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旅館


明治時代の軍港巡り

 
 現在の横須賀では「軍港巡り」が観光の目玉のひとつとなっていますが、100年以上も前の明治時代。当時も軍港巡りが行われていました。
 東京や横浜からの定期船で横須賀までやってきました。その観光客は日本全国の人々、さらには外国人までいました。明治政府が文明開化を国の内外に知らせるため、横須賀造船所を一般公開していたためです。
 軍港に浮かぶ西洋の帆船や蒸気船を眺め、横須賀造船所の巨大工場、ドック、西洋の優れた機械を見学して回りました。
 お土産として地図を購入して持ち帰り、家族や近隣の人々に地図を見せながらお土産話を自慢げに語っていたようです。

三富屋

京急汐入駅下車 徒歩数分
地図
三富屋
三富屋

 1885年(明治18年)に発行された横須賀明細一覧図から。
 当時、もっとも大きかったといわれている旅館、三富屋。横須賀の旅館業者ではリーダー的存在だったようです。
 場所は現在のベースの入り口あたり、ハニービーやTSUNAMIがあるあたりになるんじゃないかなと思います。
 (開)ってマークの旗が立っています。どんな意味があるんだろう?
三浦半島観光地図:横須賀市本町

写真撮影:----年--月--日

鈴木屋

京急汐入駅下車 徒歩数分
地図
鈴木屋
鈴木屋

 1885年(明治18年)に発行された横須賀明細一覧図から。
 3階建ての立派な旅館が建っています。職工学校のすぐそばです。当時は高くても2階建ての建物だったので、3階建てというのはかなりの存在感があったものと思われます。
 現在では道路の拡幅工事が行われているので、道路になるのかな。ベイスクエアよこすかの前の道路になると思います。
三浦半島観光地図:横須賀市本町・国道16号

写真撮影:----年--月--日

三浦屋

京急汐入駅下車 徒歩数分
地図
三浦屋
三浦屋

 1885年(明治18年)に発行された横須賀明細一覧図から。
 三浦屋と中村屋は(開)っていうマークじゃなくて、キャプテンハーロックみたいなマークになっています。明治時代の人ならどんな意味があるのかわかるんだろうけど、現代人の私には良くわからなくて・・・
 講札かな?
歴史事典:講
 この界隈の旅館では、三富屋の次に繁盛していました。稲岡町にも支店を持っていました。
三浦半島観光地図:横須賀市稲岡町
 現在では汐入駅のバス停のあるあたりになると思います。道路に面していて、駅に近い方側あたり。
三浦半島観光地図:横須賀市汐入町・汐入駅

写真撮影:----年--月--日

鈴木屋

京急汐入駅下車 徒歩数分
地図
鈴井屋
鈴木屋

 1885年(明治18年)に発行された横須賀明細一覧図から。
 鈴木屋はもう1軒ありました。他の地図では確認できませんでした。モグリの旅館か?って、そんなわけないか(^_^;)
 現在の場所でいうと、汐入町2丁目のホテルハーバー横須賀あたりになるんじゃないかなと思います。
三浦半島観光地図:横須賀市汐入町

写真撮影:----年--月--日

三富屋支店

京急汐入駅下車 徒歩数分
地図
三富屋支店
三富屋支店

 1885年(明治18年)に発行された横須賀明細一覧図から。
 三富屋は支店を持つほど繁盛していたんですねー。ほかの地図で確認すると、この場所は以前は玉廣屋という旅館だったようです。
 三富屋支店と松阪屋は、座敷が海に面していて眺望がとても優れていたそうです。オーシャンビューな上に、窓を開ければ巨大な軍艦が浮かぶ海が見えるんだから、最高の旅館ですよねー。
 現在はヴェルニー公園の中にある汐入ポンプ場あたりになると思います。
三浦半島観光地図:横須賀市汐入町・ヴェルニー公園

写真撮影:----年--月--日

松坂屋と中村屋

京急汐入駅下車 徒歩数分
地図
松坂屋と中村屋
松坂屋と中村屋

 1885年(明治18年)に発行された横須賀明細一覧図から。
 隣同士に建っている松坂屋と中村屋。1879年(明治12年)の地図には、さらに深沢屋という旅館が確認できました。3軒が立ち並ぶなんて、お客さんの奪い合いが大変そうです。
 中村屋だけ、異なる旗になっています。ほかの地図を確認すると、(邊)みたいなマークが書かれてありました。これらのマークが何を意味するものなのかわからないのですが、定期船運航もやっている旅館なのでしょうか。さらに詳しく調べてみる必要がありそうです。
三浦半島観光地図:横須賀市汐入町・ヴェルニー公園
 松阪屋は、稲岡町にも支店がありました。
三浦半島観光地図:横須賀市稲岡町

写真撮影:----年--月--日

深沢屋

京急汐入駅下車 徒歩数分
地図
深沢屋
深沢屋

 1879年(明治12年)に発行された横須賀港一覧絵図から。
 1885年(明治18年)に発行された横須賀明細一覧図には掲載されていなかった、深沢屋という店舗が確認できます。中村屋のすぐ隣。同じ年に発行された別の地図にも、深沢屋は掲載されていました。
 1885年(明治12年)までには、閉店してしまったということでしょうか。3軒の旅館が並んでいたので、商売に負けて潰れてしまったということなのでしょうか。
 さらに詳しく調べる必要がありそうです。
三浦半島観光地図:横須賀市汐入町・ヴェルニー公園

写真撮影:----年--月--日

玉廣屋

京急汐入駅下車 徒歩数分
地図
玉廣屋
玉廣屋

 1879年(明治12年)に発行された横須賀港一覧絵図から。深沢屋の絵図とは、また別のものです。
 当時、同じようなものがたくさん出回っていたみたいです。
 こちらも、1885年(明治18年)に発行された横須賀明細一覧図には掲載されていなかった、玉廣屋という店舗が確認できます。
 ですが、この玉廣屋のある場所、1885年(明治18年)には「三富屋支店」になっているんです!!三富屋に吸収合併されてしまったのかもしれないです。合併され屋号が変わったと考えれば、三富屋が2店舗あるといのも理解できます。
三浦半島観光地図:横須賀市汐入町・ヴェルニー公園

写真撮影:----年--月--日

旅館

京急汐入駅下車 徒歩数分
地図
 横須賀の旅館に関しては、1888年(明治21年)に発行された『横須賀繁昌記』っていう本に記載があります。
 「本港、旗亭の名あるものは元町三富屋を以て首とし、 次は汐入町の三浦屋と為す。汐留町の鈴木屋は三階高く街道に聳へ、 湊町の松阪屋と三浦屋支店はさ棲面海に枕んで百景頗る好し。又梢これより劣るものは湊町の鈴木と中村屋、稲岡町の松阪屋と三浦屋両支店」
 とあります。
 宿泊費は、上等で55銭、中等で40銭、並で20銭だったようです。1888年(明治21年)当時の物価がわからないので何とも言えませんが、わりと高かったんじゃないかなと思います。

三富屋

京急汐入駅下車 徒歩数分
地図
 当時、横須賀でもっとも代表的な旅館だった三富屋。「軍港旅館の重鎮として陸海軍の御用を承はり、 紳士紳商の定宿」とあります。
 三富家は三浦半島の旧家です。三富長兵衛から分家し、初代の元長は医者となり、 二代目の利右衛門は米酒業を営み、三代目は利右衛門を名乗って三富屋を開業しました。とても積極的に仕事をこなす家柄だったんですね。
 さらに、三富利右衛門は、横須賀商業銀行の役員をしていました。川崎町(現在の川崎市川崎区)の川崎共立銀行と合併して誕生した共信銀行の役員にも就任しています。1927年(昭和2年)には共信銀行が破綻してしまい、役員が後始末をしました。そのときのメンバーが、三富栗松(利右衛門の子)、持丸壽輔(横浜市鶴見区)、森幸次郎(川崎市川崎区)、馬淵曜(横須賀市)、小串清一(横浜市)、星川健之助(東京)でした。

 1908年(明治41年)に発行された『三浦繁昌記』には、広告を掲載していました。

 「ヨコス力元町 鎮守府東門マエ、三富屋、電話(二十九番)」
 弊館は市の枢要の位置有之 諸官衛は勿論 御商用向の御方にも至極、便利に、有之候。
 弊館は横須賀停車場より六丁(約660m)ばかり順路はー筋道にして、 最も繁華の道に有之候
 弊館の料理は御手軽にして新鮮なものを選び、御口に叶ふべく様、精々、注意可仕候
 弊館は御滞在の御客様には、特に勉強仕り、親切丁寧に御取扱い可申候
 弊館は御見学等に御投宿の御客様には出来る限りの御便利を旨として万事勉強可仕候へば、何卒御引立の程、伏して奉希候

 電話が29番って、今では考えられないくらい単純な電話番号ですねー。
 横須賀市では重要な場所で、観光にも、ビジネスにも、公務でもとても便利な立地だったようです。横須賀停車場は現在のJR横須賀駅なので、横須賀駅からヴェルニー公園内の道が、当時はもっとも賑わっていたエリアのようです。
 料理はお手軽ですかー、現在の感覚でお手軽というとカレーやハンバーガーでしょうか。

 1896年(明治29年)に発行された『日本紳士録』には、三富利右衛門が旅人宿経営・営業税として5円28銭と地租6円25銭を納めたと記載されています。
 1898年(明治31年)に発行された『日本全国商工人名録』には、営業税19円を納めています。
 こうしたことからも、かなり繁盛していた旅館だということがわかります。

現在の同名店

京急汐入駅下車 徒歩数分
地図
 当時の旅館と、現在の同名店・同名会社が関係あるのかどうかわかりませんが、歴史がつながるかもしれないと思い調べてみました。現存している旅館はなさそうです。
 おいしいコロッケを販売している「三富屋商事株式会社」が久里浜にあります。また、横須賀市武に「有限会社三富屋」があります。
三浦半島観光地図:横須賀市久里浜
三浦半島観光地図:横須賀市武
 JR田浦駅のすぐ近くに、「鈴木家」っていう居酒屋があります。横須賀市内にはありませんが、逗子・葉山・鎌倉に「スズキヤ」っていうスーパーがあります。「鈴木水産」っていう有名な鮮魚店もありますね。
三浦半島観光地図:横須賀市田浦町
 上町に横須賀市内でも老舗の肉屋「松阪屋」があります。誰もが知っているほど有名なデパートで 、「松阪屋」がありますね。
三浦半島観光地図:横須賀市上町
 中村屋、深沢屋、玉廣屋はないみたいです。クリームパンやカレーパンの、新宿中村屋なら有名だけど。
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