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パーキンソン病


パーキンソン病の概要は?

代表的な症状

 

安静時の手足のふるえ(安静時振戦)
すべての動作が遅い(無動症)
筋肉のこわばり(筋強剛)
バランスが悪く転びやすい

症状が似ている病気

 

本態性振戦(ほんたいせいしんせん、ふるえが目立つ)
多発性脳梗塞による小歩症(ふるえがない)
さまざまな原因によるパーキンソニズム(服用している薬剤によるパーキソニズムなど)

起こりやすい合併症

 

転倒時の打撲・骨折
床ずれ
膀胱炎
肺炎


パーキンソン病ってどんな病気?

名付け親

 

 1817年に、イギリスの医師であり古生物学者でもあるJ.パーキンソン氏により、初めて記載された病気です。

症状と経過

 

 50歳前後で発病し、四肢のふるえと、筋肉のこわばり、動作が緩慢になるのがおもな症状で、ゆるやかに進行し、ついには寝たきりとなります。全経過は10年〜15年といわれていますが、最近は治療法が進歩しており、格段の改善が図られています。

有病率

 

 有病率は人口10万人あたり、150人〜200人です。50歳以上の人口では約1%です。高齢化により有病率は増えており、頻度の高い病気です。男女比は1:1.5〜2で、やや女性に多い傾向があります。


パーキンソン病の原因は?

脳内のドーパミンの不足

 

イメージ画像 パーキンソン病の真の原因は、わかっておりません。症状が脳内のドーパミン不足により生じていることは明らかになっています。
 病前性格としては、生真面目で酒やタバコを嗜まない人に発症しやすいという特徴が指摘されています。偏食をする、仕事中心で趣味が少ない、運動不足などがあると、この病気にかかりやすいともいわれています。

中脳のメラニン細胞の萎縮

 

 脳の病変では、中脳の黒質にあるメラニン細胞の変性萎縮がおもな変化です。
 この細胞で作られる神経伝達物質のひとつであるドーパミンは、黒質線条体繊維を介して淡蒼球(たんそうきゅう)、視床へと送られます。この経路は、錐体外路系の中心的なものです。
 パーキンソン病では、黒質の病変のため、ドーパミンの生産が著しく減少し、錐体外路系の機能障害がおこってきます。


パーキンソン病の症状は?

症状は徐々に現れます

 

 症状は40歳〜50歳頃に徐々にではじめます。
 厚生省特定疾患対策の治療対象疾患として認定されるのは、ステージ3、生活機能障害度U度以上になります。ステージ3以上は公費の補助が受けられます。

ヤールの重症度分類 生活機能障害度
(厚生省異常運動疾患調査研究班)
ステージ
1
症状は一側性で、機能的障害はないか、あっても軽微。 T
日常生活、通院にほとんど介助を要しない。
ステージ
2
両側性の障害があるが、姿勢保持の障害はない。
日常生活、職業には多少の障害はあるが行いうる。
ステージ
3
姿勢保持障害がみられる。
活動はある程度制限されるが、職業によっては仕事が可能である。
機能的障害は軽、ないし中程度だが、一人での生活が可能である。
U
日常生活、通院に介助を要する。
ステージ
4
重篤な機能障害を呈し、自力のみによる生活は困難となるが、まだ支えられずに立つこと、歩くことはどうにか可能である。
ステージ
5
立つことも不可能で、介助なしではベッド、または車椅子につきっきりの生活を強いられる。 V
日常生活に全面的な介助を要し、歩行、起立は不可能。

筋のこわばり、ふるえ

 

 初期症状は筋のこわばりや、動作緩慢とされていますが、一般的にはふるえで気が付きます。よく確かめてみると、腰痛が先行していることもあります。
 こわばりやふるえは、身体の片側に始まり、進行するに従って両側におこります。
 パーキンソン病のふるえは、安静時に強くなり、何かしようとしたときには止まるので、見た目ほど障害は強くありません。
 関節を動かすと、歯車のようなガクガクとした筋硬直が認められます。手関節にあらわれやすく、ふるえのないパーキンソン病はありますが、筋硬直のないパーキンソン病はありません。

表情・姿勢

 

 顔は無表情になり、まばたきも少なくなり、仮面を被ったような表情になります。
 立った姿勢は前かがみで、肘と膝を屈曲させた特徴的なものとなります。歩行は小刻みで、腕の振りもなくなります。歩き始めに足がでにくくなるすくみ足現象もみられます。

バランス障害

 

イメージ画像 バランス障害も特徴的で、立っている時や、歩行中にバランスを崩すと、体を立て直すことができず、たやすく転倒してしまいます。
 とくに歩行中は、前のめりの姿勢から立ち直れないので、小走りとなってしまい、何かにつかまるか転倒するまで止まれない突進現象は、パーキンソン病が進行した人では少なくなく、外傷の危険性があります。
 寝たきりの状態では、わずかに横にずれたり、寝返りするのが非常に困難になります。

その他

 

 脂ぎった顔、唾液分泌過多、起立性低血圧などの自律神経症状。精神的には抑うつ傾向も目立ちますが、重大な知能障害はみられません。


パーキンソン病の治療法は?

ドーパミンを補充するレボドーパ

 

イメージ画像 パーキンソン病に有効な薬は数種類ありますが、治療の中心になるのは、1970年頃から使われるようになったレボドーパ(L-ドーパ)です。この薬は、ドーパミンの前駆物質で、脳内で欠乏しているドーパミンを補充する薬です。レボドーパを服用することで、すべての症状が軽減されるという画期的な治療法になりました。

薬により長期の良好なコントロールが可能に

 

 しかし、治療が長期化するにしたがって、効果が弱まる例があったり、服用したときのレボドーパの血中濃度の変化に平行して、一日の服用回数と同じ回数だけ、症状が軽くなったり悪化したりを繰り返す(すり減り現象)ことがあったり、急に歩けなくなったり、逆に急に動けるようになる(オン・オフ現象)症状などもあらわれてきました。
 そこで、レボドーパ量を減らして副作用を少なくし、なおかつ効果を上げることができるレボドーバと、脱炭酸酵素阻害剤との合剤を用いたり、効果の異なる抗コリン剤、塩酸アマンタジン(インフルエンザ治療薬)、ドーパミン受容体刺激剤、MAD-B(モノアミン酸化酵素B型)阻害剤と併用することにより、長期の良好なコントロールが可能になりました。

副作用には注意

 

 また、抗パーキンソン病薬の長期服用により、顔や手足に不随意運動が生じたり、ありもしない虫などの小動物が見えるといった幻覚が出現したりする副作用があります。薬の量を調節することによって、軽減することが可能です。
 抗パーキンソン病薬を急に中止すると、パーキンソン病の症状が悪化するだけでなく、高熱、頻脈、血圧低下などの重篤な状態に陥ることがありますので注意が必要です。

治療法は日々進歩しています

 

 他にも、脳の一部を破壊したり、脳深部を電気刺激する治療法も普及してきました。
 治療法の選択肢は、日進月歩で広がっています。


パーキンソン病になってしまったら?

まずは診察を

 

イメージ画像 パーキンソン病の症状に気が付いたら、専門医の診察を受け、診断を確かめます。治療法が急速に進歩している病気なので、現在の最良の治療を受けるためには、専門医(内科、神経内科)による治療が不可欠となります。現代医学では治療は困難ですが、進行や症状を抑えることが可能です。
 診察では、頭部CTやMRIで検査しても大きな異常は見つかりません。症状と神経学的な診察により診断をします。
 本人、家族も、病気や治療法をよく知り、不安を除くように努めましょう。日常生活では、できるだけ普通の生活をするように努めるべきですが、転倒にだけは注意が必要です。

寝たきりにならないように

 

 症状が進行し、歩行困難になった場合は、寝たきりにしないように努めます。なるべく座位を保ち、精神的刺激も与えるように心掛けます。
 寝たきりになると、症状も悪化し、合併症も出やすくなって、介助も大変になってしまいます。


パーキンソン病情報は?

補足

 

イメージ画像 うつ病の治療薬には、パーキンソン病の治療薬と共通するものが多いので、パーキンソン病とはどのような病気なのか気になって調べてみました。うつ病なのに、どうして抗うつ薬ではなく、抗パーキンソン病薬が処方されるんだろうなーと不思議に思っていました。
 ドーパミンが関連する病気なので、うつ病とも関係があるようだということが理解できました。

 パーキンソン病患者では、バックトゥーザフューチャーのマイケル・J・フォックスや、ボクシングのモハメド・アリといった有名人もいます。オリンピック開会式の聖火ランナーとしてあらわれたモハメド・アリを見たときは感動しました。華麗なフットワークで『蝶のように舞い、蜂のように刺す』とは、モハメド・アリのための言葉といってもいいでしょう。
 アドルフ・ヒットラー、岡本太郎、小森和子もパーキンソン病だったようです。そう言われてみれば、みんなふるえてましたよね。

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