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流行性耳下腺炎 |
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流行性耳下腺炎はおもに小児期に、冬〜春先に流行することの多いウイルスによる伝染性の病気です。患者さんのうち95%が、9歳以下の小児になります。患者さんの唾液の飛沫などから感染します。
一度感染すると免疫ができるため、以後にもう一度感染することはありません。
典型的な症状としては、風邪のような症状にともなって両側の耳下腺(おもに耳たぶ付近)が腫れ、唾液の出る量が少なくなります。ときに高熱をともない、髄膜炎、睾丸炎、卵巣炎などの合併症を引き起こすことがあり、全身的な症状を現す病気です。
一般的には小児の病気ですが、ときに抗体を持っていない大人も感染することがあります。 |
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再発性耳下腺炎 |
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ウイルスによる感染が原因ではない耳下腺炎として、再発性耳下腺炎があります。
原因は明らかでなく耳下腺の腫れを繰り返す症状が特徴です。小児期と中年以上の女性にみられる病気ですが、発生頻度は少なくなっています。 |
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シェーグレン症候群 |
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全身的な免疫異常を原因とした自己免疫疾患とされているシェーグレン症候群があります。慢性耳下腺炎の形で耳下腺の腫脹、口の渇き・ドライマウス、涙腺の分泌異常・ドライアイがおもな症状としてあらわれる疾患です。 |
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顎下腺炎 |
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その他の唾液腺炎として、顎下腺炎があります。唾液を口の中へ運ぶ唾液腺管の中に唾石(だせき)と呼ばれる石が作られて詰まってしまい、唾液の出が悪くなった時などに起こります。
これに口中の細菌が感染して化膿することがあります。舌と歯茎の間の舌下口底部の粘膜が赤く腫れ上がり、痛みや熱をともないます。この場合、顎下腺のすぐ前にある舌下腺にも同時に舌下腺炎を併発して腫脹することが多く見られます。
また、流行性耳下腺炎でも、顎下腺が侵される場合もあります。 |
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その他 |
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細菌による唾液腺炎はもともと唾液腺に何の病変もない人には生じにくい病気です。小児では、唾液管末端拡張症(だえきかんまったんかくちょうしょう)という腺そのものの異常があります。
梅毒、結核などによって、唾液腺炎が生じることもあります。
唇の裏側、上あごの粘膜には、米粒ほどの小さな唾液腺が点在しますが、まれにこれらにも炎症が起きることがあります。 |