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痛風


痛風の概要は?

おもな症状

 

急激に起きる関節の痛みと腫れ(関節炎、一番多いのが足親指に起きる関節の痛み)
腎臓や膀胱までの尿の出る道で結石が出来るために起こる急激な腰部や下腹部の痛み

似ている病気

 

慢性関節リウマチ
偽痛風
変形性関節症
腎臓から尿路における繰り返す結石発作

起こりやすい合併症

 

尿毒症(尿不全)などの重い腎障害


痛風ってどんな病気?

高尿酸血症から

 

イメージ画像 痛風は、足の親指の関節である拇趾(ぼし)MP関節などが頻繁に赤く腫れる急性の単関節炎です。血液中の尿酸値が高い、高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)に発症します。
 放置しておくと、尿酸塩が沈着して尿路結石、腎障害、虚血性心疾患などが問題になります。
 足趾、足首、膝関節などに急に痛みや発赤が生じた場合には、常に痛風を念頭に置く必要があります。

働き盛りの男性に多い

 

 痛風は西洋では紀元前から報告されていましたが、日本国内では明治時代以前には存在しなかった病気です。
 しかし現在では、約200万人の無症候性高尿酸血症の患者さんがいると推測されています。
 特に30歳代、40歳代の男性に発症が多くみられます。女性の患者さんは、痛風全体の1%〜2%しかなく、男性に圧倒的に多い病気です。


痛風の原因は?

高尿酸血症

 

イメージ画像 原因は不明です。
 尿酸はヒトにおけるプリン体という物質の最終産物です。おもに肝臓で作られ、腎臓から排出されます。
 高尿酸血症は、尿酸産生過剰、あるいは排泄低下、あるいはそれらの混合型のいずれかによって現れます。
 活動的な中年男性で、食べ過ぎ、飲み過ぎの習癖があるタイプに多い傾向があります。

高尿酸血症の病型分類

 
病型 成因




原発性 プリン生合成の亢進
・特発性
・プリン代謝の酵素異常症(PRPP合成酵素亢進症、HPRT欠損症)
続発性 高分子核酸の分解亢進
・造血器疾患(多血症、溶血性貧血、白血病悪性リンパ腫骨髄腫
乾癬
ATPの分解亢進
・糖尿病(T型、V型、X型、Z型)
・アルコール摂取
・組織低酸素血症
・無酸素運動
・フルクトース投与
プリン体過剰摂取




原発性 尿酸の特異的排泄低下
・特発性
・家族性若年性痛風性(高尿酸血症)腎症
続発性 すべての含窒素化合物の排泄低下
・腎不全
尿酸の特異的排泄低下
・ケトーシス(飢餓・糖尿病性ケトアシドーシス)
・高乳酸血症(アルコール摂取、妊娠中毒症、組織低酸素血症、糖原病T型)
・脱水
尿崩症
・鉛腎症
・薬剤(サイアザイド、フロセミド、ピラジナミド、サリチル酸など)

尿酸値の上昇

 

 多発性骨髄炎(たはつせいこつずいえん)、悪性リンパ腫、悪性貧血(あくせいひんけつ)、白血病などの病気、ある種の利尿薬などで、尿酸値が上がる場合があります。


痛風の症状は?

発作の前兆症状

 

イメージ画像 痛風発作前にチクチクする、圧迫感、熱っぽいなどの前兆を自覚し、6時間〜12時間後に発作が始まることが多いようです。
 発作は通常、24時間以内にピークを迎え、3日〜4日後には次第に改善していき、自然に治まります。
 放置すると発作を繰り返し、発作の間隔が次第に短くなっていきます。

痛風結節

 

 痛風結節(つうふうけっせつ)が、耳、肘、足にできることがあります。ときに破れて、皮膚潰瘍を生じます。
 また、尿酸が析出して、尿路結石の原因にもなります。


痛風の診断は?

血液検査

 

イメージ画像 急に痛くなった関節炎で、血液中の尿酸の値が高ければ、診断は容易です。
 男女とも常に7.0mg/dl以上を高尿酸と考えます。しかし、発作中は血液中の尿酸値が低いこともあります。

エックス線検査

 

 典型的なエックス線像では、拇趾などに打ち抜き像が認められます。
 発症してから時間が経っている陳旧性(ちんきゅうせい)の場合、関節が変形していることもあります。

肥満症治療ガイドラインより

 
尿酸値が気になる人
 
┏━ ━┻━ ━━━━━━━━━┓
痛風発作が現在ある人
 
痛風発作がない人
 
発作治療を優先
 
尿酸値
  ┏━━ ━━━┓
発作が治まったら尿酸値と全身管理
 
7.0以下
 
7.0超
    ┏━ ━━━━━┓
 
基準内
 
8.0未満
 
8.0以上
        ┏━━ ━┓
発作後も尿酸値が7.0を超えていれば薬を使う
       
9.0未満
 
9.0以上
         
 
肥満とくに内臓脂肪型蓄積は是正し、動脈硬化の危険を減らす
1に運動、2に食事、生活習慣改善
     
 
飲水敢行、尿の酸性化を防ぐ、飲酒減、食事内容注意
       
     
発作や尿路結石既往、家族歴があれば早めに薬を使う
 
発作が起こりやすいので薬を使う
           
━━━
尿酸値の目標:6.0

痛風の治療法は?

発作の前兆時

 

イメージ画像 発作の前兆時に、コルヒチン0.5mgを1錠内服すると未然に発作を予防することができます。
 しかし、発作が始まると、コルヒチンの効果は弱まります。また、コルヒチンを大量に使用すると、消化管、末梢神経、造血細胞、生殖細胞に悪影響を及ぼすので、注意が必要です。

発作時

 

 非ステロイド性抗炎症薬は、血中濃度の上昇が速く、血中半減期が短いものを使用します。その後、関節炎が持続するようであれば、常用量を内服します。
 発作時には尿酸コントロール薬は絶対に内服してはいけません。発作時に内服して尿酸値が変動すると、関節炎が逆に悪化することがあります。
 発作が強い場合は、非ステロイド性抗炎症薬の常用量投与に加えて、副腎皮質ステロイド薬を使うこともあります。

発作がない時

 

 尿酸産生阻害薬のアロプリノール、または尿酸排泄促進薬のプロベネシドやベンズブロマロンを服用します。投薬は少量から始めて、血清尿酸値6.0mg/dlを目標とします。
 尿路結石の防止目的で、尿をアルカリ化させるために重曹やウラリットを1日2g〜3g内服します。
 現状では、尿酸降下薬は尿酸値コントロールのみの効果しかなく、治療薬とはならないため、生涯にわたる尿酸降下薬の服用が必要になります。
 高尿酸血症は生活習慣の改善が重要です。肥満の解消、尿酸の産生を増加させるアルコール飲料の制限(特にビールはプリン体含量が高いものが多いので避けた方が良い)、水分の多量摂取、軽い運動、ストレスの発散などに努めましょう。


痛風発作が起こったら?

まず患部を冷やすことから

 

イメージ画像 痛風発作が起こったら、まず患部を冷やして安静にします。

 

初めて痛風発作を起こした人

   

 最初に「痛風」と適切に診断してもらうことが大切になります。
 これまで尿酸値が高いと言われた経験がある、血縁者に痛風の人や尿酸値の高い人がいる、尿路結石や腎臓の病気のある人であれば、最初に痛風と診断してもらえる可能性が高くなります。
 できるだけ早く、内科、もしくは整形外科を受診するようにしましょう。

 

過去に痛風発作を経験している人

   

 現在の痛みが、過去に起きた痛風発作の時のものに似ている、痛みの前に前兆があれば、まず痛風発作に間違いありません。発作は以前と同じ部位に起きる場合と、まったく別の関節に起きる場合とがあります。
 鎮痛薬の使用には注意が必要なので、必ず医師の診察を受けてください。
 尿酸降下薬を飲み続けているのに発作が起きても、尿酸降下薬を急に増やしたり、逆に減らしたりしないようにしましょう。
 しばらく尿酸降下薬を服用しないで発作が起きても、急に尿酸降下薬を再開すると、発作が悪化することがあります。痛みと炎症が治まるまで、尿酸降下薬の服用はしないようにしましょう。
 尿酸降下薬を服用し忘れて発作を起こした場合も、忘れていた分の尿酸降下薬を再開するのは良くありません。必ず発作が治まるまで、尿酸降下薬の内服は避けるようにしてください。


痛風のかなと思ったら?

継続的な治療が必要

 

イメージ画像 薬によって尿酸値をコントロールすることは比較的容易にできるので、痛風そのものの予後は良好です。すぐに専門医を受診して、治療を受けるようにしましょう。
 高脂血症糖尿病、心疾患、脳血管障害などの生活習慣病を合併しやすいため、全身管理にも注意が必要となります。
 発作がない時でも、尿酸コントロール薬を服用する必要があります。

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