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確立されていない治療法 |
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標準的治療法は確立されていないのが現状です。
蛋白同化ホルモン、抗胸腺細胞グロブリン、シクロスポリンなどの免疫抑制薬が用いられることがあります。
貧血が強い場合には赤血球輸血、血小板が減少して出血傾向がみられる場合には血小板輸血が行われます。輸血は効果的ですが、何回も繰り返している間に効果がなくなってしまう輸血不応症になることがあります。
活性型ビタミンD、ビタミンAの誘導体、ビタミンKが血液細胞の分化誘導を目的に用いられますが、有効率は低いとされています。 |
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低リスクMDSの治療法 |
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低リスクMDSで予後を左右するのは、骨髄機能の低下です。そのため、蛋白同化ステロイド薬、免疫抑制療法など、再生不良性貧血に準じた治療が行われます。
また、活性化ビタミンD、ビタミンKなどの分化誘導療法が効く例もあります。 |
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造血幹細胞移植 |
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エリスロポエチンという赤血球産生刺激ホルモンが効いて、輸血が不要になる例もあります。しかし日本国内では、保険適用外になってしまいます。
輸血が必要な若年の患者さんに対しては、同種造血幹細胞移植が考慮されます。 |
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高リスクMDSの治療法 |
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高リスクMDSでは、イビルビシンとシタラビン(キロサイド)という抗白血病薬を組み合わせた治療によって、50%〜70%の患者さんで症状の治まる寛解(かんかい)が得られます。
しかし通常の急性骨髄性白血病と違って、寛解が維持できる例はまれとされています。
高齢の患者さんが多いため、生活の質を考慮し、シタラビン(Ara-C)やエトポシドなどによる少量療法も試みられています。芽球の増加を抑制するのが目的ですが、急性白血病と同じように無菌管理などの支持療法が必要になります。治療関連死亡は少ないものの寛解導入率は20%〜30%にとどまり、生存期間の延長には繋がらないとされています。 |
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根治はやはり移植術 |
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根治を期待できる唯一の治療方法は、同種造血幹細胞移植しかありません。
かつては同種造血幹細胞移植の年齢の上限は50歳とされて、高齢者には造血幹細胞移植は積極的に行われていないのが現状です。最近の支持療法の進歩、骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植(ミニ移植)の開発によって、70歳くらいの患者さんにまで適応が広がっています。 |
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急性白血病に移行した場合 |
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急性白血病に移行した場合には、抗ガン薬を複数組み合わせて用いる多剤併用化学療法が行われます。寛解が得られる確率は約25%と不良です。 |