そらいろネット > 家庭の医学 > 肝臓・胆嚢・膵臓の病気 > アルコール性肝障害

アルコール性肝障害


アルコール性肝障害の概要は?

おもな症状

 

吐き気
食欲不振
体重減少
全身倦怠感
腹部膨満感
脂肪肝では普通は軽い症状
アルコール性肝炎では発熱、黄疸、右上腹部痛、重症の場合は消化管出血、意識障害
肝硬変では黄疸、腹水、消化管出血、意識障害

症状が似ている病気

 

肝炎ウイルスによる肝臓病
胆石症などの胆嚢の病気
大量飲酒後の禁断症状
アルコール性精神病による意識障害

起こりやすい合併症

 

急性胃炎
急性膵炎
慢性膵炎
貧血
血小板減少
出血傾向
高脂血症
糖尿病
痛風
アルコール性精神病
中枢神経・末梢神経の障害
食道静脈瘤からの致命的出血(肝硬変)
肝不全による肝性昏睡(重症の肝炎、肝硬変)
脂肪肝(日本酒換算で1日平均3合以上を5年以上)
肝繊維症(日本酒換算で1日平均3合以上を5年以上)
肝炎(日本酒換算で1日平均3合以上を5年以上)
肝硬変(日本酒換算で1日平均5合以上を5年以上)
 肝生検と呼ばれる方法で肝臓の組織を取り、顕微鏡で見て確定されます。普通は検診、血液検査、超音波検査である程度診断することが可能です。
 脂肪肝や軽度の繊維症は、禁酒によって元通りに良くなります。しかし、繊維症が高度になると、肝硬変に進行することがあります。また、肝炎になると肝硬変に進むことがあり、重症の場合は肝炎だけでも死亡することがあります。肝硬変は治らない病気ですが、禁酒によって肝臓の働きは正常に戻ります。
 肝硬変で飲酒を続けると肝臓の働きが低下し、死亡してしまうことがあります。肝炎や肝硬変では、肝臓の働きが著しく低下した状態を肝不全と言います。


アルコール性肝障害ってどんな病気?

アルコールの過剰摂取

 

 アルコールは肝臓で代謝され、アセトアルデヒドから酢酸に変化します。長期大量の飲酒によって肝臓の働きに負担がかかると、アセトアルデヒドによって肝細胞が障害され、肝臓の病気になります。
 アルコールの過剰摂取で最初に起こるのが、アルコール性脂肪肝です。その次に繊維症があります。
 その状態からさらに大領飲酒を続けると、約20%の人にアルコール性肝障害が起こります。
 肝硬変がもっとも重い病気になります。

重症型アルコール性肝炎

 

 アルコール性肝障害の中には、肝性脳症(かんせいのうしょう)、肺炎、急性腎不全、消化管出血などの合併症や、エンドトキシン血症などをともなって、1ヶ月以内に死亡してしまう重症型アルコール性肝炎と呼ばれる病態があります。
 重症化しない場合であっても、長期に大量飲酒を続けるとアルコール性肝繊維症(かんせんいしょう)を経て、アルコール性肝硬変になることがあります。

飲酒に注意

 

 飲酒の機会は男性の方が多いものの、同じ量の飲酒を続けていると、女性の方が早く肝障害が現れることが分かっています。
 アセトアルデヒドを分解する酵素が生まれつき少ない人は、少ない飲酒量でも肝障害を起こしやすいことが分かっています。
 ウイルス性肝炎を合併している場合、すぐに肝硬変に進行し、肝細胞がんを合併しやすいので注意が必要です。


アルコール性肝障害の原因は?

長期大量の飲酒

 

 長期、大量の飲酒によって肝細胞に中性脂肪が蓄積すると、脂肪肝になります。脂肪の量が多くなると細胞の働きが低下し、細胞が壊れることもあります。
 さらに障害が高度になると、肝細胞の周りに繊維ができ、繊維症になります。肝臓を流れる血液が繊維によって妨げられ、細胞に入る血液量が減ると、肝臓の働きが低下してしまいます。

   
アルコール
   
   
90%-100%
   
脂肪肝

節酒・断酒
 


 
30%-40%
治癒
  10%-20%  
肝繊維症

断酒
 

 
10%-30%
アルコール性肝炎
肝硬変
   



    重症化  
肝がん
     
   
死亡

アルコール性肝炎

 

 普段、大量に飲酒している人が一度に極端な大量飲酒をすると、アルコール性肝炎になります。
 アルコールが代謝されてできるアセトアルデヒドによって肝細胞の働きが直接障害され、たくさんの細胞が壊れてしまいます。黄疸ができるのは、細胞が壊れたために起こる現象です。

肝硬変

 

 繊維症が高度になったり、肝炎が治った後に肝硬変になります。
 肝細胞の集団の周りに硬い繊維ができ、細胞に入る血液量が著しく減少し、肝臓のたんぱく質を合成する働きや、有毒物質を分解する働きが低下してしまいます。
 食道静脈瘤がでいるのは、肝臓を通って心臓に行く血液の流れが障害され、肝臓を通らないで直接心臓へ行く血管を通るようになるためです。
 出血傾向が現れるのは、血液凝固因子の合成が低下するためです。
 肝性昏睡(かんせいこんすい)が起こるのは、アンモニアなどの脳を障害する物質が増えるためです。

欧米での研究

 

 慢性的な大量の飲酒が肝臓に障害を引き起こすことは、古代ギリシャの時代から良く知られていました。
 Pequignotらによると、純アルコールに換算して1日80g未満を対照群、80g〜160gを危険群、160g以上を高危険群とした場合、肝硬変の頻度は対照群に比べて危険群では約5倍、高危険群では約25倍になることがわかりました。
 このような研究をもとに、欧米では1日あたりの安全域をアルコールに換算すると30g程度と見積もっています。
 白人種と黄色人種とでは遺伝的背景が異なるために不明確なことも多く、日本人の安全域は明確になっていません。

日本の酒豪

 

 日本では1日平均150g以上のアルコールを飲む人を大酒家と呼んでいます。
 この量をお酒に換算すると、日本酒では5合、ビールでは大びん5本、ウイスキーではダブルで5杯くらいになります。
 日本では、約240万人がこの範疇に入ると言われています。

お酒の適量

 

 日本酒1合に含まれるアルコール量は、約28gになります。
 1日に日本酒2合で、隔日に飲酒すると仮定すると、1日あたり平均28gのアルコールを摂取する計算になります。
 健康日本21運動では、20gを目安として掲げているので、「1週間に2回、日本酒2合で健康生活」ということになります。


正しいお酒との付き合い方

健康診断と肝臓

 

 欧米諸国では啓発活動の浸透によって、アルコールの消費量は減少傾向にあります。日本でも、一時のワインや発泡酒ブームが終わり、アルコール消費量は横ばいに推移しています。
 健康診断を受診する人がもっとも気にしている項目のひとつに、肝臓にお酒による障害がないかということでしょう。
 マスコミなどを通じて、適量の飲酒に関する啓発活動が不十分だとも言えます。昔から、酒は百薬の長と言われ、持病のない人にとっては適度な飲酒は健康に良いとされています。

適切な飲酒量

 

 アルコールを50g〜60g(日本酒なら2合、ビールなら大瓶2本、ウイスキーならダブルで2杯)飲むと、健康な人で血中アルコール濃度が0.1%ほどになって「ほろ酔い」状態となり心地よく感じるようになります。
 1日の飲酒量をこの程度に抑え、1週間に2回〜3回にして、バランスのとれた食事をすることで、健康な人の正しいお酒との付き合い方になります。
 ただし、肥満、糖尿病、脂質異常症、痛風などの持病がある人は、飲酒が持病に悪影響を与えることがあるので注意してください。


アルコール性肝障害の症状は?

最初は無症状

 

 アルコール性脂肪肝は日本酒換算でおよそ5合を5週間続けただけで引き起こされます。そのため、大量飲酒者のほとんどに見られますが、通常は無症状です。肝臓が腫れるため、右上腹部痛が起こることがあります。
 3合以上の大量飲酒を続けると、約20%の人にアルコール性障害が発症します。
 一般には吐き気、食欲不振、体重減少、全身倦怠感、腹部膨満感などが現れます。
 アルコール性肝炎では発熱、黄疸、右上腹部痛をともない、重症型では出血傾向によって消化管出血を起こしたり、肝不全に陥って肝性昏睡を起こします。

アルコール性肝硬変になると

 

 さらに進行してアルコール性肝硬変になっても、症状が軽いこともあります。
 普通は食欲不振や全身倦怠感などの症状が強く、手のひらが赤くなったり、首や肩の皮膚に赤い斑点が出たり、性欲が減退します。
 症状が進行して非大償期と呼ばれるとき、黄疸、腹水が現れます。この時期になると、食道静脈瘤、出血性胃炎によって消化管出血を起こし、肝不全に陥って肝性昏睡を起こすようになります。

アルコール性肝障害の診断は?

定期検診

 

 日頃から肝機能、膵機能、空腹時の血糖値に異常がないかどうか定期検診を受けるようにしてください。
 多くの飲酒者では、γ-GTPが高値を示すので、個人差はありますが飲酒量のバロメーターとして活用することができます。

血液検査や超音波検査

 

 肝臓の繊維化が進んでも、血液検査で異常が見つからないこともあるので、肝臓の状態を知るために腹部超音波検査や肝生検が必要になります。
 血清アルブミン値、血小板数に異常があれば、比較的進んだ肝障害があることを意味していることが多いので注意してください。

男性は20年・女性は12年

 

 大量飲酒を20年間続けると、肝硬変になる可能性が高くなります。
 女性の場合、2/3の飲酒量で12年間続けると、肝硬変になる可能性が高くなります。
 日々の飲酒量をチェックすることが大切になります。


アルコール性肝障害の治療法は?

禁酒

 

 節酒ではなく、断酒会などを積極的に活用して、禁酒することが大切です。
 禁酒といっても継続して守ることは難しいので、精神医学的なアプローチも重要になります。

静養と食事

 

 ある程度の安静を保って、栄養のバランスのとれた食事をとるようにします。
 脂肪肝や軽度の繊維症、肝炎なら、元通りに良くなります。
 肝硬変でも、長期間禁酒と栄養バランスのとれた食事を摂取するようにすえrば、肝臓の働きは正常に回復します。

重症なら入院

 

 重症の肝炎や非代償期の肝硬変では、入院して点滴で栄養を補い、腹水がある人は利尿剤を服用します。
 食道静脈瘤からの出血や肝性昏睡を起こした人は、止血や意識改善のために特殊な治療を受ける必要があります。
 良く使われている止血法には、内視鏡を使う食堂静脈硬化療法があります。
 肝性昏睡には、特殊アミノ酸製剤などの点滴で比較的良い治療効果が得られています。


アルコール性肝障害かなと思ったら?

内科と精神科

 

 症状がなくても、日常的に良く飲酒する人は、定期的に検査を受けるようにしてください。
 吐き気、食欲不振、体重減少、全身倦怠感、腹部膨満感などの症状を感じたら、まずは禁酒することが大切です。症状が取れないときは、医師の診察を受けるようにしましょう。
 短期的には内科、長期的には精神科の医師を受診するようにしましょう。
 以前はアルコール性肝障害と言えば低栄養の人が多い傾向がありましたが、現在では肥満でアルコール性肝障害を持っている人が増加しています。

通院治療が入院治療

 

 通院で治療を受けることが可能ですが、黄疸や腹水があって高度の肝障害があれば入院治療が必要になります。
 消化管出血、意識障害を起こしたときは、緊急に専門の病院を受診するようにしてください。

広告
メインコンテンツ
家庭の医学
身近な植物図鑑
身近な昆虫図鑑
身近な野鳥図鑑
身近な貝殻図鑑
身近な生き物図鑑
ベランダ園芸
三浦半島観光地図
コミュニティ
広告
広告
広告
広告
  肝臓・胆嚢・膵臓の病気  
そらいろネット 脂肪肝
Copyright そらいろネット All right reserved.