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凝固因子製剤の補充療法 |
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治療の基本は、凝固因子製剤の輸注・補充療法による止血です。常に早期止血が重要となります。
1983年から導入された家庭輸注療法・在宅自己注射療法はきわめて有効で、出血を繰り返す例では定期投与による血友病性関節症の予防が期待できます。軽度の出血時の投与、あるいは定期的な予防投与を家庭内で自己注射で行うことができます。
従来の出血時投与から定期的予防投与へと治療の中心が変化し、適切な予防投与によって血友病患者の生活の質(QOL)も向上し、健常者とほぼ同様の生活が可能になってきました。
重度の出血、大手術を行う場合、第[因子製剤、または第\因子製剤を持続的に静脈内投与する持続輪中療法を行います。 |
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凝固因子製剤 |
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補充療法では、血友病Aでは第[因子製剤、血友病Bでは第\因子製剤を使用します。現在使用されている凝固因子製剤は、すべてウイルス不活化処理がされているため、止血効果は製剤間で差はありません。
補充療法での投与量、投与間隔、投与期間は、それぞれ出血部位、程度、血中半減期によってことなります。血中半減期は、第[因子は8時間〜12時間、第\因子は18時間〜24時間です。投与量の計算法は、血友病Aではx%上昇させるために体重1kgあたりx/2単位の第[因子を必要とします。血友病Bではx単位の第\因子を必要とします。
治療中に10%〜20%の症例で、因子に対するインヒビター・抗体が発生することがあり、このような症例にはバイパス療法としてプロトロンビン複合体、活性型プロトロンビン複合体、リコンビナント第Za因子製剤を使用します。 |
出血症状 |
止血因子レベル |
1日投与回数 |
投与期間 |
軽度 |
10%〜30% |
1回 |
1日〜2日 |
中等度 |
30%〜60% |
1回 |
1日〜3日 |
重度 |
60%〜100% |
2回 |
5日〜7日 |
小手術 |
60%〜100% |
2回 |
5日〜7日 |
大手術 |
100% |
2回 |
10日〜14日 |
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デスモプレシン療法 |
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デスモプレシン療法は、血管内皮からの内因性第[因子の放出によって血中濃度を上昇させるもので、中等症〜軽症の血友病Aに有効です。 |
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補助的薬物療法 |
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抗線溶薬(トランサミン)は口腔内の出血、抜歯後の出血には有効ですが、血尿には水腎症(すいじんしょう)を併発する危険性があるため禁忌です。
鼻出血・鼻血に対しては、鼻腔内タンポン(オキシセル綿型など)による圧迫止血を行う場合もあります。 |