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毒キノコ中毒

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毒キノコ中毒ってどんな病気?

身近に潜む毒キノコ

 

イメージ画像 近年のアウトドアブームによって野生のキノコを取って食べる人が増加しています。中毒患者数は年間約300人で、10月がおっとも多く、9月、11月の順で減少していきます。
 毒キノコ中毒は例年発生していますが、問題になるキノコの種類は約30種です。
 食用キノコに良く似た毒キノコは多く存在するので、食べる前には毒キノコかどうか正確に見極める必要があります。不十分な知識で判断して食べないようにしてください。

毒キノコの見分け

 

 キノコ狩りをする人は、毒キノコに関する知識を日頃から身に付けておくことが大切です。専門家に教えてもらったり、地元のキノコに詳しい人に見てもらいましょう。
 ドクツルタケ、タマゴタケモドキ、シロタマゴテングタケ、タマゴテングタケ、フクロツルタケ、コレラタケ、ニセクロハツ、シャグマアミガサタケなどは、致命的な猛毒キノコです。
 すべての種類のキノコを掲載しているわけではありませんが、当サイトでもキノコ図鑑を作成しています。
身近な植物図鑑:身近なキノコ図鑑

キノコの食べ方

 

 ナラタケのように一般に食用とされているキノコでも、加熱が不十分で生焼け状態のものを食べると、下痢や腹痛を起こすことがあります。
 アルコールを飲みながら食べると、めまいや悪酔いを起こすキノコもあります。
 大量に食べたり、体質によって中毒を起こすこともあります。以前は食用だったものが、現在は毒キノコとして扱われているキノコもあります。
 生焼けは食べない、アルコールと一緒に食べない、一度に食べ過ぎないなど、注意をして食べてください。

一般的な症状

 

 摂取して2時間前後で発症した場合は、比較的軽症で、対症療法によって治療を行います。
 摂取後6時間以上の時間をおいて発症した場合、激しい嘔吐や下痢を起こし、重症であることが多くなります。毒成分が消化吸収され、循環器系が侵され深刻な事態になります。


消化器系障害の毒キノコ中毒とは?

毒キノコ中毒の約70%

 

イメージ画像 日本で発生する毒キノコ中毒の約70%は、胃腸障害を引き起こすクサウラベニタケ、ツキヨタケ、カキシメジ、ニガクリタケ、イッポンシメジなどによるものです。
 食後、30分〜3時間後に、吐き気、腹痛、嘔吐が現れます。続いて、水様便、時に血便が激しくでます。


強い肝臓障害・腎臓障害の毒キノコ中毒とは?

アマニタトキシン症候群

 

 毒キノコ中毒によって死亡する症例の90%以上が、ドクツルタケ、タマゴテングタケ、シロタマゴテングタケ、コタマゴテングタケなどの猛毒キノコが原因です。特にドクツルタケは多い傾向にあります。
 食後、10時間〜20時間後に、急に激しい腹痛、嘔吐、コレラ様下痢、水様便、血便などの症状が現れます。脱水症状ののち、肝臓、腎臓などに障害、中枢神経症状が現れます。
 毒成分はアマトキシン、ファロトキシ、ボロトキシン類などの環状ペプチドが多数あります。
 解毒剤にはチオクタンが使われ、劇症肝炎に対する治療と同様の治療が行われます。


飲酒後の毒キノコ中毒とは?

コプリン症候群

 

イメージ画像 ヒトヨタケ、ホテイシメジなどが原因の毒キノコの中毒です。
 キノコ自体は食用ですが、キノコに吹く前れているコプリン、デセン酸の成分が肝臓でアルコールの分解を妨げるため、飲酒後30分〜1時間で、顔から胸にかけて紅潮し、頭痛、動悸などの二日酔いの症状が現れます。


神経系障害の毒キノコ中毒とは?

ムスカリン症候群

 

イメージ画像 アセタケ、カヤタケなどの白い小型キノコで起こります。ベニテングタケでも起こります。
 食後、10分〜30分後に激しい発汗、よだれ・流涎(りゅうぜん)、流涙(りゅうるい)、瞳孔縮小(どうこうしゅくしょう)、血圧低下などが現れ、呼吸困難になります。
 ムスカリンという毒成分が原因で起こる毒キノコ中毒のため、ムスカリン症候群と呼ばれています。

イボテン酸症候群

 

 食後、30分〜1時間後、短時間眠くなった後、興奮、めまい、痙攣(けいれん)などの症状が現れます。進行すると幻覚、精神錯乱(せいしんさくらん)、意識不明になります。
 ベニテングタケ、テングタケ、ハエトリシメジなどに含まれるイボテン酸と、その代謝産物のムッシモールなどによる作用が原因です。
 解毒剤としてフィゾスチグミンが使われます。

シロシビン症候群

 

 オオシビレタケ、ヒカゲシビレタケ、シビレタケ、ヒカリタケ、ワライタケ、オオワライタケなど、幻覚作用を引き起こすキノコが原因で起こります。
 食後、30分〜1時間後、幻覚、知覚麻痺、めまい、言語障害が現れ、意識不明に陥ります。
 2002年、シロシビン、シロシンといった幻覚性物質を含むキノコ類は、麻薬原料植物に指定されました。所持、使用、売買が法令によって禁止されています。


ドクササコ中毒・ヤブシメジ中毒とは?

数日後に現れることもある

 

イメージ画像 食後、数時間〜数日後に症状が現れます。1ヶ月以上も、手足の先端が腫れて激痛が続きます。
 アクロメリン酸などの成分が知られていますが、毒作用に関係するかどうかは、まだわかっていません。


カエンタケ中毒とは?

ベニナギナタタケと間違え死亡することも

 

 食後、30分〜2時間後、激しい嘔吐、水様性下痢が現れます。四肢と顔面の粘膜にびらんが現れ、頭髪の脱毛、腎不全、循環器不全、脳障害など全身症状に進行していきます。
 カエンタケに含まれるサトラトキシンという毒成分が原因です。
 近年では、ベニナギナタタケと誤食して死亡する例があります。


スギヒラタケ関連脳症とは?

近年、多くの死者が出ました

 

 2004年、東北、北陸地方に急性脳症が発生し、多数の死者が出ました。
 腎機能障害の患者さんがスギヒラタケを食べ、数日後に発病したため話題となりました。
 原因は特定されていませんが、レクチン、シアンが調査されました。食用キノコに含まれるシアンは、十分に加熱調理すれば減少して安全ですが、タモギタケのようにシアン含有量の多いキノコを多量に食べると、中毒になる可能性があるので注意が必要です。


その他の毒キノコ中毒とは?

シャグマアミガサタケやフウセンタケ属

 

 シャグマアミガサタケでは、食後、急激な頭痛、悪心、嘔吐、下痢、喀血、黄疸が6時間も持続します。モノメチルヒドラジンという成分が原因で起こります。解毒剤には、ピリドキシンが使用されます。
 フウセンタケ属では、摂取後3日〜17日後、激しい喉の渇きと、水を大量に飲んで尿が増えます。次いで悪心、頭痛、筋肉痛が現れます。毒性物質は特定されておらず、解毒剤もありません。


毒キノコ中毒の診断は?

問診と原因となったキノコの特定

 

イメージ画像 食べたキノコの外観、採集場所、調理前の処理、調理法、食べた量を、患者さんから聞き取ります。
 また、食べ物の残り、調理屑、吐物、便などの検査によって、毒キノコの種類を調べます。


毒キノコにまつわる迷信

色が地味なキノコは食べられる

 

イメージ画像 タマゴタケモドキやコレラタケなど、ほとんどの毒キノコは地味な色をしています。派手な色をした毒キノコは、ベニテングタケとカエンタケくらいしかありません。

縦に裂けるキノコは食べられる

 

 根拠のない迷信です。ドクササコ、コレラタケなど、ほとんどの毒キノコは柄が縦に裂けます。食用キノコでも、チチタケ、ハツタケのように、柄が縦に裂けないものもあります。

香りの良いキノコは食べられる

 

 やはり根拠のない迷信です。香りの良し悪しと毒性の有無は、まったく関係ありません。毎年、毒キノコ中毒のトップに上がるクサウラベニタケのように、温和そのもののキノコもあります。

ナスと一緒に調理すれば食べられる

 

 ナスと一緒に調理しても、毒性が消えることはありません。

虫がついていれば食べられる

 

 昆虫類が大丈夫なら人間が食べても大丈夫という安易な発想によるものです。昆虫類には毒性がきかなくても、人間に作用するものは多いです。

茹でたり塩漬けにすれば食べられる

 

 塩蔵で毒抜きできるキノコもごくわずかにありますが、多くの毒キノコは、茹でても、塩漬けにしても、毒成分がなくなることはありません。

煮汁に銀のスプーンを入れて変色しなれば食べられる

 

 ヨーロッパで言い伝えられている見分けの方法ですが、やはり根拠のない迷信です。


毒キノコ中毒の治療法は?

身体から毒成分を出す

 

イメージ画像 基本的には、水分と電解質液を補給しながら、催吐、胃洗浄、活性炭を使った吸着剤の投与などで、早期に除毒します。
 同時に、呼吸、循環系の維持、酸素療法を行います。

食べたキノコによって異なる治療法

 

 短時間に現れた消化器系障害の場合は、対症療法のみで、数日で回復します。
 強い肝障害・腎臓障害が現れるアマニタトキシン症候群では、ただちに入院の上、早期の毒素除去、集中治療が必要になります。


毒キノコ中毒かなと思ったら?

すぐに受診を

 

イメージ画像 食後、中毒症状が現れた場合、すぐに内科か救命救急センターに受診してください。6時間以上遅れて発症することもあるので、注意が必要です。
 緊急時には財団法人日本中毒情報センターの中毒110番に問い合わせることもできます。

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