そらいろネット > 家庭の医学 > 感染症による病気 > プール熱・咽頭結膜熱
咽頭結膜熱は学童期に多くみられ、アデノウイルスによって引き起こされる代表的な夏風邪のひとつです。 多くの場合、汚染されたプールの水を介して流行します。そのため、一般的には「プール熱」と呼ばれています。6月ごろから増え始め、7月〜8月に患者数のピークを迎えます。 しかし、病院や施設などで、季節を問わず小規模に流行しています。
感染経路は、汚染されたプールの水やタオルから、結膜や咽頭への直接浸入、飛沫感染、手指を介した接触感染です。
プール熱の原因は、アデノウイルスと呼ばれるウイルスです。 アデノウイルスは多くの血清型に分類され、多くはアデノウイルス3型で引き起こされます。1995年度以降、アデノウイルス7型と呼ばれる新しい型が流行するようになりました。アデノウイルス7型は、以前の型に比べて熱が長く続き、重症化することもあります。 しかし、アデノウイルスに感染しても、必ず咽頭結膜炎の症状が現れるわけではありません。
年間を通じて発生しますが、春〜夏に比較的多くみられます。幼少児期に多くが感染を受けます。
アデノウイルスの潜伏期間は、通常5日〜7日です。 高い発熱、頭痛、全身倦怠感などで始まります。発熱と同時に、咽頭炎による喉の痛みが現れます。喉が赤くなり、扁桃腺(へんとうせん)が腫れてきます。 結膜炎の症状としては、結膜の充血、眼の痛み、まぶしさを感じる羞明(しゅうめい)、流涙(りゅうるい)などの症状が現れます。眼の症状は通常は、左右の一方から始まりますが、その後、もう一方へ波及します。
咳、鼻水などの感冒様症状、頸部リンパ節腫脹(けいぶリンパせつしゅちょう)と押すと痛いと感じる圧痛。ときには、下痢、腹痛、吐き気が現れることもあります。
症状は、通常ですと3日間〜5日間続きます。そして、後遺症を引き起こすことなく治ります。
症状、所見、流行状況をみて診断します。
のどや結膜から、アデノウイルスを見つけ出すことが、もっとも確実な診断方法です。ですが、生きたウイルスを取り出すには時間がかかります。 近年では、ウイルスを構成する蛋白抗原を免疫学的に検出する方法や、ウイルス内部の核酸を検出する方法で迅速に診断できるようになった迅速診断キットがあります。
症状が似ている病気で、区別する必要があるものは、夏風邪を起こすエンテロウイルス感染症、眼に炎症を引き起こすはやり目・流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)、クラミジア、ヘルペスウイルス感染症などがあります。
アデノウイルスに対しての特効薬は、まだ開発されていません。そのため、対処療法が中心となります。 発熱、喉の痛み、頭痛に対しては、解熱鎮痛薬、結膜炎に対しては点眼薬を用います。結膜炎が強い場合は、眼科での治療が必要となります。 経過中は水分や栄養の補給が必要です。
学校保険法では、第二類に属する感染症となります。 症状がなくなってから通常2日間は出席停止となります。
病気に気づいたら、学校、家庭、病院などでは、流行予防のため、使用したタオルや排泄物の取り扱いに注意してください。とくに、手を洗うことが大切です。
通常の風邪と同様に、予防法はうがいと手洗いです。プールで感染しないようにするには、水泳前後のシャワー、洗眼、うがいを必ず行いましょう。