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筋萎縮性側索硬化症・運動ニューロン疾患・ALS


筋萎縮性側索硬化症・運動ニューロン疾患の概要は?

おもな症状

 

全身の筋肉がやせて力がなくなる
手の指や足の力がなくなる
うまく喋れない
むせ込みやすくなる

似ている病気

 

椎間板ヘルニア
脊髄空洞症(せきずいくうどうしょう)
さまざまな末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)
多発性筋炎(たはつせいきんえん)などの筋肉の病気
脳卒中(のうそっちゅう)、多発性脳梗塞(たはつせいのうこうそく)による仮性球麻痺
延髄(えんずい)の脳梗塞
重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)

起こりやすい合併症

 

飲み込みが悪いことや呼吸筋の麻痺にともなう肺炎
低酸素血症(ていさんそけっしょう)


筋萎縮性側索硬化症・運動ニューロン疾患ってどんな病気?

運動ニューロン疾患

 

イメージ画像 大脳からの運動の命令を筋肉まで伝える運動神経が選択的に障害され変性・死滅するため、全身の筋肉が次第に萎縮していく原因不明の疾患の総称です。
 感覚神経・自律神経・脳の高度な機能などの運動神経以外はほとんど障害されません。
 進行性の神経変性疾患で、総合的に運動ニューロン疾患と呼ばれています。
 発症率は人口10万人に対して2人〜4人です。

代表的な筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)

 

 個々の筋肉を動かす神経系は、大脳から出て脊髄に至るまでを上位運動ニューロンと呼び、脊髄から筋肉に至るまでを下位運動ニューロンと呼びます。変性が生じた範囲によって、脊髄性進行性筋萎縮症(せきずいせいしんこうせいきんいしゅくしょう)、進行性球麻痺(しんこうせいきゅうまひ)、筋萎縮性側索硬化症などの病気に分類されます。
 運動ニューロン疾患の中でも代表的なものが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)というまれな病気で、特定疾患(難病)に指定されています。
 多くは孤発性ですが、一部は家族内発症がみられます(家族性ALS)。


筋萎縮性側索硬化症・運動ニューロン疾患の原因は?

原因不明

 

イメージ画像 詳しい原因はまだはっきりしていません。
 アミノ酸代謝の異常や、自己免疫が関係するなど、いくつかの学説が存在します。
 約10%に遺伝性があります。家族内発症の一部では、遺伝子異常が見つかっています。


筋萎縮性側索硬化症・運動ニューロン疾患の症状は?

手足に力が入らなくなる

 

イメージ画像 多くは50歳代の男性で発症します。なんの前兆もなく、手足に力が入らなくなり、筋肉がやせていきます。何もしていないのに筋肉が自然にピクピクと動く筋繊維束れん縮で気付くこともあります。
 内臓、心臓、物を考える力は障害されないのが普通です。寝たきり状態になっても、床ずれ、排尿障害、眼を動かす筋肉の障害が出にくいのも特徴です。
 典型例では、片側の手か足の先に力が入らなくなり、次第に全身へと広がっていきます。手が扁平な感じになったり、足ではつま先が上がらなくなったりします。
 口や喉の筋肉が障害されると、ろれつが回らずうまく喋れなくなります。食事でむせ込む嚥下障害(えんげしょうがい)、咳が出るようになります。
 呼吸器が障害されると呼吸がしにくくなり、痰も出しづらくなります。人工呼吸器を用いなければ体内に二酸化炭素がたまり、意識がもうろうとして、やがて呼吸も止まってしまいます。


筋萎縮性側索硬化症・運動ニューロン疾患の診断は?

筋電図検査

 

イメージ画像 一般的な血液検査、頭部CT検査、MRI検査では異常は認められず正常です。
 類似した疾患を除外し、筋電図検査で運動ニューロンの障害を証明することで診断されます。初期では他の疾患との見分けが難しい場合もあります。

似たような病気

 

 似たような症状の病気では、頸椎症(けいついしょう)、末梢神経障害、多発性筋炎などの筋肉の病気があります。また、脊髄空洞症(せきずいくうどうしょう)、脊髄空洞症など、さまざまな病気があります。


筋萎縮性側索硬化症・運動ニューロン疾患の治療法は?

治療法は研究中

 

イメージ画像 筋萎縮性側索硬化症の治療法は、現在のところまだありません。
 グルタミン酸拮抗薬であるリルゾールという薬は病気の進行を遅らせる効果が証明され使用されていますが、進行を遅らせる効果はごく軽微なものです。
 このほか、いくつかの薬剤の開発・治験が進められているところです。

基本は対症療法

 

 筋萎縮性側索硬化症の治療法は、基本的には対症療法となります。
 嚥下障害に対しては経管栄養、呼吸筋麻痺に対しては鼻マスクや気管切開をして人工呼吸器によって呼吸を補助する方法があります。
 運動療法は必要ですが、疲れすぎない程度に止めるべきです。

予後は良くありません

 

 筋萎縮性側索硬化症は、やがて全身の筋肉が動かなくなり寝たきりになり、最終的には呼吸筋麻痺で死亡してしまいます。
 進行には個人差がありますが、総じて予後は不良で、発症から死亡までの期間は2年〜4年です。呼吸器の合併症などで死に至るケースがほとんどです。なかには10年以上に渡ってゆっくりと経過する人もいるので、進行の速さには個人差があります。


筋萎縮性側索硬化症・運動ニューロン疾患かなと思ったら?

神経内科へ

 

イメージ画像 似たような病気がたくさんあります。また、運動ニューロン疾患の中でも病気の種類によって進行の速さが異なるため、神経内科の専門医の診0察を受けるようにしましょう。

筋萎縮性側索硬化症になると

 

 病気が進行すると飲み込みにくさのために誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)、窒息(ちっそく)を起こすので、食べやすい食事の形態の工夫や、痰を除去するための吸引装置の準備、経管栄養や胃瘻(いろう)の増設が必要になります。
 呼吸麻痺については、将来的には気管切開や人工呼吸器を使用することがあります。
 担当医、本人、家族とで、あらかじめよく相談しておくことが大切です。

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