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アルツハイマー病

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アルツハイマー病の概要は?

おもな症状

 

強い記憶障害
見当識障害(けんとうしきしょうがい)
知能低下
関心や意欲の低下

似ている病気

 

血管性痴呆
初老期痴呆
老人の症状性精神病


アルツハイマー病ってどんな病気?

アルツハイマー博士

 

イメージ画像 アルツハイマー病は、1907年、55歳で亡くなった女性患者さんに関するアルツハイマー博士の論文にちなんで名付けられた病名です。
 嫉妬妄想(しっともうそう)、進行性の認知症を示し、大脳皮質に広範に特有な変性病変が見付かり、従来知られていない病気であることが報告されました。

若年者でも高齢者でも起こる

 

 アルツハイマー博士にようる論文発表以降、アルツハイマー病は65歳未満の人に起こる病気とされていました。高齢者にみられる認知機能障害とは区別されてきました。
 しかし約30年前、65歳未満の若年期のものと、高齢者に起こるものが、脳内の病変に共通点が多いことから、両者共にアルツハイマー病とまとめて呼ぶようになりました。
 アルツハイマー病は高齢者に発病することの方が多く、高齢者の認知症ではもっとも頻度が高い代表的な病気です。全体の50%〜60%を占めます。老年認知症と同一の疾患とみなされ、アルツハイマー型老年認知症、アルツハイマー型認知症とも呼ばれます。
 認知症の有病率は、男性よりも女性で若干高く、加齢と共に増え、85歳以上の男性で約22%、女性で約30%になります。原因別でみると、アルツハイマー病、脳血管性認知症、両者の混合型が認知症の大半を占めます。
 介護などの面では、若年者と高齢者とでは対応が異なることから、最近では若年期を分けてとらえることもあります。

脳の委縮

 

 初期症状の多くは、物忘れで始まります。
 記憶などの認知機能の障害が中心ですが、それ以外にも徘徊(はいかい)などの異常行動、物を盗られたという妄想、言葉が出てこない失語、見えているのに認識できない失認、わかっているのに動作できない失行などがみられます。
 CT検査、MRI検査など、画像検査を行うと、脳の委縮が認められます。
 認知症が着実に進行して、最後には寝たきりになり、5年〜15年の経過で肺炎などを合併して亡くなってしまいます。

アセチルコリンの補給

 

 アルツハイマー病では、アセチルコリンという神経伝達物質が減少しています。アセチルコリンを補うための薬として塩酸ドネペジル(アリセプト)が使用されるようになりました。
 さまざまなケアなども、治療の一環として行われています。


アルツハイマー病の原因は?

原因は不明

 

イメージ画像 最大の原因は老化という時間的な要因になりますが、どのように関与しているかはわかっていません。
 アルツハイマー病については、1980年頃の「コリン仮説」以来、活発な研究にも関わらず、いまだに原因は不明の病気です。
 「コリン仮説」というのは、アルツハイマー病の大脳ではアセチルコリンという神経伝達物質が減少しているために起こるという仮説ですが、原因解明には至りませんでした。
 原因は不明なものの、治療には大きな貢献をしました。
 現在、日本で使用できる塩酸ドネペジル(アリセプト)という薬は、アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼを阻害することで、脳内のアセチルコリンを増加させる作用を持っています。

βアルミロイド・タウ蛋白

 

 アルツハイマー病の脳には、βアルミロイドと呼ばれる蛋白からなる老人斑(ろうじんはん)と、タウ蛋白からなる神経原線維変化がたくさん出現します。そのため、神経細胞が脱落し、認知症が起こります。
 なぜβアルミロイドやタウ蛋白が脳に特異的に溜まるのかということに関しては、多くのことがわかってきました。しかし、原因解明にまでは至っていません。

家族性アルツハイマー病

 

 家族性アルツハイマー病では、いくつかの遺伝子異常が明らかにされています。
 一般的にアルツハイマー病は遺伝性疾患ではありません。アルツハイマー病の大部分を占める家族に同じ病気の人がいない孤発性アルツハイマー病では、遺伝子異常は明らかではありません。

その他の説

 

 遺伝子異常、金属異常(アルミニウム過剰)、神経伝達物質異常(アセチルコリン低下)など、さまざまな説がありますが、真の原因は不明です。


アルツハイマー病の症状は?

新しいことが覚えられない

 

イメージ画像 50歳以降に多く、特に65歳以降に多発します。初期症状では、新しいことが覚えられない、物忘れを訴える人が一番多いです。
 そのため、今までできていたことが困難になったり、自信を無くし、ヤル気を失い、抑うつ状態に陥ってしまうこともあります。
 同じことを何度も言ったり聞いたり、置き忘れ・探し物が多くなり、同じ物を買ってきたりするなど、記憶障害が徐々に目立つようになります。
 肩や腰の痛みを不治の病と思い込むような心気症、理屈に合わない考えに凝り固まるパラノイアという妄想がでることもあります。

時間がわからなくなる

 

 病気が進行すると、「今日は何月何日か」といったことがわからなくなるほど、時間が認識できない見当識の障害が現れます。
 物の名前が出てこない、臭いや味がわからない、約束通りに物事を実行できないなどの症状により、日常生活を送るうえで困ることが増加します。判断力の低下もみられます。

徘徊

 

 病気がさらに進行すると、新しいことだけでなく、古いことも忘れてしまいます。早いうちは物忘れを自覚していますが、徐々に病識も薄れてきます。
 言葉の理解ができず、道具が上手く使えない、着衣ができない着衣失行もみられます。
 トイレの場所がわからなくなったり、道順がわからなくなったり、自分の家の場所がわからなくなり家に帰れなくなる徘徊も見られるようになります。
 自分の家族がわからなくなったり、動作が鈍くなったり、話の内容もまとまらなくなります。

異常行動

 

 介護をする人が困るのは、高次脳機能障害よりも、行動や心理的な異常になります。
 暴力、暴言、大便を壁に塗る弄便(ろうべん)など、異常な行動がみられるようになります。

妄想

 

 もっとも多くみられる症状は、物を盗られたなどの物盗られ妄想、夫が浮気をしているなどの嫉妬妄想など、ありもしない事柄を妄想する心理的な異常です。

感情的な異常

 

 感情的にも不適切な反応が現れます。興奮する、不安になる、無関心で何もしない無為、とても楽しそうにしている多幸などもみられます。
 少しのことで動揺する易刺激性(いしげきせい)、抑制が効かなくなる脱抑制もあります。

日常生活での異常

 

 日常生活では、電話に出ることができない、外出して買い物の支払いができないなど、今までできていたことができなくなります。
 自分のことができなくなり、薬の正しい服用、入浴、食事、排泄も一人では難しくなり介護が必要になります。しかし、介護を拒否することもあります。
 自動車の運転が危険になるので、注意が必要です。

さまざまな妄想

 

 夜間の睡眠が十分にとれず、夜中に泥棒が入ったなど、ありもしないことを信じてしまう妄想が現れます。夜中に家族を起こして回る夜間せん妄がみられることもあります。
 誰も相手にしないと、自分は見捨てられたと思い込む見捨てられ妄想などもあります。

寝たきり

 

 高度のアルツハイマー病では、無為・無動が著しくなり、命令や刺激に対する反応が悪くなります。
 筋肉がこわばる筋強剛(きんきょうごう)、小刻み歩行といったパーキンソン病様症状がみられることもあります。末期には筋強剛や関節が硬く動かなくなる関節拘縮(かんせつこうしゅく)も強まり歩行ができなくなり、食事も自分でできなくなり、全面的な介護が必要になり、ついには寝たきりになることもあります。
 反応が少ない人でも、感情は豊かに保たれているので、見守る側が驚くこともあります。普通の対人態度を示し、人格が保たれる点が、ピック病との違いです。
 進行のしかたは人のよって異なりますが、数年〜十数年の経過をとり、肺炎などの合併症で亡くなってしまいます。


高次脳機能障害とは?

人が人であるために

 

イメージ画像 人間が人間らしさを発揮できるのは、高次脳機能です。
 人間の脳には、下等な動物にもある呼吸など生命維持に必要な部分や、運動や感覚に必要な部分に加え、物を覚える、判断するといった高度な機能と関係した新しい部分があります。
 これら、人にしか存在しない部位が障害されると、高次脳機能障害が起こります。

高次脳機能障害の症状

 

 高次脳機能の中心は、認知機能です。
 認知症では認知機能などの高次脳機能が障害されます。特に物忘れを起こす記憶障害がもっとも目立ちますが、それ以外にもさまざまな高次脳機能が障害されます。
 記憶障害以外の高次脳機能障害は、認知症の人で以下のような症状がみられます。

失語 発声、聴覚は正常なのに、言葉が出ない、理解できない
失行 手足は動くのに、挨拶や手招きなど適切な行動ができない
失認 感覚的には感知できるが、それが何であるか判断できない
実行機能障害 ことわざの意味の説明、言葉の概念が言い表せないなど、計画の実行が上手くできない

その他、さまざまな症状

 

 判断力、問題解決力、社会適応など、重要な高次脳機能もあります。記憶障害がなく、失語のみを示す人もいます。
 高次脳機能障害の方が、認知症よりも多くの病的な精神状態を含んでいます。


アルツハイマー病の診断は?

早期診断が重要

 

イメージ画像 早期診断が重視され、健忘(けんぼう)を中心とする軽度認知障害(MCI)の50%〜70%が、のちにアルツハイマー病に進展することが知られています。
 軽度認知障害のうちに、治療的介入をすることが大切です。

記憶に関する検査

 

 最初に行うのは、記憶に重きを置いた認知機能の検査です。
 良く利用されるのは長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、ミニメンタル・ステート検査(MMSE)です。詳しく評価する場合は、ウェクスラー成人知能検査(WAIS-V)、アルツハイマー病評価スケール(ADAS)を使用します。
 高度認知症の人には、SIBという検査も行います。

日常生活に関する検査

 

 日常生活に関する検査では、臨床認知症評価尺度(CDR)が使用されます。
 記憶、見当識、判断力、問題解決能力、社会適応、家庭状況、趣味、関心、介護状況などを5段階で評価します。

機能評価ステージ

 

 機能評価ステージ(FAST)では、物忘れ、会話、旅行、家計、着衣、入浴、排便、歩行の程度を検査します。その結果により、軽度、中等度、高度に分類されます。

神経精神情報詳細

 

 介護する上で問題になるのは、行動・心理症状です。
 神経精神情報詳細(NPI)によって、評価します。
 妄想、幻覚、興奮、脱抑制、不安、多幸、無為、異常行動などについて評価します。

画像検査

 

 アルツハイマー病では脳が委縮するため、エックス線検査、CT検査、MRI検査を行い、脳の形を検査します。
 脳の海馬(かいば)と呼ばれる部分の委縮が強いので、VSRADという方法で正常者との違いを比較します。
 脳波検査・SPECTでは、頭頂領域、後部帯状回中心の血流低下が特徴です。PETによる脳酵素・グルコース代謝検査が行われることもあります。
 これらの検査結果は、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など、認知症の他の原因を見付けることにも役立ちます。

脳血流の検査

 

 脳血流と言って脳の血の巡りが悪い部位をコンピューター処理によって画像表示で検査したり、アルツハイマー病の発症と関係の深い老人斑アミロイドの蓄積を発見する方法もあります。
 血液検査など、一般検査に異常はありません。
 髄液検査が行われることもあり、βアミロイドの低下、タウ蛋白の上昇がみられます。

DNA検査

 

 家族性に発病するアルツハイマー病の人については、家族の了承を得た上で遺伝子検査を行うこともあります。
 遺伝子検査においては、個人情報の保護が十分に配慮されます。

診断の順序

 

 アルツハイマー病の診断は特定の検査だけでは難しいため、順序を踏んで行われます。DSM-W-TRや、NINDS-ADRDAの診断基準が用いられます。
 物忘れがあれば軽度認知障害ではなく、広義の認知症であることを確認します。その中から、身体疾患、脳外科的疾患を除外診断し、狭義の認知症とします。

認知症の疑い
┣━ 正常範囲内(年齢相応)
病的
┣━ 過度の飲酒、薬物、一時的な健忘症
┣━ 急性発病、軽度の意識障害・せん妄
軽度認知障害の可能性もあり
慢性
┣━ 機能性:うつ病、妄想性障害
器質性
┣━ 身体疾患:代謝性疾患、内分泌疾患、酵素異常症、感染症、免疫疾患、電解質異常など
┣━ 脳外科的疾患:正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫
広義の認知症に含まれる(回復の可能性あり)
狭義の認知症の鑑別診断
┣━ 脳血管性認知症
┣━

プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病など)
進行が早く悪くなるのが早い
小脳症状やミオクローヌスなどの神経症状が現れる
┣━


前頭側頭認知症(ピック病、進行性核上麻痺など)
前頭葉・側頭葉の限局性脳委縮が現れる
性格変化、反道徳的行為をすることが多い
記憶障害は比較的軽度
┣━


レビー小体型認知症
症状が動揺する
幻視がみられることが多い
パーキンソン病様の症状、自律神経障害が現れる
┣━ 他の変性型認知症、ハンチントン病など
アルツハイマー病の疑い

診断の難しさ

 

 狭義の認知症から脳血管性認知症、プリオン病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、他の変性型認知症を除外し、初めてアルツハイマー病が疑われます。


アルツハイマー病の治療法は?

塩酸ドネペジル

 

イメージ画像 アルツハイマー病の治療薬として認可され、市販されている薬は、塩酸ドネペジル(アリセプト)だけです。
 アルツハイマー病の患者さんの脳では、アセチルコリンを作り出す酵素の働きが弱くなっており、アセチルコリンが減少してしまいます。
 塩酸ドネペジルはアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼの働きを止めるように作用し、減少したアセチルコリンを増加させます。
 これは進行を遅くする効果を期待して使用されます。

日本で開発された薬

 

 塩酸ドネペジルは日本で開発された薬ですが、最初はアメリカでアルツハイマー病に対する効果が証明されました。
 3年後、日本国内でも認知機能、日常動作、生活の質の改善が認められたことから、1999年に認可されました。

服用量

 

 最初に認められたのは、軽度〜中等度のアルツハイマー病の患者さんへ3mg錠と5mg錠でした。
 2007年以降、高度のアルツハイマー病の患者さんへ10mg錠の処方が認可されました。
 投与にあたっては、塩酸ドネペジルを1日3mg、1週間〜2週間後に5mgに増量します。
 高度のアルツハイマー病には10mgを投与することもあります。

塩酸ドネペジルの効果

 

 塩酸ドネペジルは認知障害のみならず、家族や介護者の印象評価の面、一部の精神症状や行動障害にも効果がみられると報告されています。

薬の副作用

 

 塩酸ドネペジルはすぐに脳に入り込みますが、消化器に副作用が現れることがあります。
 吐き気、嘔吐、唾液が出る、脈が遅くなる、汗が出るなどを訴える人もいます。
 消化器の副作用に対しては、胃薬を服用します。
 脈が遅くなるため、長時間の入浴は避けるようにしてください。

外国と日本の治療格差

 

 外国では、塩酸ドネペジル以外のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬として、ガランタミン、リバスチグミンがアルツハイマー病に使用されています。日本国内での試験は終わりましたが、認可には至りませんでした。
 外国では、アセチルコリンの働きを促進し、グルタミン酸の働きを抑えるメマンチンという薬も使用されています。日本での試験は終わりましたが、まだ認可されていません。

新薬の研究

 

 世界各国で、β-アミロイド蛋白の抗体によって、アルツハイマー病を根本的に治療しようという計画が始まっています。βアルミロイドを取り除くワクチンの開発が進められています。
 β-アミロイド蛋白というのは、神経細胞を破壊する働きがあるため、それを除去しようとする計画です。
 新薬の開発に成功すれば、アルツハイマー病治療に画期的な治療法になると期待されています。

その他の治療薬の使用

 

 塩酸ドネペジル以外には、アルツハイマー病の患者さんに使用できる薬がないため、ほかの病気に使用される薬を使うこともあります。
 それらの薬には副作用が多いため、できるだけ短期間、少量を慎重に投与します。
 アメリカ食品医薬局(FDA)の報告によると、死亡率の増加が指摘されています。そのため、約3ヶ月をめどに薬を中止するのが大切と考えられています。
 長く薬を使用し続けると、高齢者では神経系や循環器系などに副作用が現れ、最悪の場合には死に至ることもあるためです。

妄想・徘徊

 

 妄想、徘徊などの行動・心理症状がある場合、非定型抗精神病薬と呼ばれるクエチアピン(セロクエル)、漢方薬の抑肝散(よくかんさん)が使用されます。
 しばらくすると、異常な言動がなくなる患者さんもいます。

抑うつ・睡眠障害

 

 抑うつ、睡眠障害のあるアルツハイマー病の患者さんには、塩酸トラゾドン(レスリン、デジレル)などのセロトニンの取り込みを抑える抗うつ薬が効果があります。
 睡眠障害のある認知症の患者さんには、通常の睡眠薬はあまり効果がありません。

末期

 

 末期には寝たきり状態にともなう床ずれ、栄養障害、嚥下性肺炎などの合併症に注意をします。

認知症治療の概略

     
認知所であることの診断
   
鑑別診断 ┏━━ ━┳━ ━╋━ ━┳━ ━━┓
 
アルツハイマー病
レビー小体型認知症
前頭側頭型認知症
脳血管性認知症
その他の認知症
 
第1段階
非薬物療法(ケア・リハビリテーションなど)
危険因子の検索
原因疾患の診断
 
第2段階
塩酸ドネペジル(アリセプト)の投与
危険因子の除去
原因疾患の治療
行動・心理症状(+)
第3段階
非定型抗精神病薬(クエチアピン、セロクエルなど)や抑肝散を短期間、慎重に投与
抑うつ・不眠(+)
第4段階
セロトニン取り込み阻害薬(トラゾドン、レスリン、デジレルなど)の投与
パーキンソン病様症状(+)        
第5段階  
抗パーキンソン病薬の投与
     

アルツハイマー病の非薬物療法の治療法は?

薬物療法と合わせて行う

 

イメージ画像 薬物療法にようる治療には限界があるため、介護保険などによる、ケアなどの非薬物療法も行われます。進行を遅くしたり、BPSDを軽減するのに役立つことが期待されています。
 非薬物療法は薬物療法と異なり、ケアする人のやり方によって差が出てきてしまいます。
 環境の整備も症状の改善には大切です。

非薬物療法の基本

 

 上手なやり方としては、以下のことが挙げられます。

@ その人らしさを大切にする
A 楽しく笑顔が出るようにする
B 本人の能力を発揮させる
C 安全に行う
D 慣れ親しんだ生活を継続させる

認知症ケアマッピング

 

 認知症ケアマッピングと言って、ケアサービスの質を評価し改善する手法によって、ケアなどの効果を確認すると良いでしょう。
 認知症の患者さんの状態は、ケアの方法の良否を写す鏡であると言われ、良いケアをすると笑顔が見られます。

バリデーションセラピー

 

 認知症の患者さんの混乱した行動の裏には、必ず理由があると考えます。その異常を受け入れ、共感を持って対応します。
 会話の終わりの言葉を繰り返すと、コミュニケーションがとりやすくなります。

リアリティーオリエンテーション

 

 時間や場所がわからないで不安に思っている人に、時間や場所を教えてあげると、安心感が戻ってくることがあります。

回想法

 

 昔の話、かつて馴染んだ作業をすると、感情的な安らぎを得て、自信が戻り、生き生きするようになります。

音楽療法・絵画療法・アートセラピー

 

 音楽を聴いて楽しむ、楽しく歌う、絵や彫刻、粘土細工を楽しむと、症状が改善します。

認知刺激

 

 初期の認知症の人には、トランプ、オセロ、計算などの知的な刺激が認知機能を高めます。

運動療法

 

 運動を続けることで、認知機能が高まり、認知症の予防にも有効という報告があります。

失敗しても叱らないこと

 

 この他にも、マッサージや香りを楽しむアロマセラピーも良く行われています。
 こうした治療法は決して無理強いすることなく、失敗しても叱らないことが大切です。
 間違いを指摘したり、叱ったりすると、症状が悪化してしまいます。


アルツハイマー病かなと思ったら?

まずは医師に相談を

 

イメージ画像 物忘れは高齢者では誰にも見られますが、物忘れによって本人や周囲の人に迷惑がかかるようなら、認知症の可能性があります。
 意識障害などの可能性もあるため、まずはかかりつけの医師に相談して正確に診断してもらってください。

まずは非薬物療法から

 

 もしアルツハイマー病であれば、非薬物療法によって改善を図ります。
 公的支援を利用して、介護保険やデイサービスなどのリハビリテーション活動も活用してください。

薬の服用

 

 次に、塩酸ドネペジルを3mg、投与します。その後、5mgに増量します。
 行動・心理症状がある場合、クエチアピンなどの非定型抗精神病薬、抑肝散などを少量、短期間、慎重に使用します。

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