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 肺真菌症
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肺真菌症の概要は?
おもな症状
  発熱
咳(せき)
痰(たん)
血痰(けったん)
喀血(かっけつ)
息切れ
急な胸痛
 (※ 真菌の種類や病態によって症状は異なります)
似ている病気
  マイコプラズマ肺炎やオウム病を含むウイルスや細菌による肺炎
肺化膿症
特発性間質性肺炎
膠原病(こうげんびょう)にともなう間質性肺炎
薬剤起因性肺炎
肺ガン
肺寄生虫による感染症
起こりやすい合併症
  胸膜炎
肺梗塞
髄膜炎
胸壁に腫瘤(しゅりゅう)と瘻孔(ろうこう)の形成
肝臓や膵臓の膿瘍(のうよう)

肺真菌症ってどんな病気?
免疫抑制剤を飲んでいたり臓器移植を受けた人に多い
  イメージ画像 副腎皮質ステロイド薬に代表される免疫抑制剤の投与、臓器移植などの高度医療の結果、免疫機能が低下した患者さんに発生します。近年、患者層が高齢化しています。
 一般にカビと呼ばれる真菌による肺炎・肺感染症です。真菌は口腔内や咽頭に常在しています。
 抗真菌薬を使った治療が行われますが、早期に診断できないと、急速に病状が進行してしまうため、一般的に予後は不良です。
おもな病原体
   カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ムーコルの4菌種がおもな原因菌です。
 病理解剖例の肺真菌症の頻度では、アスペルギルス症がもっとも多く、クリプトコッカス症、ムーコル症と続きます。肺に限られたカンジダ症は比較的少ないとされています。
 肺に感染した後、そこから血液中に入って、肝臓、腎臓、脳などに感染が広がることもあります。
アスペルギルス症
   アスペルギスは味噌や醤油造りに利用される麹もアスペルギスの仲間で、日本ではごく普通に見られる真菌です。
 アスペルギルスが好中球の数や機能が減弱し免疫能の低下した患者さんに感染した場合、もっとも重篤な病型の侵襲性肺アスペルギルス症を発症します。
 免疫能の低下が軽い場合、組織内へ病原菌の侵襲程度が弱く、慢性の経過をたどる慢性壊死性肺アスペルギルス症などを発症します。
 非侵襲性アスペルギルス症(菌球症、アスペルギローマ)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症など、真菌が肺内で増殖することによる病態があります。
クリプトコックス症
   健常者でも発症し、肉芽腫性(にくげしゅせい)の病変を作りますが、多くは無症状で、自然治癒傾向があります。
 クリプトコックス症の多くは日和見感染で、エイズのようにT細胞に重い障害がある場合、肺から全身に散布され、全身性クリプトコックス症を引き起こします。
その他
   少数例ですが輸入真菌症として、コクシジオイデス症、ヒストプラズマ症などがあります。

肺真菌症の原因は?
外因性と内因性
  イメージ画像 外因性肺真菌症と、内因性肺真菌症に分類することができます。
 病原性は弱いですが、身体の免疫力が低下すると増殖し病気を起こす、日和見感染(ひよりみかんせん)として発症します。
外因性肺真菌症
   アスペルギルス症、クリプトコッカス症は、気道を通って吸引された胞子が肺に定着し、増殖することによって感染します。
内因性肺真菌症
   カンジダは、ヒトの口腔、消化管、陰部などに常在する真菌です。口腔カンジダ症などで口腔内で増殖したカンジダの誤嚥が原因だったり、敗血症の一分症として肺カンジダ症が発症することがあります。

日和見感染とは?
日和見感染
  イメージ画像 感染は、原因となる病原体がヒトの体内に侵入し、増殖することで起こります。しかし私たちの周囲の環境には多くの微生物が生息し、腸管内を始めとして体内にも多くの常在菌を保有しています。
 ヒトの体内では、感染を防衛する仕組みが上手く働いているため、感染を防いでいます。この仕組みを一般的に免疫と呼びます。免疫が上手く働いている状態では、体内の微生物は抑え込まれ、大人しくしています。しかし免疫機能が衰えてくると、毒の弱い病原体でも、体内で増殖し感染を起こすことがあります。
 免疫機能の低下した状態で、弱毒の病原体によって起こる感染症を日和見感染と呼びます。
免疫と病原体
   免疫はさまざまな仕組みによって成り立っています。大別すれば自然免疫と、獲得免疫の2つがあります。
 自然免疫は好中球(こうちゅうきゅう)、マクロファージ、補体(ほたい)などが働き、病原体が体内に入ってきてもすぐに対応でき、どんな種類の病原体にも広く対応しています。
 獲得免疫はリンパ球がおもに働き、特定の病原体に効率よく対応しますが、初感染の場合は早い対応は難しいという側面を持っています。獲得免疫は、抗体を利用する液性免疫と、感染している細胞を攻撃する細胞性免疫に分類されます。
 免疫機能が低下すると、免疫の中のどの部分が障害を受けるかにより、感染を起こしやすい病原体の種類も異なります。
 肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などに対しては、好中球、マクロファージなどによる自然免疫と抗体による液性免疫が重要です。
 ウイルス、真菌、結核菌などに対しては細胞性免疫が重要で、HIV感染症や臓器移植後は、細胞性免疫の低下により、サイトメガロウイルス感染、カリニ肺炎、消化管カンジダ症、肺結核などの感染を起こす確率が高くなります。
 先天性の免疫不全によって免疫機能が低下している場合、小児期から何度も感染を繰り返したり、重症の感染に陥ったりします。
治療法
   抗菌薬を使って感染している病原体を抑え込むことが重要になります。しかし日和見感染は免疫不全状態の上に成り立つ感染症のため、免疫グロブリンという抗体を投与したり、G-CSFという白血球を増加させる薬を使用するなど、免疫機能を高める工夫も必要になります。
 免疫不全を起こす元となる病気を改善しなければ、感染症を起こす確率は高くなってしまい、治療も困難な場合が多いのが現状です。

肺真菌症の症状は?
発熱、咳、痰など
  イメージ画像 白血病や臓器移植後など、強い免疫抑制状態にある患者さんに発症しますこうした患者さんは、一般的な抗菌薬の効果が期待できません。
 発熱、喀痰(かくたん)、咳、全身倦怠感など、細菌性肺炎肺結核と良く似た臨床症状があります。胸部エックス線像で浸潤影(しんじゅんえい)が認められた場合、肺真菌症が疑われるため、早期に検査・診断を進める必要があります。
 アスペルギルス症、ムーコル症では、血管親和性が高く、血痰(けったん)、喀血(かっけつ)を生じることもあります。
特異的症状はありません
   原因菌や病型によって症状の現れ方が異なり、肺真菌症に特異的な症状はありません。
侵襲性アスペルギルス症・非侵襲性アスペルギルス症
   侵襲性アスペルギルス症では、好中球減少症、大量のステロイド薬投与などの危険因子を持つ患者さんに発症します。急激な発熱や全身倦怠感などの全身症状に加えて、さまざまな呼吸器症状がみられます。多くの症例では、全身状態が急速に増悪します。
 非侵襲性アスペルギルス症では、陳旧性肺結核(ちんきゅうせいはいけっかく)などで肺に空洞がある患者さんに発症します。咳、痰、喀血、呼吸困難などの呼吸器症状とともに、発熱や痩せなどの全身症状がみられます。
クリプトコックス症
   日和見感染ではさまざまな呼吸器症状、発熱、全身倦怠感などが認められます。
 健常者に発症した場合の多くは無症状で、健康診断、他の疾患の経過観察中などに、胸部エックス線検査で異常陰影として発見されます。

肺真菌症の診断は?
胸部エックス線検査
  イメージ画像 胸部エックス線検査やCT検査では、特徴的な所見はありません。
 非侵襲性アスペルギルス症、アスペルギローマ、ムーコル症では、浸潤影内に菌球と空洞壁の間に見られる隙間のクレッセントサインが認められる場合があります。侵襲性肺アスペルギルス症では、結節影や浸潤性がみられますが、好中球減少時にはHaloサイン、好中球回復時にはエアークレッセントサインが見られる場合があります。
 クリプトコッカス症では、宿主である患者さんの免疫状態に応じて、結節性陰影から肺炎像まで、さまざまな病型をとります。エイズのような重篤なT細胞障害がある時は、まったく異常陰影を示さないことが知られています。健常者では、多発性の結節影がみられます。
病原体の特定
   確定診断には、痰、気管支内視鏡を使って採った病巣部の分泌物、気管支肺胞洗浄法で肺を一部洗った洗浄液を培養して、真菌であることを証明します。しかし真菌は、口内や上気道に普通に存在するため、見付かったからといって必ずしもそれが肺炎の原因菌とは限りません。繰り返し培養検査を行い、同じ真菌がたくさん見付かれば、その真菌による感染と推定します。
 患者さんの状態によっては、こうした検査ができない場合が多いです。
血液検査
   補助診断としてカンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカスの血中抗原検査が用いられます。
 カンジダ症、アスペルギス症の診断には、血中β-Dグルカン測定が有効とされています。
 非侵襲性アスペルギルス症、健常者に発症したクリプトコックス症など、抗原の血中への曝露(ばくろ)が少ない場合、検出されにくくなるので注意が必要です。

肺真菌症の治療法は?
抗真菌薬
  イメージ画像 重症度や病型によって容量は異なりますが、一般には抗真菌薬の全身投与が原則です。
 カンジダ症やクリプトコッカス症では、フルコナゾール(ジフルカン)を始めとするアゾール系抗真菌薬が第一選択薬となります。
 ムーコル症に対しては、アムホテリシンB(ファンギゾン)のみが効果が期待できます。
肺真菌症に使用可能な抗真菌薬
抗真菌薬 投与法 適応菌種 作用機序
仕組み
副作用
カンジダ アスペルギルス クリプトコッカス ムコール
アムホテリシンB 静注、経口、吸入 殺菌的 過敏症、悪寒・発熱、消化器症状、低カリウム血症、胃障害など多様
フルシトシン 経口 × 静菌的 血液障害・貧血、腎障害、消化器症状など
ミコナゾール 静注 × 静菌的 過敏症、血液障害、肝障害、消化器症状など
フルコナゾール 静注、経口 × ○  × 静菌的 過敏症、消化器症状、肝障害など
イトラコナゾール 経口 × 静菌的 過敏症、消化器症状、肝障害、薬物相互作用など
ミカファンギン 静注 × × カンジダに殺菌的
アスペルギルスに静菌的
肝障害、嘔吐、白血球減少、皮膚症状など

肺真菌症かなと思ったら?
HIV患者や臓器移植を受けた人など
  イメージ画像 多くの肺真菌症は日和見感染として発症するので、好中球減少症、大量のステロイド薬投与、HIV感染、臓器移植などの重篤な基礎疾患のある患者さんは、常に肺真菌症の発症に留意する必要があります。
 何らかの呼吸器症状、全身症状が現れた場合、すぐに検査と治療が必要です。s
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