そらいろネット > 家庭の医学 > 感染症による病気 > デング熱・デング出血熱
熱帯地方・亜熱帯地方でおもに見られるウイルス感染症です。原因はデングウイルスです。 デングウイルスには1型〜4型まで、4つの型がありますが、どの型のウイルスでも同様の症状が起こるので、症状から感染したウイルスの型は特定できません。 人はデングウイルスに感染した蚊に刺されることによって感染します。
太平洋戦争中には、かなりの数の発生がありましたが、戦後はほとんどみられなくなりました。
デング熱は、デングウイルスが感染し、症状があらわれた患者さんの大多数を占める病気です。
感染後2日〜10日ほどで、突然の高熱で発症します。 頭痛、眼の奥の痛み、腰痛、筋肉痛、骨痛がおもな症状としてあらわれます。さらに、食欲不振、腹痛、吐き気、嘔吐、脱力感、全身倦怠感もあらわれることがあります。全身のリンパ節の腫れもみられます。 発熱後、3日〜5日目には、胸、背中、顔面、腕、脚に発疹が出ることもあります。
高熱やさまざまな痛みの症状などは約1週間でなくなります。 普通は後遺症を残すことなく、回復します。
デングウイルスに感染した人のうち、最初はデング熱と同様に発症し、同様の経過をたどります。しかし、体温が平熱に戻るころに、血液中の液体成分の血漿(けっしょう)が血管から漏れ出したり、出血の症状があらわれることがあります。 このような症状の病気をデング出血熱と呼びます。適切な治療を行わないと、死亡してしまうこともあります。
血漿の漏れは、胸水、または腹水としてあらわれます。 出血は比較的軽い点状出血、注射部位からの出血、鼻出血、血便など。重い症状では重篤な吐血、下血もみられます。 血漿の漏れが進行すると、ショック症状を起こし、デングショック症候群とも呼ばれます。
デングウイルスは現在の日本には存在しません。ですので、発症前の約10日間以内に、熱帯地方・亜熱帯地方から帰国したかどうかが、診断には重要になります。
症状のみでデングウイルスへの感染を診断することは難しいです。 血液からデングウイルスや、その遺伝子を検出すること、あるいは特異的な抗体を検出することで診断を確定します。
デングウイルスに対する治療薬はないので、対処療法が中心となります。 デング熱・デング出血熱の発熱に対しては、出血傾向を増悪させる可能性があるため、アスピリンを使用してはいけないことになっています。
デング出血熱に対しては、補液がおもな治療法になります。
熱帯地方・亜熱帯地方から帰国後、高熱などの症状があらわれたら、感染症科や内科を受診する必要があります。 人から人へは感染しません。
今までずーっと、病名は「テング熱」だと思っていました。ちゃんと調べてみたところ、「テング熱」ではなく、「デング熱」でした。 てっきり、発熱で天狗のように顔が赤くなるからテング熱なのかと・・・