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おたふく風邪・流行性耳下腺炎・ムンプス


おたふく風邪・流行性耳下腺炎・ムンプスの概要は?

おもな症状

 

耳の下の腫れ
発赤(ほっせき)
痛み
唾液の性質の変化

似ている病気

 

唾液腺(だえきせん)の腫瘍(しゅよう)
唾石症(だせきしょう)
リンパ腺の病気
あごの病気
シェーグレン症候群
ミクリッツ症候群

起こりやすい合併症

 

唾液腺の出口の炎症
リンパ節炎
無菌性髄膜炎
難聴
脳炎
成人の場合、生殖器の炎症(精巣炎・睾丸炎・卵巣炎)


おたふく風邪・流行性耳下腺炎・ムンプスってどんな病気?

おたふくかぜのこと

 

イメージ画像 片側、あるいは両側の耳下腺の腫脹(腫れ)を特徴とする、急性ウイルス感染症です。通称は「おたふくかぜ」と呼ばれている病気です。
 冬〜春先に流行することの多い伝染性の病気です。
 ムンプスウイルスによって起こり、通常は1週間〜10日で回復します。予後は良好な病気ですが、日本では毎年200万人以上の患者さんが発生しています。
 一度感染すれば、免疫ができ、もう一度かかることはありません。

おたふく風邪ワクチンが大切

 

 患者さんからの飛沫(ひまつ)、患者さんとの接触を介して感染します。
 患者さんの年齢は4歳がもっとも多く、3歳〜6歳で全体の約60%を占めます。9歳までで全体の約95%を占めます。一般的には小児の病気ですが、まれに抗体を持っていない大人も発病することがあります。
 おたふく風邪ワクチンを接種していれば、90%以上の人に免疫ができ、発症を免れることができます。


おたふく風邪・流行性耳下腺炎・ムンプスの症状は?

耳の下の腫れ

 

イメージ画像 2週間〜3週間の潜伏期間ののち、風邪のような症状とともに、片側、あるいは両側の耳下腺を中心として、顎下腺(がくかせん)、舌下腺(ぜつかせん)の腫脹が起こります。
 圧痛、嚥下痛(えんげつう)をともなうことが多く、発熱もともないます。
 ひとつの唾液腺の腫れは3日〜5日で引くことが多く、7日〜10日で治ります。
 30%〜35%の人では、感染しても症状があらわれません。

注意すべき合併症

 

 一度下がった熱が再発し、腹痛や頭痛があらわれた場合、合併症が起きた可能性があります。
 注意すべき合併症としては、おたふく風邪の症状があらわれた患者さんの約10%に、無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)を併発します。
 思春期以降の患者さんでは、男性の約20%〜30%に精巣炎(せいそうえん)・睾丸炎(こうがんえん)が併発します。女性では約7%で卵巣炎(らんそうえん)を起すといわれています。

その他の合併症

 

 重要な合併症のひとつとして、難聴があります。発症頻度は、約2万人に1人と少ないものの、永続的な障害となるので注意が必要です。
 その他、膵炎(すいえん)、脳炎を合併することもあります。


おたふく風邪・流行性耳下腺炎・ムンプスの診断は?

ムンプスウイルス以外が原因のことも

 

イメージ画像 特徴的な臨床症状と、まわりの流行状況などで診断が行われることがほとんどです。
 おたふく風邪の原因となるウイルスは、ムンプスウイルスだけではありません。流行性耳下腺炎(ムンプスウイルス感染症)であることを診断するために、ウイルス学的な診断が必要となります。
 耳下腺の腫れが片側の場合には診断が困難となり、ワクチン接種後の発病、化膿性唾液腺炎、唾液腺の結石、反復性唾液腺炎などとの区別が必要となります。

血清学的診断

 

 唾液、尿、髄液(ずいえき)からウイルスを分離する方法が、もっとも直接的な検査方法です。
 しかし、症状が出てから早い時期に抗体を採取する必要があること、結果が出るまでに時間が必要なこと、健康保険の適用外であることなどから、血清学的診断が一般的です。

検査方法

 

 急性期にムンプス特異的IgM抗体を検出するか、ペア血清でのIgG抗体価の上昇で診断できます。
 最近では、RT-PCR法でのウイルス遺伝子(RNA)を検出することが可能になっています。


おたふく風邪・流行性耳下腺炎・ムンプスの治療法は?

対症療法

 

イメージ画像 おたふく風邪の治療法は、基本的には対症療法となります。
 発熱や痛みに対してはアセトアミノフェンの内服・坐薬が使われますが、感染症では解熱薬を使用しない方が免疫系の働きも良いとされています。

合併症の治療法

 

 合併症を併発している場合は、入院が必要となります。
 頭痛、嘔吐などが強い無菌性髄膜炎を合併した場合は、腰椎穿刺(ようついせんし、背骨の中に針を刺すこと)で管に脳脊髄液を排液して、脳圧を下げます。
 膵炎の場合には、その程度に合わせて抗生剤、酵素阻害薬を使用します。
 年長児や大人の場合、精巣炎の合併頻度が高いのですが、片側性の場合は不妊の原因になることはまれです。
 まれに難聴を合併しますが、治療法がなく、聴力の回復はほとんど期待できません。通常は片側性です。

ワクチンが大切

 

 保育園、幼稚園などの集団生活に入る前に、ワクチンで予防しておくことが大切です。
 ムンプスウイルスワクチンは、麻疹風疹(ふうしん)に比較すると、抗体陽転率が3%〜4%程度低いのですが、90%以上の陽転率で予防効果も優れています。
 ワクチン接種が、現在ではもっとも有効な感染予防法です。


脳脊髄液・脊髄液の検査法

髄膜炎・脳炎の診断

 

イメージ画像 脳、脊髄になんらかの障害が生じた場合、直接的、あるいは間接的に、髄液所見に反映される可能性が大きくなります。
 髄液の異常は、髄膜炎・脳炎の診断と鑑別・見分けのために行ないます。

腰椎穿刺

 

 一般的に針を刺して行なう腰椎穿刺(ようついせんし)によって行なわれます。
 患者さんは側臥位となり、両手で膝を頭に抱え込むような体位をとります。もし介助するときは、この姿勢をきちんと保つことが重要です。
 穿刺部位は、左右の腸骨綾上縁を結ぶヤコビー線と、脊柱が交差する点を目標にして、第3腰椎〜第4腰椎間か、第4腰椎〜第5腰椎間で行ないます。皮膚消毒と局所麻酔後、棘間靭帯(きょくかんじんたい)、硬膜(こうまく)、くも膜下腔へと針を入れていきます。
 外観の観察、初圧および終圧、細胞数、蛋白、糖、血糖値の測定を行い、疑われる疾患に応じて種々の検査を追加します。

怖かった・・・

 

 僕も何度か脊髄液検査を受けたことがあります。
 背中で行なわれているために、何をやっているのか見えませんが、膝を抱えて横になって寝たまま動いてはいけないという姿勢が、とても不安で心細かったです。
 とても怖い経験でした。


おたふく風邪・流行性耳下腺炎・ムンプスかなと思ったら?

小児科へ

 

イメージ画像 おたふく風邪は、学校保健法では第二種の伝染病に指定されています。耳下腺の腫れが消えるまで、登校停止となります。
 発症が疑われた場合は、かかりつけの小児科を受診しましょう。腹痛、嘔吐をともなう場合には、重症膵炎の可能性があるので、入院施設のある病院の小児科を受診しましょう。

大人の場合

 

 大人の場合は、内科を受診してください。

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