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臨床診断基準 |
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急性膵炎で現れる症状は、胃・十二指腸潰瘍、胆石症など、他の腹部疾患でも同様の症状がみられることが多くあります。そのため、急性膵炎を見分けることが必要になります。
現在、急性膵炎の臨床診断基準が作成され、診断に活用されています。
急性膵炎の診断で重要なのは、腹部症状・所見に加え、血液や尿中の膵酵素の上昇、画像診断での急性膵炎の異常所見がみられることを確認することです。他の病気でないことを確認することも重要です。 |
急性膵炎の臨床診断基準 |
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上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある |
A |
血中、または尿中に、膵酵素の上昇がある |
B |
画像で膵臓に急性膵炎を示す異常所見がある |
上記3項目中、2項目を満たしていること。他の膵臓疾患、および急性腹症を除外したものを急性膵炎と診断する
慢性膵炎の急性発症は、急性膵炎に含める
膵酵素は、膵特異性の高いp型アミラーゼや血中リパーゼなどを測定することが望ましい |
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膵酵素の検査 |
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膵酵素としては、一般的にはアミラーゼ(炭水化物を消化)が有名です。ほとんどの場合、血清アミラーゼが検査されています。
アミラーゼは膵炎で上昇しても、血液中で高値が続く期間が短いため、症状が出てから数日後に診察を受けると、正常化していることもあるので注意が必要です。
脂肪を消化するリパーゼ、蛋白質を消化するトリプシンなどが、血液中や尿中に漏れ出てきていないか検査します。
アミラーゼは、膵炎意外の原因でも上昇することがあるので、膵炎での特異性が高いp型アミラーゼ、血中リパーゼの測定が有効とされています。
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画像診断 |
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画像診断では、一般的に腹部超音波検査(US)が行われます。膵臓の腫れ、膵周囲の液体貯留などの炎症性変化が、特徴的な所見として認められます。
腹部超音波検査(US)は、消化管にガスが多いと画像が不鮮明になってしまいます。その場合、エックス線検査、CT検査、MRI検査を行います。
原因となっている胆石、膵炎の重症度を検査するため、腹部エックス線検査、腹部超音波検査、腹部CT検査、腹部MRI検査などを行います。 |
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重症度判定 |
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急性膵炎では、重症度によって予後が異なります。
重症度に基づいて、治療法を選択する必要があるため、診断時に重症度判定を確実に行うことが重要になります。
重症度の判定は、臨床所見、血液・尿生化学検査、造影CT検査による画像診断により、総合的に行い、軽症か重症かを診断します。
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