そらいろネット > 家庭の医学 > 運動器の病気 > くる病
頭蓋骨の軟化 肋骨の骨軟骨結合部の拡大、漏斗胸、鳩胸 O脚、X脚 側彎、前彎、後彎 歯のエナメル質形成不全
骨形成不全症 骨軟化症
くる病は、骨の発育期の成長期に、小児でカルシウムが骨に沈着せずに、軟らかい骨様組織が増加している状態をいいます。 多くの場合、骨の成長障害、骨格・軟骨部の変形をともないます。
以前は、日光の照射が不足する冬の北国での発生がみられましたが、食生活の改善により、現在ではまれな病気となりました。 くる病の原因は、ビタミンD欠乏、ビタミンDの合成障害、ビタミンD受容体の異常、リンの不足、腎尿細管障害など、さまざまです。
小児期には、骨の成長する部位である骨端線(こつたんせん)がまだ閉じていないため、小児期特有の症状があらわれます。 O脚、肋骨念珠(ろっこつねんじゅ)と呼ばれる肋骨のこぶ、鳩胸(はとむね)と呼ばれる肋骨の前方突出、低身長、前額部の突出、関節近傍の肥厚、などの症状があらわれます。
くる病の診断では、骨X線検査で、おもに成長が盛んな膝や、手関節のX線画像が使われます。血液・尿検査で、カルシウム・リン・アルカリフォスファターゼ値に異常がないかどうかを検査します。 さらに、ビタミンD、副甲状腺ホルモン、腎臓でのリンの再吸収率を測定することで、くる病の病型を診断します。
ビタミンD製剤、リン製剤の投与を行います。 下肢の変形が高度の場合には、骨の矯正手術、骨の延長術などが必要になることもあります。 それぞれの病型の治療法は、以下の通りです。
ビタミンDは、皮膚が紫外線の照射を受けて、コレステロールから生合成されます。 しかし乳児の場合、それだけでは不十分なため、食べ物からの摂取が必要となります。とくに極小未熟児では、ビタミンD欠乏になりやすいことが知られています。
アトピー性皮膚炎があるために、著しい食事制限を続けた場合、くる病になってしまうこともあります。 ビタミンDは、肝臓や腎臓で代謝され、活性体となります。そのため、肝障害、抗けいれん薬摂取時、腎臓の病気によって、食事によるビタミンD不足とは無関係に、くる病を発症することがあります。
治療には、腎臓結石に注意しながら、活性型ビタミンDを使用します。
ビタミンD依存性くる病は、I型と、II型の2つの病型に分類されます。 I型の原因は、ビタミンDを活性化する酵素に異常があり、活性型ビタミンDが産生されないために発症します。 II型の原因は、ビタミンD受容体の異常により発症します。
発症年齢、臨床症状ともに類似しています。2歳未満で、低カルシウム血症と、骨のくる病性変化を起こします。 II型では、高頻度で禿頭(とくとう)がみられます。
治療には、活性型ビタミンD製剤の投与を行います。しかし、II型の場合、治療困難なケースが少なくありません。
腎臓でリンの再吸収、腸管でのリンの吸収障害の結果、著しい低リン血症と過リン酸尿を示し、くる病を発症します。 一般的には、伴性優性遺伝形式をとりますが、散発例も少なくありません。未熟児くる病、腎性くる病をのぞけば、日本ではもっとも発生頻度の高いタイプのくる病です。
低リン血症などは、生後早期には認められないことがあります。多くの場合、生後1年ごろに、四肢の変形、歩行異常、歩行遅延、低身長などによって発見されます。
治療には、経口リン製剤、および活性型ビタミンDの投与を行います。
小児科の医師に診察してもらう必要があります。