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B型慢性肝炎


B型慢性肝炎の概要は?
おもな症状
  食欲不振
易疲労感
消化器症状
発熱
発疹
関節痛
症状が似ている病気
  長時間の労働や不眠などの生理的なもの
神経症、不安、抑うつなどの精神神経疾患
感染症の回復期、慢性感染症
慢性の腎臓病
糖尿病、甲状腺疾患、下垂体機能不全、クッシング病などの内分泌、代謝疾患
白血病悪性リンパ腫、その他悪性腫瘍
貧血
アルコール中毒、重金属中毒、麻薬中毒など外因性物質による中毒
急性心不全などの循環不全
水、電解質代謝障害
加齢
筋ジストロフィー、多発性筋炎、重症筋無力症、周期性四肢麻痺などの神経疾患、筋疾患
起こりやすい合併症
  肝硬変

周期性四肢麻痺
突然起こる四肢麻痺
   バセドウ病の患者さんでは、多量の飲酒、甘い物をたくさん食べたあと、突然、手足に力が入らなくなり、動けなくなることがあります。普通は数時間で自然に動けるようになります。
 時々起こるという意味で、周期性という言葉が使われますが、周期性があるわけではありません。
原因
   甲状腺機能亢進状態の時に、血糖が増えるとインスリンの作用によって血液の中のカリウムが急激に低下します。そのために、筋肉がうまく収縮できなくなるためだと考えられています。
 しかしなぜか、東洋人の男性に多く起こるのかなどの原因に関しては、まだわかっていません。
治療
   バセドウ病の治療によって、甲状腺のホルモンが正常になれば、起こらなくなります。
 普通は呼吸筋などの生命の維持に必要な筋肉には麻痺は起こりません。

B型慢性肝炎ってどんな病気?
経過は複雑
   B型肝炎ウイルス(HBV)感染症の経過は、多少複雑になります。
無症候性キャリアからB型慢性肝炎へ
   B型肝炎ウイルス(HBV)は、成人で感染するとB型急性肝炎を発症します。乳幼児期に感染すると、高率でキャリア(ウイルス保有者)となります。
 キャリアでは、HBVが肝臓に持続的に感染する状態になります。免疫がHBVを排除しようとしなければ、肝炎は発症しません。この状態を無症候性キャリアと呼ばれます。
 しかし、成長してある年齢になると、免疫がHBVを排除するように働きだします。この結果、肝炎が起こると慢性肝炎となります。
肝硬変や肝細胞ガン
   B型慢性肝炎は、免疫がB型肝炎ウイルス(HBV)に感染した肝細胞を攻撃します。HBVの増殖が弱まらないと、肝炎が長期にわたって続きます。
 その結果、肝臓の繊維化が進み、肝硬変(かんこうへん)へ進行します。また、B型慢性肝炎は、肝細胞ガンが合併しやすい特徴を持ちます。
セロコンバージョン
   B型慢性肝炎の経過中、HBe抗原から、HBe抗体へセロコンバージョンすると、多くの場合ウイルス量が低下して肝炎が沈静化します。つまり、血中に存在していた抗原が陰性になり、これに対する抗体が新しく陽性になることです。
 このため、HBe抗原のセロコンバージョンが診断上重要で、B型慢性肝炎の治療目標のひとつとなります。
感染対策
   B型慢性肝炎は、家族内で感染しやすい病気です。B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアの多くが、出生時に母親から感染するためです。このため1986年、HBVが母子感染するのを予防するための処置が開始されました。
 1986年以降に生まれた人のHBVキャリアは激減しました。母子間感染対策を続けることで、将来、B型慢性肝炎は消えていく病気と考えられています。

B型慢性肝炎の症状は?
症状は特にナシ
   B型慢性肝炎に特徴的な症状はありません。
 肝炎の活動性の高い時は、倦怠感、食欲不振などの症状があらわれます。逆に非活動性の肝炎や無症候性キャリアでは、症状はありません。
急性増悪
   B型慢性肝炎では、急性増悪(きゅうせいぞうあく)と呼ばれる現象がまれにみられます。
 慢性肝炎の経過中に、急に強い肝炎を起こすことです。血中のAST(GOT)やALT(GPT)は1000以上に上昇し、肝臓の機能が低下します。
 急性増悪の場合、だるさ、食欲低下などの症状が強くなり、黄疸(おうだん)、色の濃い尿がしばしばみられます。

B型慢性肝炎ウイルスキャリアの症状は?
B型肝炎の経過
   B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアは、一生の間に3つの段階を経過します。
  HBe抗原陽性の無症候性キャリア
     HBVの増殖は盛んに行われますが、肝炎はありません。
  慢性肝炎
     免疫がHBVを排除しようとする結果、肝炎が発症します。
  HBe抗体陽性の無症候性キャリア
     HBVは消えないものの、活動性は低下し、安定した状態になります。この段階でB型慢性肝炎としては治ったと考えられる状態になります。
経過の良い人、悪い人
   経過の良い人では、HBe抗原のセロコンバージョンとウイルス量の低下が速やかに起こり、肝炎は沈静化し、Bの段階となり安定します。
 経過の悪い人では、セロコンバージョンが起こらず、ウイルス量も低下しないため、活動性の肝炎が持続します。肝硬変になり、肝臓の機能が低下し、肝細胞ガンの合併も多くなります。

B型慢性肝炎の診断は?
肝機能検査
   肝炎の診断には、肝機能検査が有効です。
 血中AST、ALTは肝炎の指標となり、肝細胞の破壊が強くなると、血中での値が上昇します。
 B型慢性肝炎では、経過中に肝炎の活動性が大きく変化するため、AST、ALT値が40以下で安定していても、急に数百〜数千にまで上昇することもあるので注意が必要です。
HBe抗原の測定
   B型肝炎の診断は、HBe抗原の測定で行います。HBs抗原が陽性の場合は、B型肝炎ウイルスに感染していると判断します。
 HBs抗体が陽性の場合は、B型肝炎ウイルスに対して免疫があることを示します。B型急性肝炎で治癒したあと、B型肝炎ウイルスのワクチン接種後は、HBs抗体が陽性になります。
 B型慢性肝炎では、HBe抗原、HBe抗体、HBV DNA(デオキシリボ核酸)量の測定が、病気の状態を把握するために役に立ちます。
HBe抗原の値と、HBV DNAの値
   HBe抗原が陽性の場合、B型肝炎ウイルスの増殖が盛んで肝炎の活動性も高く、HBe抗体が要請の場合、その逆となります。
 血中HBV DNA量は、肝臓でのB型肝炎ウイルスの増殖力を反映します。このため、HBV DNAの測定は、治療方針の決定や、抗ウイルス薬の効果判定に広く用いられています。
B型慢性肝炎の治療法は?
3つの治療法
   B型慢性肝炎の治療法には、大きく分けて3つの治療法があります。
 肝庇護療法(かんひごりょうほう)、免疫賦活療法(めんえきふかつりょうほう)、抗ウイルス療法の3つです。
  肝庇護療法
     肝庇護療法は、肝炎を沈静化し、肝臓が硬くならないようにする治療法です。
 ALT値を目安にして治療を行います。
 治療薬としては、ウルソデオキシコール酸と、グリチルリチン製剤がおもに使われます。
  免疫賦活療法
     B型慢性肝炎の経過には免疫が大きく関連しています。免疫がウイルスの増殖をうまく押さえ込むことができると、HBe抗体陽性になり肝炎は治ります。
 B型肝炎ウイルス(HBV)に対する免疫賦活療法は、免疫がウイルスを押さえ込むのを補助する治療法です。
 インターフェロン(IFN)は抗ウイルス作用の他に、免疫賦活作用があり、HBe抗原からHBe抗体へのセロコンバージョンを促進する作用があります。さらにステロイド薬を数週間使用した後、使用を急に中止する事によって、HBVに対する免疫を賦活させるステロイド・リバウンド治療とIFN治療を組み合わせると、より強力な治療となります。
 この治療法は、一時的に肝炎が強くなることがあるので、専門医の指導が必要となります。
  抗ウイルス療法
     B型慢性肝炎では、抗ウイルス薬を用いてもB型肝炎ウイルスを排除することはできません。
 ウイルスの増殖を抑え、肝炎を沈静化させることが抗ウイルス療法の目標となります。ラミブジンはHBVの増殖を強力に抑制するので、肝炎を速やかに沈静化させる場合はとても有効です。
 ウイルスの突然変異におり、薬が効かなくなる耐性株の出現が問題となります。近い将来、新しい抗ウイルス薬がいくつか登場し、耐性株の問題は克服できると考えられています。

B型慢性肝炎ウイルスキャリアの治療法は?
経過には個人差
   B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアの自然経過は、大きな個人差があります。経過の良い人では、肝炎があっても治療を必要としない場合も少なくありません。しかし、経過の悪い人では積極的な治療が必要になります。
治療の判断
   経過の悪い人を予測する要因には、35歳以上である、男性である、家族内にB型肝炎があるなどがあげられます。治療を行うかどうかは、この要因に肝炎の活動性や線維化の程度を加味して判断します。
 治療法の選択は、HBe抗原、HBe抗体の状態、ウイルス量を参考に判断します。
3つの治療法
   B型慢性肝炎の治療法と同じく、肝庇護療法、免疫賦活療法、抗ウイルス療法があります。
 この中でも、抗ウイルス薬を用いた抗ウイルス療法は目覚しく進歩しています。現在はラミブジンのみが使用可能ですが、今後、数種類の薬剤が使用可能になります。これらの内服薬は、副作用も少なく、切れ味が良い特徴を持ちます。薬に対するウイルスの耐性株の出現も、克服されると予測されています。

B型慢性肝炎かなと思ったら?
定期検査を忘れずに
   B型慢性肝炎は、時期によって肝炎の活動性が大きく変化します。また、常に肝細胞ガンを合併する危険性があるので、肝炎が安定した状態にあっても医療機関での定期検査は必要となります。
 肝炎の活動性が高い場合は、急速に肝硬変へ進むことが多いので、専門医と相談し、積極的に治療することが必要です。
健康的な生活を
   食事は栄養のバランスを第一に考えましょう。禁酒はいうまでもありません。
 軽い運動、仕事は問題ありません。ただし、症状によっては制限されることもあるので、主治医に相談しましょう。
血液から感染
   B型肝炎ウイルス(HBV)は血液から感染するので、ヒゲ剃り、歯ブラシは共有しないこと。口移しで幼児に食べ物を与えない、出血した血液はすぐに処理するなどの注意が必要です。
 洗濯、食器、入浴は家族と一緒でも問題ありません。
予防が可能
   ワクチンや、HBs抗体を多く含む免疫グロブリン製剤によって、HBVの感染を予防することができます。
 通常の感染予防では、HBVワクチンを3回接種し、HBs抗体を作ることによって免疫を獲得します。母子間感染防御など早急に免疫を獲得する必要がある場合は、ワクチンに免疫グロブリン製剤を併用します。
セルフチェックも可能
   病院に行かなくても、自分でチェックすることも可能です。郵送されてくる検査キットを使用して検査・診断することができます。
【GME医学検査研究所】
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