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高血圧対策


成人の2.6人に1人は高血圧の時代?

血管に強い圧力がかかりすぎる病気

 

イメージ画像 血圧とは、心臓から送り出される血液が血管に与える圧力のことをいいます。
 血圧には心臓が縮んで血管に圧力がかかるときに収縮期血圧(最高血圧)、心臓が拡張して圧力が低くなる時に拡張期血圧(最低血圧)の2種類があります。
 どちらかでも基準値を超えると、高血圧と診断されます。高血圧は、心臓のポンプ力と末梢血管の抵抗のどちらか一方か両方が高くなることで発症します。

血圧は24時間変動します

 

 血圧は常に一定ではありません。1日の中でも時間帯によってさまざまに変化します。さらに、運動、ストレス、気温などによって、血圧は上がりやすくなります。
 特に起床前後は注意が必要です。血圧が急上昇するため、脳卒中や心筋梗塞が発生しやすい時間帯となります。

原因は遺伝+生活習慣

 

 高血圧のタイプは2種類存在します。日本人の多くは、本態性高血圧です。生まれつき高血圧になりやすい人が、肥満、アルコール、運動不足などの悪い生活習慣を続けることによって、心臓や血管に負担をかけ、高血圧になってしまうタイプです。
 高血圧を防ぐには、まず、日頃の生活習慣の見直しが大切です。

遺伝要因
+
ナトリウムの摂りすぎ
過度のアルコール
喫煙
肥満・運動不足
ストレス
=
血圧の上昇
 

本態性高血圧

   

 高血圧になりやすい遺伝的な要因に、悪い生活習慣などの環境要因が加わって血圧が高くなります。

 

二次性高血圧

   

 腎臓病や内分泌系の病気、薬剤などの影響で起こる高血圧です。原因となっている病気を治せば、血圧も下がります。

高血圧と診断されたら

 

 ナトリウムを多く摂ると血液量が増加し、血圧が上昇します。また、ナトリウムは血管の収縮性を高め、血管の抵抗を大きくし、血圧を上昇させます。高血圧と診断されたら、1日の塩分相当量は6g未満に制限するように努めましょう。
 アルコールは医師の許可がある場合に限って、1日に日本酒なら1合弱、ビールなら中ビン1本、焼酎なら半合が適量です。


高血圧で怖い合併症は?

気付かないうちに合併症を引き起こす

 

イメージ画像 合併症とは、病期が原因になって起こる別の病気や症状のこと。高血圧では、初期にはこれといった症状が現れないため、合併症を起こしやすい病気です。
 血圧が高くなると、血管に常に強い圧力がかかり、血管の壁が硬く厚くなる動脈硬化になります。動脈硬化により血管壁の内面が傷付き、血栓ができたり破れやすくなります。
 動脈硬化によって狭く、もろくなった血管にさらに圧力がかかると、脳、心臓、腎臓の血流が滞って詰まったり、血管が破れて出血したりします。
 自覚症状がないからといって放置しておくと、脳出血心筋梗塞など、生命にかかわるさまざまな合併症を引き起こします。

高血圧のおもな合併症

 

 脳の病気では、脳出血、脳梗塞、認知障害などがあります。
 心臓の病気では、狭心症、心筋梗塞、心肥大、心不全などがあります。
 血管の病気では、閉塞性動脈硬化症などがあります。
 腎臓の病気では、腎障害、腎不全などがあります。

血圧の自己管理

 

 普段から、自分の血圧を知っておくことは、血圧のコントロールや、医師の診断において大変役に立ちます。家庭で簡単に計測できる血圧計を利用して、習慣づけるようにしましょう。
 家庭血圧は、135/85mmHg以上の場合、高血圧です。家庭血圧は以下の条件で測定し、同じ場所・同じ姿勢で測定し、記録もしっかりとっておきましょう。朝晩、どちらか一方なら、朝に血圧を測るようにしましょう。

起床後1時間以内
排尿後
座位(1分〜2分安静後)
朝食前
服薬前
就寝前
座位(1分〜2分安静後)

高血圧の予防法は?

定期検診を受けましょう

 

 日本高血圧学会では、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上を高血圧としています。血圧値によりT度、U度、V度の3段階に分類されます。
 高血圧は他の病気を合併することから、さらにそれぞれの段階と血圧以外の危険因子の有無により、リスク分けもしています。
 家庭での測定はもちろん、職場や市町村の健康診断を定期的に受け、予防の意識を普段から持つようにしましょう。

分類 収縮期血圧   拡張期血圧
至適血圧
正常血圧
正常高値血圧
T度高血圧
U度高血圧
V度高血圧
孤立性収縮期高血圧
120mmHg未満
130mmHg未満
130mmHg〜139mmHg
140mmHg〜159mmHg
160mmHg〜179mmHg
180mmHg以上
140mmHg以上
かつ
かつ
または
または
または
または
かつ
80mmHg未満
85mmHg未満
85mmHg〜89mmHg
90mmHg〜99mmHg
100mmHg〜109mmHg
110mmHg以上
90mmHg未満

降圧目標

 
  診察室血圧 家庭血圧
若年者・中年者 130mmHg/85mmHg未満 125mmHg/80mmHg未満
高齢者 140mmHg/90mmHg未満 135mmHg/85mmHg未満
糖尿病患者
慢性腎臓病患者(CKD)
心筋梗塞後患者
130mmH/80mmHg未満 125mmHg/75mmHg未満
脳血管障害患者 140mmHg/90mmHg未満 135mmHg/85mmHg未満

肥満に注意

 

イメージ画像 高血圧を発症させやすくするのが、肥満です。
 肥満はどこに脂肪が多くついているかによって2タイプに分類できます。注意が必要なのは内臓脂肪型肥満です。内臓に過剰な脂肪がついていると、血圧のコントロールが難しく、高血圧だけでなく、糖尿病、脂質異常症など他の生活習慣病も合併させてしまう可能性があります。
 最近の研究では、内臓脂肪型肥満では高血圧、糖尿病、脂質異常症のひとつひとつの症状が軽度でも合わせ持つと、動脈硬化の進行が加速されるといわれています。このような状態を、メタボリックシンドロームと呼ばれています。
 肥満を避けることが、健康作りの第一歩です。

 

内臓脂肪型肥満

   

 リンゴ型肥満、上半身肥満とも呼ばれる肥満のタイプです。
 お腹とその周辺に脂肪がつきます。多くは生活習慣病になりやすい、内臓脂肪型肥満です。

 

皮下脂肪型肥満

   

 洋ナシ型肥満、下半身肥満とも呼ばれる肥満のタイプです。
 下腹、腿、お尻に脂肪がつきます。女性に多く、ほとんどが皮下脂肪型肥満です。


高血圧の食事療法は?

量とバランス

 

イメージ画像 まず、1日の食事から摂るエネルギー量を守るようにします。次に、バランスです。炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの各栄養素をバランスよく摂るように心がけます。
 高血圧での食事療法は、1日の塩分摂取量を6g未満に制限することが理想です。

適正なエネルギーの計算

 

 適切なエネルギーは、簡単な計算で知ることができます。もし身長170cmで、あまり運動しない仕事の場合、1日の適正エネルギーは1600kcal〜1900kcalになります。中高年の多くは、身体活動レベルは低いです。

適正なエネルギーの計算式
身長m
x
身長m
x
22
x
身体活動レベルkcal
=
適正なエネルギーkcal
身長m 身体活動レベルkcal
身長170cmの場合、1.7mに換算して計算   低い 25kcal〜30kcal
歩行は1日1時間程度
軽作業やデスクワークが中心の生活
事務職の人、小さな子供のいない主婦など
普通 30kcal〜35kcal
歩行は1日2時間程度
立ち仕事が中心の生活
製造業・サービス業の人、小さな子供のいる主婦など
高い 35kcal〜
重い肉体労働が1日1時間程度
農業・漁業・建設業の人

ナトリウム・塩分方程式

 

 日頃から良く食べている食品の塩分量を知り、その中で高塩分のものは摂らないようにすることが大切です。最近では栄養成分表示をした食品を多く見かけるようになりましたので、この情報を上手に活用しましょう。
 食塩は塩化ナトリウムと呼ばれ、塩素とナトリウムが結合したものです。高血圧の原因のひとつは、厳密に言うと食塩の摂りすぎではなくナトリウムの摂りすぎです。ナトリウムは体にとって大切なミネラルですが、大量に摂取するのは避けましょう。

ナトリム→塩分方程式
ナトリウム(g)
x
2.54
=
食塩相当量(g)
ナトリウム(mg)
x
2.54
÷
1000
=
食塩相当量(g)

 塩分相当量は、ナトリウムから換算します。例えばナトリウムが2.9gであれば、食塩7.4gと同じになります。

表示例
主要栄養成分
エネルギー 100kcal
たんぱく質 1.1g
脂質 5.2g
炭水化物 8.4g
ナトリウム 20mg
食品栄養成分表
エネルギー たんぱく質 脂質 糖質 食物繊維 ナトリウム(食塩相当量) カルシウム
100kcal 8.9g 0.5g 8.9g 3.6g 3.2g(8.1g) 79mg
15kcal 1.5g 0.1g 1.5g 0.6g 531mg(1.3g) 13mg

きちんと計量

 

 塩分は食品だけでなく、調味料にも含まれています。
 さまざまな調味料を目分量で判断するのは、簡単ではありません。味付けも、調味料の少しの量で変化します。正確に塩分をコントロールするため、計量は計量スプーンを使ってきちんと行いましょう。

 

小さじ1杯、大さじ1杯とは?

   

 砂糖や塩などを計る場合、山盛りにすくってからヘラを使ってすり切りにした状態を、小さじ1杯、大さじ1杯といいます。
 液体の場合は、表面張力で少し盛り上がっている状態を、小さじ1杯、大さじ1杯といいます。

 

1/2杯とは?

   

 大さじ1/2、小さじ1/2は、まず1杯分を計り、そのあとヘラで必要分量に分けて、不必要な分は取り除きます。
 液体で1/2杯の場合は、計量スプーンの深さの約2/3くらいまでです。

 

便利な計量スプーン

   

 液体では1/3や1/4を計るのは、とても難しいです。そんな時には、使い勝手の良い1/3や1/4の計り切りタイプの計量スプーンも販売されていますので、活用してください。


1日どのくらい食べてもいいの?

栄養バランス

 

イメージ画像 毎食、主食・主菜・副菜をセットするように心がけ、各食品グループの重量分を1日3食に分けて食べれば、自然と栄養バランスが良くなります。
 それぞれ異なったエネルギー量の食事を作らなくてはいけない場合でも、摂取量に注意すれば、家族で同じメニューを食べることができます。
 高血圧での食事療法は、1皿の料理、1回の食事だけの対策ではなく、1日3食、または1週間単位で考えましょう。1日あたり1600kcalを目安にしましょう。

摂取量の目安

  食品群 1200kcal 1400kcal 1600kcal 1800kcal
摂取量 エネルギー 摂取量 エネルギー 摂取量 エネルギー 摂取量 エネルギー
炭水化物
を多く含む
食品
ご飯
その他の穀類
330g 510kcal 400g 656kcal 480g 758kcal 550g 904kcal
芋類 40g 28kcal 40g 28kcal 50g 35kcal 60g 42kcal
果実類 100g〜150g 44kcal 100g〜150g 44kcal 100g〜150g 54kcal 150g 82kcal
たんぱく質
を多く含む
食品
肉類 40g 91kcal 40g 91kcal 50g 114kcal 50g 114kcal
魚介類 60g 91kcal 60g 91kcal 70g 106kcal 70g 106kcal
大豆、大豆製品
その他の豆類
40g 54kcal 40g 54kcal 50g 68kcal 60g 82kcal
卵類 50g 81kcal 50g 81kcal 50g 81kcal 50g 81kcal
牛乳類 180g 129kcal 200g 143kcal 200g 143kcal 200g 143kcal
ビタミン
ミネラル
食物繊維
を多く含む
食品
緑黄色野菜 120g 34kcal 120g 34kcal 120g 34kcal 120g 34kcal
その他の野菜 230g 58kcal 230g 58kcal 230g 58kcal 230g 58kcal
キノコ類 10g 0kcal 10g 0kcal 10g 0kcal 10g 0kcal
海藻類 10g 0kcal 10g 0kcal 10g 0kcal 10g 0kcal
脂質
を多く含む
食品
油脂類 6g 48kcal 10g 80kcal 12g 96kcal 12g 96kcal
種実類 2g 11kcal 2g 11kcal 2g 11kcal 3g 16kcal
その他
調味料
砂糖類 6g 22kcal 6g 22kcal 6g 22kcal 6g 22kcal
調味嗜好飲料 0g 0kcal 0g 0kcal 10g 7kcal 15g 10kcal
合計エネルギー 1201kcal 1393kcal 1587kcal 1790kcal

バランス良い運動は?

偏った運動は良くない

 

イメージ画像 偏食が好ましくないのと同様、ひとつの運動だけを続ける運動の偏食も身体には良くありません。運動も食事と同じです。
 食事では炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養バランスが大切です。運動でも、ウォーキング、筋トレ、ストレッチの3つの運動のバランスが必要です。

 

ウォーキングの効果

   

 ウォーキングは全身を動かす運動なので、たくさんの期待効果が得られます。姿勢良く立ち、腕を振り、薄っすら汗を掻くスピードで歩くには全身の筋肉を必要とします。全身の筋肉にたくさんの酸素を送るため、肺や心臓も活発に働きます。
 有酸素運動の大きな特徴は、心肺機能が高まることで、スタミナ、すなわち持久力が高まります。さらに、溜まっていた脂肪の燃焼で体脂肪が減少し、歩く衝撃で骨を丈夫にします。
 目標とする歩数は1日1万歩。1日300kcal以上の運動を行っている人は、心筋梗塞脳梗塞などの心血管系の病気になりにくいと言われています。1日1万歩で、約300kcal分のエネルギー消費量に相当します。

 ウォーキングのポイント
@ 遠くを見る
A 手を軽く握り、肘を90度に曲げる
B 呼吸が苦しくない程度の早歩き
C お腹を引き締め、腰は高い位置にキープ
D つま先を進行方向に向けて地面を後ろに蹴ったら、膝を伸ばし踵から着地
E 頭は上下させない
F 背筋はまっすぐにして、少し胸を張る
G 肩に力の入らない楽な形でリズミカルに腕を振る
H 歩幅は慎重の半分の長さ
 

筋トレの効果

   

 ウォーキングだけでは、筋肉や骨を十分に強くすることはできません。そこで必要になるのが、筋力トレーニングです。筋トレは大きな力を身体に加えることで、筋肉を強くして骨を丈夫にします。さらに、大腿直筋などの大きな筋肉を鍛えれば、基礎代謝が上がり、脂肪が溜まりにくい身体になります。
 筋トレといえば、重りや道具を使って鍛えるきつい運動だと思われがちです。しかし道具を使わなくても、引き締めたい筋肉に短時間、全力で負荷をかけ続けることによって、しっかりと力がついていきます。
 特にオススメなのは7秒筋トレと呼ばれる、アイソメトリックです。これは関節を動かさないために安全性が高く、わずか7秒間全力で力を入れるだけで、引き締まった筋肉を作ることができる運動です。

 

ストレッチの効果

   

 ウォーキングと筋トレだけをしていると、背中や腰などの筋肉が硬くなり、怪我をしやすくなってしまいます。また、血行が悪くなることなどから、体調を崩す原因にもなります。
 そこで筋肉の柔軟性を高めるためにオススメなのがストレッチ運動です。身体が柔らかくなると、動作範囲(関節の可動域)が広がり、怪我をしにくくなります。血行も良くなり、筋肉や血管の健康を保つことに繋がります。
 目安としては、日常生活に不都合のない程度の柔軟性を維持することです。背中のチャックを閉められない、床に座って靴下を履けないという人は、今すぐストレッチを始めましょう。

無理は禁物です

 

 呼吸を止めて力むような運動は、血圧上昇の原因となるため避けるようにしましょう。また、寒い場所での運動は血圧の急上昇を起こさせるので避けるようにしてください。
 ウォーキングを行う時は、腕を大きく振らず、歩幅は通常よりも10cmほど狭めて、平らな道をブラブラと散歩するようにマイペースで歩きましょう。
 筋トレでは、呼吸を止めたり、力みすぎないようにして、7秒以上、力を入れ続けないようにしてください。
 ストレッチでは、リラックスして行うように心がけます。


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