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ガンの切除 |
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大腸ガンの治療の原則は、ガンを切除することです。
大腸の壁は、内腔側から順番に、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)となっています。
ガンが粘膜下層までにとどまっているものを早期ガンと呼びます。早期ガンの中でも粘膜下層の浅いところまでであれば、転移の心配はなく、内視鏡での治療になります。
肛門に近い場所にできた早期の直腸ガンでは、お腹を開けずに手術を行います。 |
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内視鏡的治療 |
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初期の大腸ガンは、内視鏡でポリープとして発見されます。一般にポリープが大きい場合、短期間の入院のうえで内視鏡治療を行います。
直腸ガン、転移、再発した場合には、放射線療法が施行される場合もあります。
摘出したポリープの病理検査(顕微鏡検査)が重要になります。異型細胞(腺腫)、粘膜内にとどまる早期のガンであれば、内視鏡的治療をすることができます。病理検査で病変が粘膜筋板を越えて深くまで広がっていれば、リンパ節転移の危険性が約10%あるので手術が必要になります。 |
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開腹手術 |
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リンパ節転移の可能性があり内視鏡治療ができないもの、結腸ガン、進行したガンの場合は、外科手術が必要になります。
手術では開腹し、腫瘍を含めた大腸の一部を切除してリンパ節を綺麗に取り除く郭清(かくせい)を行います。そして残った腸を繋ぎ合わせる吻合を行います。 |
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腹腔鏡手術 |
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腹腔鏡手術では、炭酸ガスで腹部を膨らませて、腹腔鏡を腹部の中に入れ、その画像を見ながら小さな孔から器具を入れて手術を行います。手術時間は開腹手術より長めですが、小さな傷口でも大腸の切除が可能なため、術後の痛みも少なく、7日〜8日以内で退院できるなど、身体への負担が少ない手術です。
大きなポリープ、早期の結腸ガンが腹腔鏡手術に適していると考えられています。進行ガン、直腸ガンで広範囲に切除する回復手術と同等の安全性や治療成績が、腹腔鏡手術でも得られるかどうか、臨床試験の結果待ちの状態です。
腹腔鏡手術は専門医が限られており、大腸ガンに対する腹腔鏡手術を導入していない施設もたくさんあります。腹腔鏡手術を希望する場合、専門医がいる病院を受診する必要があります。 |
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直腸ガンの手術 |
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進行した直腸ガンでは、肛門から離れている場合には肛門の筋肉が温存できる低位前方切除術(ていいぜんぽうせつじょじゅつ)が行われます。最近ではさらに、術後の性機能や排尿機能を温存するように、必要最低限の手術が行われています。
それ以外では、人工肛門が必要なマイルス法で手術が行われます。
人工肛門もさまざまな装具が開発されており、普通に社会生活が送れるようになっています。 |
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手術できない場合 |
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進行ガンの手術後に、再発予防を目的として行います。
また、ガンが広がりすぎていて切除不能な場合には、抗ガン薬を用いた化学療法、放射線療法、免疫療法などが行われます。
この10年間で大腸ガンに有効な抗ガン薬が次々に開発され使用できるようになり、再発しても長期の生存が可能になりました。しかし抗ガン薬は必ず使わなくてはいけないというものでもなく、状況によっては使用しない方が患者さんにとって有益な場合もあります。主治医と良く相談して、最善の治療法を選択してください。 |