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内耳炎


内耳炎の概要は?

おもな症状

 

激しい回転性のめまい
悪心(おしん)
嘔吐
難聴
耳鳴り

症状が似ている病気

 

慢性中耳炎

起こりやすい合併症

 

慢性中耳炎


内耳炎ってどんな病気?

中耳炎から内耳炎へ

 

イメージ画像 中耳腔(ちゅうじくう)の炎症が、中耳と内耳を隔てている正円窓(せいえんそう)と卵円窓(らんえんそう)を通して、内耳に及んだものを内耳炎といいます。
 細菌やウイルスの侵入によって内耳に炎症が起こり、めまいや難聴などの症状がみれれます。
 真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)によって内耳の骨が破壊され、破壊された骨を通じて中耳腔の炎症が内耳に及ぶものもあります。

その他の経路から内耳炎へ

 

 髄膜炎が原因で起こる内耳炎など、他の経路から起こることもあります。


内耳炎の原因は?

炎症の経路は3つ

 

イメージ画像 内耳炎には、中耳炎が波及するもの、髄膜炎が波及するもの、細菌やウイルスが血液を介して内耳に達する3通りの原因があります。

中耳炎など

 

 急性中耳炎(きゅうせいちゅうじえん)では、正円窓と卵円窓や、迷路骨壁を通じて内耳に炎症が波及し、内耳炎になります。
 真珠腫性中耳炎では、半規管の骨が破壊されると、外耳道に圧がかかるたびにめまいが起こるようになります。
 ほかにも、慢性化膿性中耳炎(まんせいかのうせいちゅうじえん)があると、内耳炎になりやすくなります。
 中耳の炎症が内耳へと及ぶ場合、急激に波及することもあれば、少しずつ波及していくこともあります。
 髄膜炎になると、炎症が内耳へと及ぶ場合もあります。

髄膜炎

 

 小児期に発症する両側高度感音難聴(りょうそくこうどかんおんなんちょう)の多くは、髄膜炎が原因と考えられています。

血液から

 

 血液を介して内耳炎が起こる原因に、梅毒があります。梅毒の他にも、内耳はさまざまなウイルスによって障害を受けます。
 先天性梅毒性内耳炎は胎内で感染し、先天性難聴の原因となります。
 後天性梅毒性内耳炎は40歳以降に多くみられ、両側性で、変動する難聴、メニエール病に似ためまいなどの症状を起こします。
 角膜炎、中切歯(ちゅうせっし)にみられるハッチンソン歯牙と呼ばれる形態異常を合併します。

炎症が内耳まで及ばないことも

 

 中耳に炎症があったり、髄膜炎になったからといって、必ずしも内耳炎になるというわけではありません。


内耳炎の症状は?

炎症が強くて早い場合

 

イメージ画像 内耳への炎症の波及が早く、炎症も強い場合、激しい回転性めまい、吐き気、嘔吐、ひどい難聴、耳鳴りが起こります。

三半規管や蝸牛の障害

 

 内耳には、身体の平衡感覚を保つための三半規管(さんはんきかん)などの前庭器官(ぜんていきかん)と、音の感覚器官の蝸牛(かぎゅう)があります。
 前庭器官や感覚器官が、強い炎症によって障害を受け、機能が急激に低下するため、さまざまな症状が現れます。

炎症が遅い場合

 

 内耳への炎症の波及がゆるやかな場合、耳鳴り、難聴が少しずつ進行する、軽いめまいやふらつきが起こります。
 これらの症状は、慢性中耳炎の場合に、多い症状です。

耳下腺炎や風疹

 

 流行性耳下腺炎(おたふく風邪)による内耳障害も多くみられます。
 かかってから数日後、突然、片方の耳が聞こえなくなります。子供の場合、数年後になって、内耳障害に気付くことも多々あります。
 先天性風疹症候群では、難聴は両側性で症状も強いです。


内耳炎の診断は?

聴力検査と平衡機能検査

 

イメージ画像 難聴がみられる場合、聴力検査を行います。
 めまいがみられる場合、平衡機能検査を行います。
 平衡機能検査では、自発眼振(じはつがんしん)がみられる場合が多いです。温度眼振反応が低下したり、瘻孔症状(ろうこうしょうじょう)がみられることもあります。

CTとMRI

 

 耳のCTやMRIによる画像診断も、診断には有効です。


めまいの検査

眼振検査(がんしんけんさ)

 

イメージ画像 めまいが起こる時、患者さんは天井など周囲の景色がグルグル回ると訴えます。この時、実際に天井が回っているわけではなく、眼球が回っているため、周囲の景色が回っているように見えます。この眼球運動を、眼振といいます。
 眼振を良く観察するためには「フレンツェルの眼鏡」を使用します。フレンツェルの眼鏡は強い凸レンズで、周りの物はぼやけて良く見えず、視線を固定できなくなる非注視状態になります。非注視状態で、弱いかすかな眼振でも、観察しやすくなります。眼振の詳しい観察は、めまいの原因を知る上でとても重要です。
 耳が原因の眼振の多くは、水平性か、水平回旋混合性の眼振です。眼球はゆっくりと右か左に動いた後、急速に反対側に動いて元の位置に戻り、この動作が繰り返されます。
 垂直性の眼振がみらる場合、脳、小脳、脳幹といった中枢性のめまいが特徴です。すぐにCTやMRIなどの検査が必要になります。

温度眼振検査

 

 人間の外耳道に冷たい水や温かいお湯を入れると、内耳の三半規管が刺激されて眼振が起こり、めまいが発生します。この眼振の継続時間(正常なら2分〜3分)、眼振の速度から、三半規管の機能がどのくらい保たれているか診断できます。
 反応がまったくない場合、内耳の機能がほとんど失われていると考えられます。前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)では、温度眼振反応は高度に低下します。メニエール病では、初期には正常の場合が多い物の、めまい発作を繰り返すうちに反応が低下します。薬物などによる前庭機能高度低下では、温度眼振反応は両耳とも高度に低下し、常時ふらつきが起こることになります。

瘻孔症状検査

 

 耳を押さえたり、耳たぶを引っ張ると、めまいを起こす人もいます。こうした患者さんには、外耳道に陽圧や陰圧の刺激を与えると、めまいが起こり、眼振がみられます。こうした症状は瘻孔症状と呼ばれ、瘻孔症状の有無を調べる検査を迷路瘻孔症状検査と呼びます。
 慢性中耳炎、特に真珠腫性中耳炎で多くみられます。鼓膜に穴が開いてなくても、先天性梅毒、外リンパ瘻などでも、まれにみられることがあります。「ポリツェルのゴム球」を外耳道に密着させ、ゴム球を圧迫して陽圧刺激を加え、陥没したゴム球が元に戻ることで陰圧刺激を加えます。眼振の観察は、フレンツェルの眼鏡を使用したり、電気眼振計に記録したりします。


内耳炎の治療法は?

原因となった病気を治療

 

イメージ画像 内耳炎の原因となっている中耳炎や、髄膜炎、それによって起きた内耳の炎症の治療を行います。
 急性の中耳炎、髄膜炎には、抗生剤が使用されます。
 内耳の機能低下には、神経賦活薬(しんけいふかつやく)、ビタミン剤、副腎皮質ステロイド薬などが併用されます。

慢性中耳炎では手術

 

 慢性中耳炎がある場合、抗生剤を使用します。
 同時に、慢性感染の原因となった中耳炎を外科的に手術する、鼓室形成術(こしつけいせいじゅつ)を行う必要があります。

治癒後も残る内耳機能障害

 

 薬物療法や手術療法によって中耳の炎症が治癒しても、内耳の機能障害が残ってしまうことが多いです。特に難聴が残ることが多いです。


内耳炎かなと思ったら?

耳鼻科へ

 

イメージ画像 急性中耳炎になると、耳が痛くなります。
 耳の痛みに続いて、めまい、強い難聴が起きたら、すぐに専門医を受診するようにしてください。

慢性中耳炎でも耳鼻科へ

 

 慢性中耳炎がある場合、長期間にわたって放置せず、内耳に影響が出ないうちに専門医を受診するようにしてください。

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