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 原発性肺ガン

原発性肺ガンってどんな病気?
いわゆる肺がん
   肺の悪性腫瘍の肺ガンは、悪性としての特性を持っています。
 悪性腫瘍全般に共通していますが、現在の医学では、どのような原因で肺ガンが発生するのかは明らかになっていません。
 1998年以降、もっとも死亡者数の多いガンが肺ガンです。
高齢者と喫煙者に多い
  イメージ画像 肺ガンは高齢者の男性に多く、喫煙者に多いことが知られています。
 1日の平均喫煙本数に喫煙を続けた年数を掛けた指数が400を超えると、肺ガンが出現しやすいとされています。これをブリンクマン指数といいます。
 たとえば、1日20本のタバコを、20歳〜60歳までの40年間吸い続けたとすると、”20×40=800”となります。
遺伝子の異常によってガンになる
   タバコの煙の中には発ガン性物質が含まれていると考えられています。また、アスベストのように吸入を続けると、明らかにガンが多発する物質もあります。
 しかし、ブリンクマン指数が1000を超えても長寿の人はたくさんいますし、アスベストが肺内に入っても100%ガンになるわけではありません。
 ガンは遺伝子に何らかの異常が起こることにより発生すると考えられています。発ガンやガンの成育を制御する遺伝子に傷が付くことにより、制御不能な異常な細胞集団(ガン)が増殖します。
 遺伝子に傷がつく原因としては、加齢や生活習慣などがあります。肺ガンの場合は、喫煙と密接な関係があります。
ガンが進行すると
   ガンが進行すると、声がかれたり、顔面などに浮腫(ふしゅ)が出現したり、胸膜炎を伴なったり、脳転移による頭痛、骨転移による神経痛、骨折などが起こることもあります。

原発性肺ガンの種類は?
おもに4種類あります
   肺ガンは、およそ4種類ほどのガンが大部分を占めています。
 扁平上皮ガンが40%、腺ガンが40%、大細胞ガンが10%、小細胞ガンが10%です。

扁平上皮ガンとは?
気管から気管支内部のガン
  イメージ画像 扁平上皮ガンは、気管から気管支の内部を覆っている扁平上皮という細胞がガン化したものです。
 ごく初期には気管支内腔の表面に限定して出現するので、レントゲン写真では陰影として写りません。しかし、この段階でも気管支の粘膜を破壊するので、わずかな血痰(けったん)で気が付くことがあります。
進行すると転移することも
   次第に発育して気管支の外壁まで達すると、気管支外壁が破壊され周辺にガン細胞の塊が出現します。このころになると、レントゲン写真でも陰影として見られるようになります。
 肺にはたくさんの血管があるので、気管支壁の外へ発育し始めると、血流に乗って他の臓器へ転移したり、リンパ節への転移が始まります。
痰の細胞検査
   喫煙指数の高い人に多発し、初期でも痰の中にガン細胞が出てきます。高齢の喫煙者の痰の細胞検査を敢行すれば、初期に発見できる可能性が高くなります。
早期発見なら100%治癒します
   扁平上皮ガンは、レントゲン写真でわかるようになる前の段階で発見して切除すれば、100%治癒する病気です。
 扁平上皮ガン細胞は、他の3種類のガンに比べて、限局的な性質を持っています。転移も比較的ゆっくりで、放射線や抗癌剤に対しても良く反応する傾向があります。
 手術、放射線治療、抗癌剤などによる治療が有効です。

腺ガンとは?
分泌腺組織のガン
   腺ガンは、肺組織にたくさんある分泌腺組織の細胞がガン化したものです。
 肺胞などによって構成された、肺の末梢組織に囲まれて出現するため、初期からレントゲン写真に写ります。
初期は無症状なのでレントゲンで見付かります
  イメージ画像 腺ガンの初期は、まったく自覚症状がないため、検診のレントゲン検査で発見されることが多いです。
 ごく初期では、直径1cm以下の周囲がややぼやけた、淡い陰影を示します。
 進行して直径が2cm〜3cmになると、比較的濃度が高く、周囲に不正な凹凸を持ち、周辺の血管が集中したり、肺の外側表面に近いところに発生しやすいために胸膜が引き込まれた形を示します。
喫煙とは関係なく発症する
   扁平上皮ガンと違って、喫煙指数とは関係がなく、若い女性などにも出現します。
 集団検診のレントゲン写真などの機会を利用して、早期の無症状のうちに発見し、切除することが大切です。
転移が早い
   腺ガンの特徴は、血行転移が早くから起こりやすいことです。
 このため、レントゲン写真で腺ガンらしい形を示すようになった段階では、すでに骨、脳、肝臓などに転移しています。
 レントゲン写真で直径1cm以下の転移していない段階で発見せいて切除すれば、100%治癒することができます。
 また、放射線治療や、抗癌剤に対する反応が鈍いので、早期手術が重要になります。

大細胞ガンとは?
腺ガンに似ている
   大細胞ガンは、腺ガンに類似した大型の細胞によってできています。
悪性で転移も早い
   腺ガンよりも悪性度が高いものが多く、発育や転移が早いため、発見された時にはすでに直径4cm〜5cmに達し、脳、骨などに転移がみられることもしばしばあります。
 治療法は腺ガンとほとんど同じです。

小細胞ガンとは?
もっとも悪性の肺ガン
   小細胞ガンは、肺ガンの約10%を占め、4種類の肺ガンの中では、もっとも悪性度の高いガンです。
 ガン細胞はリンパ球のような核の大きな小型細胞で、肺の中心部の気管支粘膜の下層に出現することが多いです。
 初期には粘膜下をはうように発育するので、レントゲン写真には陰影として写らず、粘膜が破壊されなければ血痰もないので、痰の中にガン細胞が出てくることもありません。扁平上皮ガンのように、初期のものを痰の検診から見付け出すことは難しいとされています。
転移が非常に早い
   悪性度が高く、発育が早いため、気管支外壁を破壊しはじめると同時に、周辺の組織を破壊しながら拡大し、同時にリンパ節への転移や、血流によって他の臓器への転移が急速に進みます。
 骨転移による痛み、鎖骨や首筋のリンパ節に転移した腫瘤(しゅりゅう)に気付いて発見されることが多く、手術をして切除することが、不可能な場合が多くなります。
抗癌剤や放射線治療
   比較的男性に多く、悪性で進行が早いため、放置すれば数ヶ月で死亡してしまいます。
 しかし、他の3種類の肺ガンに比べると、放射線治療や、抗癌剤による治療効果が高いため、手術よりも、放射線や抗癌剤の治療が優先して行われます。

原発性肺ガンの診断は?
基本はレントゲン
  イメージ画像 肺ガンは種類によって病気の特徴が違い、それぞれに応じた診断方法があります。
 どの肺ガンについても、基本となるのはレントゲン写真撮影です。
 扁平上皮ガンについては、初期から出やすい痰の中のガン細胞の発見や、血痰への注意が大切です。疑わしい時は、専門医によって気管支鏡検査を受けるという方法もあります。
小細胞ガンは気管支鏡検査
   小細胞ガンでは肺の中心部の気管支から発生することがあるので、レントゲン写真が不明瞭な場合でも、気管支鏡検査で診断できることがあります。
検診の機会を大切に
   腺ガンや大細胞ガンの場合は、検診などの機会を有効に利用し、胸部レントゲン検査を受けましょう。
 検診で異常影が発見されると、精密検査を受けることになります。通常はCT検査を行い、転移があるかどうかも調べます。また、気管支鏡検査、CTガイド下経皮針生検などで、細胞診や組織診が行われます。

原発性肺ガンの予防法は?
タバコを吸わない
  イメージ画像 もっとも有効な方法はタバコを吸わないこと、吸っていればやめることです。
肺ガンは治療しにくい病気です
   肺ガンの手術ができるのは患者さんの30%〜40%です。手術以外でも決定的に良い治療法がないため、手術できないとどうしても予後が悪くなってしまいます。
 肺ガンは、ガンにならないことがもっとも大切になります。
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