|
食事療法の基本 |
|
肝臓病の食事療法といえば、以前は「十分なエネルギーや蛋白質を摂取し、脂肪を控えること」が大原則でした。
しかし現在では、病んでいる肝臓に多くの栄養を与えても、かえって肝臓の負担を増してしまうことがわかりました。そのため、肝臓病の食事療法の基本は、「エネルギーが適正で、栄養バランスのとれた食事」をとることが大切です。
ただし、肝臓病にはさまざまな病態があり、食事の摂り方も異なるので注意してください。 |
|
慢性肝炎の食事療法 |
|
普通食を基本にした、バランスのとれた食事をとります。特別な脂肪制限は必要ありませんが、禁酒は実行してください。アルコール以外の嗜好品も、とりすぎないように注意してください。
朝食、昼食、夕食の3食は、規則正しく食べるようにしましょう。
毎食、主食(ご飯やパン)、主菜(魚、肉、卵、大豆製品)1品、副菜(野菜)2品をとります。
1日に果物1個、牛乳コップ1杯、油を使った料理2品程度を食べます。
多種類の食品を食べるようにしましょう。 |
|
脂肪肝の食事療法 |
|
肥満が解消できる食事が基本となります。
食事量は標準体重に見合ったものに見直します。
食べ方の見直しを行います。食事時間が不規則だったり、早食い・まとめ食いは良くありません。
嗜好品はとりすぎないようにします。アルコール、菓子類、ジュース、果物などの食べすぎが、肥満に繋がります。 |
|
アルコール性肝障害の食事療法 |
|
まず禁酒を行い、バランスのとれた食事を心がけます。
とにかく禁酒することが大切です。飲酒を続けると、肝ガンになりやすいことがわかっています。
栄養状態が良くないケースが多くみられます。慢性肝炎に準じた、栄養バランスの良い食事をとります。 |
|
肝硬変の食事療法 |
|
|
代謝期(重篤な症状がない状態) |
|
|
慢性肝炎に準じた食事療法を行います。アミノ酸製剤を補給する場合が多くあります。
蛋白質はおもに、大豆製品、卵、乳製品からとります。
便秘しないように、野菜、海藻、果物を食べ、食物繊維の多い食事を心がけます。
重症化すると味覚が鈍化するため、塩分やエネルギーのとりすぎに注意しましょう。肥満気味だったり、糖尿病がある人も、エネルギーのとりすぎに注意します。 |
|
|
非代謝期 |
|
|
腹水がある場合は、1日3g〜7gに塩分制限を行います。塩分量は腹水の程度に応じて決められます。
肝性脳症の場合は、血液中のアンモニアが多くなると、意識障害が起こります。これを防ぐために、アンモニアの元になる蛋白質を制限します。不足する蛋白質は、アミノ酸製剤で補います。蛋白質制限を上手に行うために、特殊食品の利用が推奨されます。便秘は肝性脳症を起こしやすくするため、食物繊維を多くとるように心がけます。蛋白質は、大豆製品、卵、乳製品からとります。
食道静脈瘤の場合、食べ過ぎて食道を刺激しないようにします。食道の炎症を悪化させるような香辛料、刺激物、固い物、コーヒーなどは避けます。寝る前に食べると胃液が逆流しやすいので、気をつけましょう。 |