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ナガサキアゲハの成虫


ナガサキアゲハ

[和名・種類]

ナガサキアゲハ

[学名]

Papilio memnon thunbergii

[英名]

Great mormon

[名前の由来]

長崎揚翅蝶。1820年代に来日したシーボルトが長崎で発見したため。

[分布]

近畿地方以西

[科名]

チョウ目アゲハチョウ科

[体色]

黒色

[時期]

地域ごとに異なります

[特徴・生態]

 低地、人家周辺に生息する、アゲハチョウの仲間。
 前翅長は62mm〜76mmになります。雌雄共に、後翅に尾状突起がありません。メスの前翅表面基部に、三角形の明瞭な赤紋があります。オスは無紋ですが、メスは後翅に白斑があり、南へ行くほど白化の傾向があります。
 幼虫は、芋虫です。若齢幼虫は鳥の糞に擬態しています。
 越冬形態は、さなぎです。
 食べ物は、ツツジ類、ランタナ、ハイビスカスなどの赤色系の花の蜜を吸います。幼虫の食樹はミカン科のウンシュウミカンやユズなどの栽培種を食べ、野生種のカラスザンショウやハマセンダンなどには付きません。
 生活型は、卵→幼虫→さなぎ→成虫の、完全変態を行います。成虫の出現時期は地域によって異なり、北限付近では5月〜9月、南西諸島では3月〜11月に見られます。最低2回、多い地域では5回〜6回の発生を繰り返します。
 南方系のアゲハチョウで、江戸時代では九州以南に生息していました。現在では分布域は拡大し、温暖化の指標種となっています。

[観察・感想]

 ナガサキアゲハのメスの写真です。
 アガパンサスというユリ科の植物の花の蜜を吸っているところです。アガパンサスは花壇などで見かけることが多く、一部では野生化していることもあるほどですが、名前は知られていなかったりします。名前は知らないけど、毎年、花が咲いて綺麗だから育てているといった人も多いと思います。園芸店では球根で売られている植物です。
 実は自分も、育てたことのある植物なんですよ。子供の頃、たまたま拾った球根を育ててみたところ、数年後に花が咲きました。当時は名前もわからずに育てていたのですが。大人になってから、園芸の本を読んで、アガパンサスだとわかりました。別名を、ムラサキクンシランともいいます。
 ナガサキアゲハは、分布域が広がっている代表的な昆虫です。地球温暖化の影響と言われています。その他にも、幼虫の食草となるミカン科の植物が、寒い地域でも栽培できる品種が出てきたからといった理由もあるかなと思います。幼虫は園芸種にしか付かないので、地球温暖化にせよ、ミカン科の植物の栽培にせよ、人の暮らしが分布に影響を与えている昆虫ですね。

[写真撮影]

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