 |
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リンの排泄障害により高リン血症になります。または腎臓のビタミンDの活性障害により、腸からのカルシウム吸収、骨吸収、腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、低カルシウム血症になります。
その結果、二次性副甲状腺機能亢進症となり、さらには代謝性アシドーシスも加わって腎性骨胃栄養症が発生します。
骨折、骨格の変形、骨・関節の痛み、石灰沈着などが起こります。 |
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免疫の異常 |
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尿毒症では免疫不全の状態となっているため、感染しやすく、またワクチンなどによる免疫獲得率も弱くなっています。 |
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代謝系の異常 |
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インスリン抵抗性や膵臓のβ細胞の糖に対する感受性の低下のため、耐糖能異常やインスリン分解能低下が起こって高インスリン血症になります。
脂質代謝異常として、中性脂肪分解酵素の低下のため中性脂肪が高値となります。
アミノ酸代謝異常、代謝性アシドーシス、尿毒性物質の蓄積などで体内の蛋白質の分解が亢進している状態であり、さらに食欲不振などによるカロリー不足となり、栄養障害やビタミン不足の状態になりやすいといわれています。 |
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神経の異常 |
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尿毒性物質の貯留によると思われる神経精神異常が認められます。
眠気から意識障害、精神症状までと、程度も症状もさまざまです。 |
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内分泌の異常 |
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内分泌系の障害として、性ホルモンの低下による性機能障害、成長ホルモンの異常による成長障害、甲状腺ホルモンの異常も指摘されています。 |
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人によって症状は異なります |
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腎臓が障害されると全身にさまざまな影響を及ぼします。
これらの病態は、必ずしもすべての患者さんに共通に現れるものではなく、尿毒症になった原因の病気、その病態によって異なります。また、尿毒症になるまでの治療などによっても変化します。 |