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食べ物は便になって排泄 |
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口から摂取した飲食物は、胃→小腸→大腸を通って消化吸収され、便となって肛門から排泄されます。
唾液や胃液をはじめとする消化液が、1日数リットルも胃腸の中に分泌されますが、これも小腸や大腸で吸収されて、残りは便とともに排泄されます。 |
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吐き気・嘔吐・腹痛 |
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なんらかの理由により食べ物や消化液の流れが小腸や大腸で滞った状態、つまり内容物が腸に詰まった状態が腸閉塞です。
腸が拡張して張ってくるため、お腹が張って痛くなり、肛門の方向へ進めなくなった腸の内容物が口の方向に逆流して吐き気をもよおし、嘔吐したりします。
腸閉塞は、吐き気、嘔吐をともなう腹痛があらわれるもっとも代表的で一般的な病気です。 |
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血液成分の漏出 |
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腸管が拡張し腸内圧が亢進すると、腸管壁の静脈が圧迫されて静脈圧が上がります。
さらに毛細血管圧も上昇し、血管壁の透過性が亢進して、腸内・腹腔内に血液成分が漏出し、腹腔内に腹水が溜まったり、腸内容が増加します。 |
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腸麻痺 |
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腸管内圧の著しい亢進によって、壁血管が強く圧迫され、壁の血流不足が生じます。そのため組織が酸素欠乏の状態となり、腸麻痺となります。
血行障害は粘膜面に出血を起こしてびらんを作り、潰瘍を形成して穿孔を起こすことにもなります。 |
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水分・電解質の喪失 |
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嘔吐によって水分・電解質が失われ、血液は濃縮されます。
全血比重、血液粘度が増加した結果、末梢循環不全が起こって、血圧が下降します。加えて鼓腸が著しく横隔膜を挙上するので、呼吸運動の障害が現れ、一般状態が悪くなります。 |
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中毒 |
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腸管内で毒素が生成され、毒素が血液中に吸収されて全身障害を引き起こします。 |
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腸閉塞と腸狭窄 |
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腸の内容物の通過が完全に阻止された状態を、腸閉塞、またはイレウスと呼びます。
対して、内容物の一部が通過している状態を、腸狭窄と呼びます。 |
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機械的腸閉塞と機能的腸閉塞 |
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腸閉塞は原因によって、機械的腸閉塞と機能的腸閉塞に分類されます。
機械的腸閉塞は、腸管自身の病変が原因で起こります。機械的腸閉塞はさらに、血行障害をともなわない単純性腸閉塞と、血行障害をともなう絞扼性腸閉塞に分類できます。
機能的腸閉塞は、病変は認められず、腸管を支配する血管神経の障害で、腸の運動が障害されて起こります。機能的腸閉塞は、手術直後や腹膜炎の直後に見られる腸管運動麻痺による麻痺性腸閉塞と、腸管が部分的に痙攣することによって通過が阻害される痙攣性腸閉塞に分類できます。
日常、しばしばみられ、治療方針を早急に決定し、治療を必要とするのは機械的腸閉塞になります。 |