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ペスト


ペストの概要は?

おもな症状

 

突然の高熱
腋窩(えきか)リンパ節炎・鼠径(そけい)リンパ節炎
頭痛
悪心(おしん)
嘔吐
敗血症(はいけつしょう)
肺炎

似ている病気

 

ブドウ球菌、連鎖球菌による四肢のリンパ節腫大をともなうリンパ肉芽腫症(にくげしゅしょう)
梅毒(ばいどく)などの性行為感染症(せいこういかんせんしょう)
野兎病
全身症状はリケッチア感染症
肺炎は重篤なグラム陰性菌、ブドウ球菌感染症

起こりやすい合併症

 

敗血症
ショック


ペストってどんな病気?

黒死病(こくしびょう)

 

イメージ画像 ペスト菌による全身性の急性感染症です。
 中世には、罹患すると皮膚が黒くなることから、「黒死病」として恐れられていた病気です。14世紀ヨーロッパでは、ペストの大流行により、全人口の約3割が命を落としました。

ネズミのノミから感染

 

 日本では1926年以降、発生していません。
 世界的には、アフリカ、アジア、南アメリカなどで、15年間に約2万人の患者さんが報告されています。そのうち、約1割が死亡しています。
 ネズミなどのげっ歯類の間で感染が続いており、ネズミなどに付着しているケオピマスネズミノミなどのノミを介して、ヒトに感染します。腺ペストと呼ばれる病気です。

ペスト発生地域

 

(1)南アフリカ地方およびマダガスカル
(2)ヒマラヤ山脈周辺からインド北部
(3)中国の雲南省から蒙古
(4)北米南西部ロッキー山脈地方
(5)南西北西部アンデス山脈地方


ペストの症状は?

腺ペスト

 

 腺ペストは通常みられる病型で、潜伏期間は2日〜6日です。ペスト菌を保菌しているノミに刺された後、2日〜6日後にリンパ節の痛みと腫れがあらわれます。皮膚の小出血斑、高熱をともない、ショックなどの重い症状を引き起こします。
 菌が全身に回ると、敗血症(はいけつしょう)を起こします。、皮膚のあちこちに出血斑ができ、全身が黒いあざだらけになります。髄膜炎などを併発することもあります。

肺ペスト

 

イメージ画像 ペスト菌が肺に回ると、肺ペストを起こします。喀痰(かくたん)をともない、重篤な肺炎症状があらわれます。肺炎を起こすと、短期間で死亡してしまいます。治療を行わなければ、致死率はほぼ100%です。潜伏期間は2日〜4日ですが、さらに短い場合もあります。
 肺ペストは伝染性が強く、喀痰(かくたん)から、別のヒトに伝染することがあります。


ペストの診断は?

培養して診断

 

イメージ画像 問診などで流行地域への旅行歴、居住歴、ネズミとの接触歴、ノミに刺された既往歴などを十分に聴取して参考とします。
 リンパ節の穿刺液(せんしえき)、血液、喀痰、咽頭分泌液の分離・培養・塗抹(とまつ)検査などを行って、菌を検出して診断します。


ペストの診断は?

抗菌薬が効果的

 

イメージ画像 一般的な治療法は、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、ニューキノロン系薬剤など、抗菌薬によって治療を行います。抗菌薬は効果的で、回復します。
 肺ペストのように重い症状の場合でも、発病後、8時間〜24時間以内に治療を開始すれば、予後は良好です。

早期の治療開始が大切

 

 手遅れにならないように、病気の早期に治療を開始することが重要です。
 また、近年ではテトラサイクリンなどの耐性菌の報告があるので、治療のうえで注意が必要です。


ペストかなと思ったら?

抗菌薬が効果的

 

イメージ画像 海外に渡航して、死んでいるネズミなどに触ったり、ノミに刺された後、リンパ節の腫れや高熱が出た場合には、ペストの可能性があります。
 必ず医師の診察を受け、適切な治療を受ける必要があります。


ペストの予防法は?

日本国内は安全です

 

イメージ画像 現在、日本国内にペスト菌は存在しないので、検疫を徹底して、外国からの侵入を防がなければなりません。
 侵入の可能性のある地域では、衛生の徹底を行い、ネズミ・ノミの駆除に努めます。侵入したときは早期に根絶することが必要です。
 患者が出た場合は、すぐに隔離します。

ワクチン

 

 ホルマリン処理全菌体ワクチンがありますが、副作用が強いため、ペスト患者と接する医療従事者にのみ限定して使用されます。

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