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 急性扁桃炎

急性扁桃炎の概要は?
おもな症状
  高熱(小児では悪寒をともないます)
口腔咽頭痛(こうくういんとうつう、のどの痛みのことです)
灼熱感
全身倦怠感
似ている病気
  猩紅熱
伝染性単核球症
口蓋扁桃肥大
扁桃周囲膿瘍
起こりやすい合併症
  中耳炎
副鼻腔炎
扁桃周囲膿瘍
病巣感染症

急性扁桃炎ってどんな病気?
小児〜大人まで
  イメージ画像 一般的には略されて、扁桃炎や、扁桃腺炎と呼ばれる病気です。
 子供〜大人にもみられる、細菌、または扁桃腺(口蓋扁桃・こうがいへんとう)に炎症を起こす病気です。

急性扁桃炎の原因は?
常在菌や免疫のはたらき
  イメージ画像 ヒトの鼻や口の中には、生後数ヶ月で菌が常在するようになり、新しい菌の侵入を防いでくれます。
 つねに外界から鼻や口の中に入ってくる細菌、ウイルスは、常在菌や、これまでに獲得した病原体を排除することのできる能力の免疫によって、取り除かれています。こうして、体が健康な状態を保っています。
急性扁桃炎は免疫機能の一環
   過労や風邪などで体が弱った時、色々な病原体に対して免疫力が不十分な乳幼児は、病原菌やウイルスが除かれずに増殖してしまうことがあります。
 このとき、喉の免疫の主要器官である口蓋扁桃(喉の所にある扁桃腺のこと)が病原体と闘い、赤く腫れ上がって炎症を起こした状態が、急性扁桃炎です。
原因となる細菌やウイルス
   急性扁桃炎は、細菌感染によるものと、ウイルス感染によるものとがあります。
 化膿性連鎖球菌(かのうせいれんさきゅうきん)、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、A群β溶連菌、アデノウイルス、EBウイルス、などがあります。
免疫機能による発熱や痛み
   口蓋扁桃だけでは免疫力が足りない場合、頸部リンパ節(首の所のリンパ腺)、またその他の部分のリンパ節も機能するので、それぞれのリンパ節も腫れて痛みが生じます。
 病原体を攻撃するために、扁桃やリンパ節など、体内から出る物質によって、体温の上昇や痛みなどの症状があらわれます。

急性扁桃炎の症状は?
発熱と頸部リンパ節炎
  イメージ画像 人によっては微熱程度のこともありますが、普通は40℃前後の発熱と、全身倦怠感から始まります。つづいて、喉の痛み、耳の下から首にかけてのリンパ節の腫れと痛み(頸部リンパ節炎)が生じます。
 小児の場合は、経口摂取ができなくなり脱水症状となって重症化してしまうので、注意が必要です。
口を開けて喉の奥を見てみると・・・
   照明の下で、大きく口を開いて、喉の奥を見てみると、のどちんこ(正式名称は口蓋垂といいますが知ってました?)の両脇に、白い点が付着したり、白い膜が付着していたり、赤くなって腫れた口蓋扁桃が見えます。

急性扁桃炎の診断は?
診察で診断可能
  イメージ画像 症状と、喉の診察で、扁桃炎の診断は可能です。
 EBウイルス感染による扁桃炎では、伝染性単核球症の形をとるものがあります。
検査をすることも
   原因となる病原体を確定するための検査を行うこともあります。原因となる細菌やウイルスを区別するのは難しいので、検査をしながら治療が開始されます。
 喉のぬぐい液からの細菌検査、ウイルスに対する血液検査を行うこともあります。溶連菌感染症、アデノウイルス感染では、迅速診断キットが使用されます。
その他の検査
   その他にも、血液検査で白血球の増加を調べたり、CRP陽性などをチェックし炎症の程度を検査することもあります。
 尿検査を行い、脱水の状態を検査することもあります。

急性扁桃炎の治療法は?
薬物治療がメイン
  イメージ画像 急性扁桃炎の治療法は、薬物療法がおもに行われます。細菌に対しての抗生物質、発熱や痛みに対しての消炎鎮痛薬の内服を5日間程度、そして口腔内を清潔に保つためのうがい薬の処方が一般的です。
 溶連菌感染症と診断された場合には、7日間〜10日間の抗生物質の内服が必要となります。
症状によっては点滴治療も
   炎症症状が強くて食事が摂れない場合は、薬の内服が困難なため、抗生剤などの静脈注射、点滴治療を積極的に行います。脱水状態のある場合も、点滴治療を行います。

急性扁桃炎かなと思ったら?
安静に
  イメージ画像 まずは安静にして、飲酒や運動は避けます。
 多少は無理をしても、栄養価が高く、喉越しの良い食べ物をとりましょう。栄養ゼリー、アイスクリーム、バナナ、スープ、麺類など。
 発熱を伴うため、脱水状態にならないように水分は十分に補給してください。
 うがいも忘れずに。
耳鼻咽喉科か内科へ
   重症化すると、扁桃周囲炎(へんとうしゅういえん)、扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)を合併してしまうことがあります。
 早めに、耳鼻咽喉科医か、内科医での診察を受けましょう。

習慣性アンギーナってどんな病気?
扁桃炎を繰り返します
  イメージ画像 扁桃腺が何回も炎症を繰り返します。1年に4回以上、2年間だと5回〜6回以上、急性扁桃炎を繰り返す場合は、「習慣性アンギーナ」と呼ばれます。
 原因の多くは、細菌による感染症で、児童〜青少年にかけて多い子供の病気です。しかし、30歳代以降の成人にもみられる病気です。
8回以上繰り返すと手術を検討
   炎症を繰り返す扁桃の中には、常に細菌の小さな巣が潜むようになります。過労、肉体的ストレス、外的ストレスなどを引き金として、扁桃に急性炎症が繰り返して起きます。
 扁桃炎を繰り返す人の中には、扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)という重症化した扁桃炎を起こす場合もあります。扁桃炎を合計8回以上繰り返した場合、扁桃摘出術の手術を考慮する目安となります。
腎臓や皮膚の炎症の原因になっていることも
   扁桃に潜む細菌の病巣が、扁桃以外の腎臓、皮膚の炎症の原因になるケースがあります。
 扁桃摘出術の手術で、それらが治ることも少なくありません。

扁桃摘出術とは?
耳鼻科で一番多い手術
  イメージ画像 扁桃摘出術・アデノイド切除術は、耳鼻科ではもっとも多く行われる基本的な手術です。
 手術の難易度としては高くありませんが、口の深いところでの操作を必要とし、手術後の出血を起こさないように止血操作を十分に行う必要があります。
子供に多い手術
   扁桃摘出術を受ける患者さんは、子供が多く、気道を直接的に触る手術となります。手術後の出血を考えると、その頻度は少ないとはいえ、耳鼻科医として神経を使う手術です。
全身麻酔か局所麻酔
   通常は全身麻酔で手術を行います。痛みを感じるのは、準備段階での点滴程度で、手術そのものは痛みを感じることはありません。
 患者さんが10歳以上で、患者さんの理解・納得が得られれば、局所麻酔でも行うことのできる手術です。
手術時間は1時間〜2時間
  イメージ画像 全身麻酔での手術は、手術台に仰向けに寝て、頭を少し下げた状態で、口を広く開け、ヘッドライトで口の中を覗きながら行います。
 手術時間は麻酔の時間も含めると、1時間〜2時間程度です。
 近年では、高周波、超音波メス、吸引凝固装置など、最新の機械の導入によって、痛みをともなわないような手術が行われるようになりました。
手術のリスク
   扁桃摘出術の危険性としては、麻酔合併症が1万件に1件程度です。手術後1時間〜6時間以内と、5日後〜7日後に出血の起こるケースが、1%〜3%です。
数日間の入院
   入院期間は、手術後3日〜7日程度です。食事は手術後4時間以上経過すれば、水分・プリン・ゼリーなどを摂ることが可能です。
 手術に必要な費用は、病院、入院日数によって異なりますが、3割負担で10万円〜15万円が目安となります。
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