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心筋炎

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心筋炎の概要は?

おもな症状

 

風邪様症状
動悸
頻脈
胸痛

似ている病気

 

風邪
その他さまざまな感染症
狭心症
心不全

起こりやすい合併症

 

不整脈
心不全
突然死


心筋炎ってどんな病気?

心筋の炎症

 

イメージ画像 心筋自体に炎症細胞の浸潤が生じる病態を、心筋炎と呼びます。一般的に心筋梗塞によるものは除かれます。
 多くは急性の経過で発症する急性心筋炎です。まれに慢性の経過で進行する慢性心筋炎の患者さんもいます。
 小児の心臓病の中では、頻度の低い病気です。


心筋炎の原因は?

病原体の感染

 

イメージ画像 コクサッキーウイルスや、エコーウイルスなどのウイルス感染、細菌などの病原微生物の感染が原因になることがあります。この場合を、感染性心筋炎と呼びます。
 原因不明の特発性心筋炎の場合も、多くみられます。

その他の原因

 

 膠原病(こうげんびょう)など、全身性疾患に伴う心病変として起こることもあります。非感染性心筋炎と呼びます。
 ときには、薬物、放射線などによって引き起こされる場合もあります。

心筋炎の原因一覧表

 
特発性 原因不明
感染性 ウイルス コクサッキーウイルス
エコーウイルス
アデノウイルス
インフルエンザウイスルなど
細菌 ジフテリア
肺炎球菌など
マイコプラズマ
リケッチア ツツガムシ病
発疹チフス
真菌 カンジダ
アスペルギルスなど
原虫・寄生虫 シャーガス病
トキソプラズマなど
スピロヘータ ライム病
梅毒など
化学物質
薬物
物理的刺激
中毒性
アレルギー性
物理的刺激
全身性疾患 膠原病 全身性エリテマトーデス
リウマチ熱
川崎病
結節性多発性動脈炎など
その他 サルコイドーシスなど

心筋炎の症状は?

風邪や下痢のあとに

 

症状 急性心筋炎の場合、発熱、鼻水、咳などの感冒(風邪)のような症状、下痢、腹痛などの消化器症状に引き続き、さまざまな程度の心症状を示します。
 軽いものでは、動悸、胸部不快感、心膜炎を合併すれば胸痛がみられます。
 心不全による症状では、尿量の低下、浮腫・むくみ、呼吸困難、四肢の冷感、チアノーゼなどがみられます。不整脈による症状では、動悸、失神を起こすことがあります。失神は不整脈の一種である房室ブロックや頻拍性の不整脈などで、心臓から送り出される血液量が減少するために起こります。

死亡することも

 

 重症化すると、呼吸困難、息苦しくて横になれないなど、急速に進行する心不全、血圧低下、意識障害などのショック状態を示す場合もあります。
 重篤な場合では、不整脈によって失神したり、心停止を起こすこともあり、突然死の原因になる場合もあります。

何かおかしい?

 

 発熱、頭痛、咳、咽頭痛などの風邪の症状、嘔吐、腹痛、下痢などの腹部の症状、発疹、関節痛、筋肉痛などが、心不全・不整脈の症状の数日前から現れることも少なくありません。
 発症初期には風邪などの他の疾患との区別が困難なことがありますが、経過するうちに風邪や嘔吐・下痢などより重症感があり、何かおかしいと感じます。胸痛や動悸などは小さな子供には訴えられないため、「何かおかしい」という感じは心筋炎を見つけるために大切です。


心筋炎の診断は?

血液検査

 

血液検査 血液検査でCRP上昇、赤血球沈降速度亢進、白血球増多などの炎症所見、クレアチンフォスフォキナーゼなど心筋逸脱酵素(しんきんいつだつこうそ)の上昇がみられます。
 ウイルス抗体価は、急性期と回復期に2回採血し、その変化を調べます。

聴診検査

 

 聴診器を使って、徐脈などのリズムの異常、心音減弱、心音が健康な時と違い馬が駆けるようなリズムになるギャロップリズムなどを検査します。

心電図検査

 

 心電図変化は多彩で、比較的短期間に変化するので注意が必要です。
 心膜炎を合併すれば広範な誘導で、ST上昇が認められます。重症の場合は、高度房室ブロック、心室頻拍など、さまざまな不整脈がとらえられます。

心臓超音波検査

 

 心臓超音波検査では、心臓の壁運動異常の重症度、心室壁腫大(しんしつへきしゅだい)、心膜液貯留(しんまくえきちょりゅう)の程度が診断できます。
 超音波検査では、時間を追った経過観察が可能です。

心筋梗塞との区別のため

 

 急性心筋梗塞との区別が必要になる場合もあります。確定診断のために、冠動脈造影と、組織の一部を採取して調べる心筋生検が行われます。
 心筋生検は、病態が許せばなるべく早期に行った方が、診断率が上がるといわれています。
 診断の難しい病気で、ごく軽いものは単に風邪として見落とされてしまうことが多くあります。


心筋炎の治療法は?

入院が必要

 

治療 心筋炎急性期には症状が軽くても、原則として入院が必要です。重篤な不整脈、循環動態の悪化がみられないかどうか、経過を観察する必要があります。
 頻脈性不整脈に対しては、抗不整脈薬の投与、直流徐細動(ちょくりゅうじょさいどう)を行います。完全房室ブロックなどの徐脈性不整脈に対しては、体外式ペースメーカーを挿入する場合があります。

重症の場合

 

 重症心不全の場合は、病態に応じて、利尿薬、血管拡張薬、強心薬などが使用されます。
 ショックに陥った場合は、循環を補助する目的で、大動脈内バルーンパンピング、経皮的心配補助法などを行うことがあります。
 副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬の長期投与の効果は、否定的な意見が多いようです。しかし、好酸球性心筋炎や巨細胞性心筋炎では投与される場合があります。
 薬物治療に効果がみられない場合には、心機能が改善するまで、心配補助装置という機械によって心臓から送り出す血液を補助します。
 近年では、川崎病の治療に有効な大量のγ-グロブリン投与を行う、免疫グロブリン大量療法が行われる場合もあります。

予後について

 

 心筋炎の予後は、急性期を乗り越えれば比較的良好です。患者さんの約50%は、後遺症を残さずに完治します。
 患者さんの約40%は、何らかの心異常を残します。その程度は、心電図異常などの軽微なものが大部分ですが、なかには高度の心機能障害を残し、死亡してしまう症例もあります。
 死亡率は10%〜15%で、急激に病状が進行する劇症型では予後が悪くなります。死亡は心不全や不整脈が原因ですが、突然死のような形になることもあります。


心筋炎かなと思ったら?

風邪や下痢のあと

 

診察 感冒様症状、消化器症状に続いて、胸痛や胸部不快感などの胸部症状を自覚する人は、できるだけ早く循環器専門医の診察を受け、心電図をとるのが診断の第一歩となります。
 集中治療が可能な施設で治療することが重要となります。

風邪は万病の元

 

 心筋炎にならないことは、ウイルス感染にかからない努力が大切です。
 うがい・手洗いの励行と、インフルエンザウイルスが心筋炎の原因となることから、インフルエンザワクチンの予防接種も重要です。

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