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自覚症状に乏しい
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大動脈瘤は動脈硬化によって、胸部大動脈、あるいは腹部大動脈の径が拡大し、コブ状になったものです。
多くの大動脈瘤は少しずつ進行し、動脈の径が拡大していくため、初期ではほとんど自覚症状はありません。
胸部大動脈は胸の中にあるため、自覚症状はほとんどありません。胸部エックス線検査で異常な影が映り、偶然気が付くことも多いほどです。
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腹部大動脈瘤も自覚症状が少ない
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腹部大動脈瘤は、もっとも頻度の高い大動脈瘤です。ヘソの辺りにドキドキと拍動するコブに触れて、見付かることが多いです。痛みをともなうことが少ないため、見過ごされてしまうことも多くあります。
大動脈瘤が大きければ、腹部を触ると拍動する腫瘤に触れることができます。大きな拍動性腫瘤を腹部に触れれば、腹部大動脈瘤の可能性が高くなります。
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大動脈瘤破裂
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大動脈瘤でもっとも怖いのは、破裂することです。破裂した場合の致死率は、かなり高くなります。救命できても、重い後遺症を残すことが多いです。
大動脈瘤が破裂すると大量に出血するため、破裂した動脈を人工血管に置き換えない限り救うことができません。
破裂する前に、動脈瘤のある部分を人工血管に交換して、破裂のリスクをなくすことが大切です。
破裂のしやすさは、大動脈瘤の経の大きさによって決まります。直径が大きければ大きいほど、動脈瘤の壁は薄くなり、破裂する可能性が高くなります。
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大動脈瘤の種類
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大動脈の壁は、内膜(ないまく)、中膜(ちゅうまく)、外膜(がいまく)の3層構造になっており、壁構造の変化から、真性動脈瘤(しんせいどうみゃくりゅう)、仮性動脈瘤(かせいどうみゃくりゅう)、解離性動脈瘤(かいりせいどうみゃくりゅう)の3種に分類されます。
動脈瘤の発生場所からは、胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、胸部と腹部の両方に発生する胸腹部大動脈瘤に分類されます。
瘤の形状から、紡錘状瘤(ぼうすいじょうりゅう)、嚢状瘤(のうじょうりゅう)に分類されます。紡錘状瘤は動脈全周が拡張した状態で、通常の径の1.5倍以上になったものです。嚢状瘤は動脈壁の一部が袋状に拡張した状態で、大きさに関わらず形態によって診断されます。嚢状瘤の方が破裂しやすく、危険です。
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胸部大動脈瘤
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横隔膜より上にある大動脈に起こり、上行大動脈瘤(じょうこうだいどうみゃくりゅう)、弓部大動脈瘤(きゅうぶだいどうみゃくりゅう)、下行大動脈瘤(かこうだいどうみゃくりゅう)、胸腹部大動脈瘤に分類されます。
正常な胸部大動脈の径は約2.5cmです。大動脈の径が拡大して、正常の2倍を超え、5cm〜6cmになると、破裂の危険性が出てきます。
胸部大動脈瘤の経が6cmを超えた場合、破裂防止のために手術治療が検討されます。
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腹部大動脈瘤
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横隔膜より下の腹部大動脈に発生し、大動脈瘤の中でもっとも頻度の高いものです。両側の腎動脈(じんどうみゃく)の分岐部より下にできることが多く、両側の脚へ分岐する総腸骨動脈(そうちょうこつどうみゃく)が瘤化したり、閉塞や狭窄を合併することがあります。男性に多く、年齢が高くなるにつれて増加します。
正常な腹部大動脈の径は1.5cm〜2.0cmです。大動脈の径が拡大して、正常の2倍の4cmを超えると、破裂の危険性が出てきます。
腹部大動脈瘤の経が5cmを超えた場合、破裂防止のために手術治療が検討されます。
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