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顔面蒼白 まぶたの裏の赤みが少なくなる 唇の色が薄くなる めまい 頭痛 息切れ 動悸 倦怠感
血液の中の赤血球が、足りなくなっている状態のことを、貧血と呼びます。 赤血球の不足は、赤血球の数、血色素(けっしきそ、ヘモグロビンのこと)の量、ヘマトクリットと呼ばれる赤血球量の血液全体量に占める割り合いの低下で、明らかになります。 年齢によって正常値が変化していきます。
MCVとは、赤血球1個の容量を表す指標です。数値が小さければ、赤血球の大きさが小さいことになります。
小児全般では、通常は、ヘモグロビンの量が11g/dl以下の場合、貧血と診断しています。
赤血球の元となる幹細胞(かんさいぼう)に異常がある場合、または、幹細胞を取り囲む環境の異常、あるいは、他の病気によるものなどが考えられます。 再生不良性貧血(さいせいふりょうせいひんけつ)と、MDS・骨髄異形成症候群(こつずいいけいせいしょうこうぐん)が代表的です。両者は鑑別が難しく、見分けることが困難な場合もあります。 骨髄異形成症候群は、不応性貧血と呼ばれ、再生不良性貧血に近いタイプから、急性白血病に移行しやすいタイプまで、さまざまな病型があります。ただし、高齢者に多い傾向があります。
鉄、ビタミンB12、葉酸(ようさん)などの不足が原因で、赤血球がうまく作ることができなくなってしまいます。 もっともありふれた貧血は、鉄欠乏性貧血です。砂を食べるなどの異食症という症状がみられることもあります。治療だけではなく、原因を突き止めることが重要です。 胃を切除した人は、数年後にビタミンB12の欠乏による巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)を起こすことがあります。
生まれつきの先天的なもの、後天的なものに分類できます。 赤血球が早く破壊されてしまうため、生成が追い付かなくなってしまいます。
出血によって、赤血球が失われ、生成が追い付かなくなります。
赤血球は、全身の組織に酸素を運ぶ働きを担っています。 赤血球が減少し貧血が起こると、心臓はドキドキと速く打って、不足分を補おうとします。 貧血になると、赤血球量の不足、酸素供給の不足、心臓の負担増加によって、さまざまな症状が現れます。
新生児期は赤血球が多く、多血症気味なので、貧血を起こすことはまれです。しかしさまざまな原因で、鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、続発性貧血などが起こります。 先天性や遺伝性を含め、赤血球が普通よりも早く壊れてしまう溶血による貧血は、新生児溶血性貧血(しんせいじようけつせいひんけつ)と呼びます。遺伝性球状赤血球症、ヘモグロビン異常症、血液型不適合などがあります。 出血によって貧血が起こる場合、胎盤内出血(たいばんないしゅっけつ)、胎児から母体への出血、双生児の一方から他方への出血、頭蓋内出血、帽状腱膜下出血(ぼうじょうけんまくかしゅっけつ)、消化管出血などがあります。
心配のいらない生理的貧血のほかにも、低体重出生時にみられる早期貧血、鉄分の摂取不足で起こる鉄欠乏性貧血、細菌などの感染で起こる感染性貧血などがあります。 産まれた時の体重が少ない低出生体重児は、血液を作る力が弱いため、生後2ヶ月〜3ヶ月で、貧血になることも少なくありません。 授乳中のお母さんは、鉄分の消費が増加するため、母乳に含まれる鉄分が不足します。そのため、母乳だけで育てている赤ちゃんは、生後6ヶ月頃から鉄分が少なくなり、鉄欠乏性貧血になることがあります。身体の発育が盛んなことも、貧血を助長しています。
幼児期以降は発育が速いので、結果的に鉄分不足になり、鉄欠乏性貧血が起こりやすくなります。 特に女子では、思春期を迎えて月経が始まると、鉄分の摂取が少し不足しただけで、貧血が起こります。 牛乳、レバー、ほうれん草など、鉄分を多く含む食品を、適宜摂取することが重要です。
立ちくらみによるめまいは、低血圧の人が立ち上がった時に、さらに血圧が下がって起こる起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)で、いわゆる脳貧血です。 立ちくらみは、一般的には貧血によるものではありません。
それぞれの原因に応じた治療を行います。 最近では、治療法が格段に進歩しており、さまざまな治療法があります。ほとんどの場合、大人の貧血と治療法は同じです。
鉄剤が使用されます。 赤血球数、血色素量が正常になっても、体内の貯蔵鉄を正常にするためには、さらに2ヶ月〜3ヶ月、鉄剤が使用されます。 お茶、牛乳は、鉄の吸収を阻害するため、薬と一緒に飲まないようにしてください。
さまざまなホルモン剤が使用されます。 最近では、遺伝子組み換え造血因子、免疫抑制剤も使用され、効果が認められています。 重症の場合、骨髄移植が検討されます。組織の性質(HLA)が適合した人から採取した骨髄でなければ、骨髄移植は成功しません。
副腎皮質ホルモン剤などが使用されます。 重症の場合、輸血が必要になることもあります。
貧血の検査は、どこでも受けることができます。 先天性や遺伝性の貧血が疑われる場合、受診した医師と良く相談し、血液専門の医師の診察を受けるようにしましょう。