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外来治療と入院治療 |
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検査結果から、外来治療を行うか、入院治療を行うか、決定します。
軽症で通院可能なら、経口薬の投与で治療します。中等症以上で入院が必要な場合、注射による治療が選択されます。
入院治療でも、重症度が高度な場合、集中治療室への入院が行われます。
基礎疾患があったり、高齢者の場合、軽症でも入院治療を行い、軽快する傾向を確認した上で、外来治療に切り替えるのが安全だと考えられています。体力の弱っている高齢者では、口から薬を飲むことができず、食欲不振が増して誤嚥性肺炎を併発し、症状を悪化させることがあるので、即効性があり確実な抗生物質の血管注射投与が行われます。
外来治療か入院治療かの選択は、重症度による診断のみでなく、家庭での看護の状況、基礎疾患にともなう重症化の可能性も考慮し、医師が判断します。 |
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治療薬の選択 |
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原因となっている細菌に合わせた、適切な抗菌薬を投与することが治療の基本です。
肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌、インフルエンザ菌、クレブシエラなどのグラム陰性菌では、使用する抗菌薬の種類が異なります。
治療を行う病院や地域によって、同じ種類の細菌でも、薬剤に対する感受性が異なることも考慮に入れる必要があります。また、抗菌薬の投与回数、投与量、併用薬に対する注意なども考慮する必要があります。
抗菌薬に耐性のある細菌の区別が重要で、感染症治療の大きなポイントとなっています。効果が不十分な場合、抗菌薬の選択、投与方法を再検討し、肺炎以外の疾患の可能性も念頭におく必要があります。 |
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耐性菌の存在 |
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細菌性肺炎でもっとも頻度の高い肺炎球菌には、ペニシリン系の抗菌薬が効果的でした。しかし最近では、ペニシリン耐性肺炎球菌という耐性菌が増加し、抗菌薬による治療を難しくしています。
重症の人、基礎疾患のある人、高齢者では、経口薬ではニューキノロン系の抗菌薬が使用されます。注射薬では、カルバペネム系の抗菌薬が使用されます。
重症度、基礎疾患、耐性菌の頻度などを総合的に判断し、抗菌薬の投与法や種類が決定されます。 |
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重症例では |
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重症の肺炎では、酸素投与、場合によっては人工呼吸管理が必要になります。 |
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口腔内を綺麗に |
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誤嚥性肺炎を起こした場合、口腔内の清浄が保たれていないことが大きな原因となっています。
歯磨きを敢行し、歯肉の化膿性病巣などを歯科で治療してもらう必要があります。 |
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安静が必要 |
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肺には血管が多数あるため、肺炎になると細菌が血行に乗って全身に散布されてしまいます。そのため、安静が大切です。3週間〜4週間は、安静が必要です。咳や痰の消失、解熱だけでは、治癒したとは言い切れません。
また、保温と、十分な栄養補給も重要です。全身への影響が強く出ていて飲食が不十分な場合、点滴を行います。 |
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生命を脅かすレジオネラ肺炎 |
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進行が急激な重症肺炎の場合、レジオネラ肺炎が疑われます。
レジオネラ肺炎の場合、通常は良く利用されるセフェム系などの抗菌薬では効果が得られず、マクロライド系、ニューキノロン系、リファンピシンといった抗菌薬を優先的に選択し、迅速に投与する必要があります。
レジオネラ肺炎の場合、疑うか、疑わないかで、生死が分かれると言っても過言ではありません。
肺炎になる前の1週間〜2週間の間、温泉旅行に行ったことのある人、透析中などで免疫に影響する治療を受けている人では、注意が必要です。
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