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免疫抑制剤を飲んでいたり臓器移植を受けた人に多い |
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副腎皮質ステロイド薬に代表される免疫抑制剤の投与、臓器移植などの高度医療の結果、免疫機能が低下した患者さんに発生します。近年、患者層が高齢化しています。
一般にカビと呼ばれる真菌による肺炎・肺感染症です。真菌は口腔内や咽頭に常在しています。
抗真菌薬を使った治療が行われますが、早期に診断できないと、急速に病状が進行してしまうため、一般的に予後は不良です。 |
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おもな病原体 |
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カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ムーコルの4菌種がおもな原因菌です。
病理解剖例の肺真菌症の頻度では、アスペルギルス症がもっとも多く、クリプトコッカス症、ムーコル症と続きます。肺に限られたカンジダ症は比較的少ないとされています。
肺に感染した後、そこから血液中に入って、肝臓、腎臓、脳などに感染が広がることもあります。 |
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アスペルギルス症 |
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アスペルギスは味噌や醤油造りに利用される麹もアスペルギスの仲間で、日本ではごく普通に見られる真菌です。
アスペルギルスが好中球の数や機能が減弱し免疫能の低下した患者さんに感染した場合、もっとも重篤な病型の侵襲性肺アスペルギルス症を発症します。
免疫能の低下が軽い場合、組織内へ病原菌の侵襲程度が弱く、慢性の経過をたどる慢性壊死性肺アスペルギルス症などを発症します。
非侵襲性アスペルギルス症(菌球症、アスペルギローマ)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症など、真菌が肺内で増殖することによる病態があります。 |
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クリプトコックス症 |
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健常者でも発症し、肉芽腫性(にくげしゅせい)の病変を作りますが、多くは無症状で、自然治癒傾向があります。
クリプトコックス症の多くは日和見感染で、エイズのようにT細胞に重い障害がある場合、肺から全身に散布され、全身性クリプトコックス症を引き起こします。 |
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その他 |
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少数例ですが輸入真菌症として、コクシジオイデス症、ヒストプラズマ症などがあります。 |