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走水水源地


走水水源地

 1874年(明治7年)5月27日、この水源地から現在の米軍基地内にある横須賀造船所までの約7kmの水道工事に着手しました。内径約12.5cm、長さ1mの土管を繋ぎ合わせて埋設し、土地の高低差を利用して水を送る自然流下方式で、1876年(明治9年)12月に完成しました。完成した時には、すでにヴェルニーは帰国しています。

 走水一帯は、昔から地下水の豊富な場所として知られていました。明治時代初期、水桶で飲み水を市民に売り歩く商売がありましたが、その水は走水地内仲町の湧水を船で運んだものだと言われています。
 現在の水源を発見し、横須賀市内で最初の水道を実現したのは、横須賀製鉄所や観音崎灯台の建設に功績を残したフランス人技師、フランソワ・レオンス・ヴェルニーです。
フランソア・レオンス・ヴェルニー|人物事典 - 三浦半島観光地図
三浦半島観光地図:横須賀市楠ヶ浦町・横須賀海軍工廠
三浦半島観光地図:横須賀市鴨居・観音崎灯台

 その後、水道管は土管から鋳鉄管に替わり、内径も約20cmになりました。1901年(明治34年)〜1902年(明治35年)にかけて内径約25cmの水道管が敷設され、動力ポンプによる送水方式となりました。
 市政執行1年10ヶ月を経た明治41年12月25日、これまでの水道は軍需用だったので、市民に水道を敷設するために不要となった水道管すべての払い下げを受けました。覚栄寺裏山の湧水を水源として、大滝町・若松町・小川町の3町に送水を開始しました。使用戸数は332戸と記録が残っています。
三浦半島観光地図:横須賀市走水・覚栄寺
三浦半島観光地図:横須賀市大滝町
三浦半島観光地図:横須賀市若松町
三浦半島観光地図:横須賀市小川町

 走水水源地からは、現在でも1日2,000立方メートルの良質な地下水を供給している市内唯一の水源地です。関東大震災でも涸れることがなかったため、災害時には応急給水の拠点となります。
 走水水源地は、この場所以外にも、破崎、覚栄寺、仲町の合計4ヶ所あり、貯水池や浄水池管理センターなどの施設がみんなが言う伊勢町の走水水源地にあります。

 このあたりの地層は、逗子シルト層という岩の層を基盤に、走水砂礫と呼ばれる砂や砂利の厚い層があり、その上に関東ローム層という赤土が堆積しています。この地層が天然のろ過装置の役割を果たしています。葉山から走水に向かって、逗子シルト層に大きな亀裂があり、葉山エリアの雨水が裂け目を通じて、かなりの量が走水に流れ込んでいます。
三浦半島観光地図:横須賀市走水・地層
地層事典:関東ローム層
 普通、日本国内の水道水は、ミネラル分の少ない軟水です。ですが走水の湧水はミネラル分を多く含む、硬度の高い水で、水温はほぼ一定していて17℃です。水質は鉱泉型です。1977年(昭和52年)、初めて水に含まれるトリチウム濃度を計測し、年代測定が行われました。その結果、20年〜30年前から貯えられている古い水であることが判明しました。
 熱帯魚飼育では、硬度の高い水が欲しい場合もあるので、横須賀市の水道はエリアによって水質が違うかもしれません。

●レンガ造貯水池
 日清戦争後の軍備拡張にともない、1900年(明治33年)〜1902年(明治35年)の走水水源地第一期拡張工事で建設されました。
 1902年(明治35年)竣工した、容量142立方メートル、上屋はレンガ造りです。建築は横須賀鎮守府経理部建築課の海軍技師井川喜久蔵、堀池好之助らの担当によります。内部はヴォールト構造で、屋根はこの構造を反映して長軸中央が膨らみ、長軸上に空気抜きが2ヶ所あります。ヴォールト構造とはカマボコ型の天井様式、建築構造のことです。北側の正面入り口を中心に丸窓などが左右対称に配されています。2000年(平成12年)2月15日、横須賀市としては初めての国登録有形文化財として登録されました。飲料水になるため、中に入ることはできません。

●鉄筋コンクリート造水源池
 1908年(明治41年)に完成した、容量1470立方メートルの鉄筋コンクリート造りの五連馬蹄形ヴォールトで構成されています。外壁には石で縁取りされた丸窓が一列に並びます。設計は海軍技師の伊藤誠吉とされています。日本の鉄筋コンクリート技術の聡明期に建設された建物で、極めて希少価値の高い建物です。2000年(平成12年)2月15日、横須賀市としては初めての国登録有形文化財として登録されました。

バス停伊勢町下車 徒歩2分 地図

走水水源地の写真

レンガ造貯水池
写真撮影:2008年04月02日
 走水水源地の湧水が汲めるっていう場所。以前はこのレンガ造りの建物にあったと記憶しています。カマボコ型に埋められている場所が、かつて湧水の水道の蛇口があった場所だったと思います。ヴェルニーのレリーフのある蛇口が備えられていたはずです。
三浦半島観光地図:横須賀市汐入町・ヴェルニー公園
三浦半島観光地図:横須賀市東逸見町・ヴェルニー記念館
 車で大量に水を汲みに来る人が多く、道路が渋滞したり、一般の観光客が楽しむことができなくなってしまったため、閉鎖されてしまいました。

鉄筋コンクリート造浄水池
写真撮影:2008年04月02日
 歴史を感じさせる石製のプレート。
 普通なら「横須賀市下水道局」と書かれてあるはずなんですが、「横須賀軍港水道」って書いてあります。横須賀製鉄所のために整備された水道だということがわかりますね。
 1908年(明治41年)9月竣工と書いてあります。明治時代に鉄筋コンクリート製の建物があったんですね!!ちょっとしたカルチャーショックです。

鉄筋コンクリート造浄水池
写真撮影:2008年04月02日
 こうした大きくて高さのない、平面的な建物って写真を撮りづらいですね。どんなアングルで写真を撮影すれば、立体感が出たり、印象的な写真が撮影できるんだろう・・・

鉄筋コンクリート造浄水池
写真撮影:2017年01月14日
 久しぶりに訪れた走水水源地。横須賀水道発祥の地です。
 鉄筋コンクリート造の貯水池の写真、再び撮影してみました。側面の丸窓が特徴です。

横須賀水道発祥の水
写真撮影:2008年04月02日
 新しく作られた湧水の水道。現在では大量に汲みに来る人もいなくなったのかな?でもマダムたちの勢いに負けてしまい、残念ながら飲むことはできませんでした。水が変わるとおなかを壊すとかって言うし・・・
 ちょうど水源地の開放の日だったため、団体客もいるみたいで混雑していました。この場所以外にも、もう1ヶ所、給水ポイントがあるみたいです。

ヴェルニーの水
写真撮影:2017年01月14日
 せっかく訪れたのに、ペットボトルを持ってくるのを忘れてしまいました(>_<)
 みなさん大量に持って帰るみたいで、大きなポリタンクなどを持ってきていました。
 ヴェルニーの水はどんな味がするのかというと、お水の味がしました(^_^;)

横須賀水道発祥の地石碑
写真撮影:2008年04月02日
 横須賀水道発祥の地を記念して、横須賀市水道創設80周年を記念して建てられた石碑です。とても大きく、立派すぎるくらいに立派な石碑です。いくらなんでも、ここまで大きく作る必要はないような・・・
 水道発祥の地ですが、石碑の形はおにぎり。
 昭和63年12月25日に建てられました。碑文は、当時の横須賀市長であった横山和夫によるものです。
 生活に欠かせない水は、水源から川や海へと地球規模で循環しながら、繰り返し使われています。この水循環の輪の中に、水道や下水道もあります。
 水は循環しながら使われているため、汚してしまった水はいつかまた、自分たちのところに戻ってきてしまいます。水環境を守るため、生活排水が川や海に流れ込まないように下水道に接続し、下水道には油、危険物、薬品などは流さないようにしましょう。野菜くずや食べ残しは燃せるゴミへ出し、洗剤は石鹸など分解性の高い物が良いです。道路にゴミやペットの糞を放置するのはやめましょう。
 21世紀は環境の時代と言われています。下水浄化センターでは、下水を浄化した後にできる汚泥を廃棄せず、資源として再利用しています。汚泥を焼却しても膨大な量の焼却灰となり、埋め立てすると環境へ大きな影響を与えてしまいます。横須賀市では、セメントや軽量骨材の原料として、100%再資源化しています。
走水水源地
写真撮影:2008年04月02日
 たぶん浄水施設の一部だと思います。走水水源地の浄水システムは古いので、新しく新築したものだと思います。
 カラーコーンが設置してあり近付くこともできませんし、説明板があるわけでもないので、何をしている施設なのか良くわかりません。
 森林は雨水を蓄えてゆっくりと流し続けることから「緑のダム」と呼ばれます。木の根が張ることで土砂の流出や山崩れを防ぎ、土壌がフィルターの役割をして、水を浄化する機能も果たしています。森林を守り適切に管理することは、水道の水を作るために大切なことです。
 水道は水源である川などの水を浄水場で浄化し、安全で美味しい飲み水にして家庭に届けています。
 下水道は家庭で使った汚れた水を集め、下水浄化センターで綺麗な水に再生し、川や海に戻しています。下水道の普及により、悪臭やハエ・カの発生源となっていた汚いドブがなくなりました。雨水を速やかに排水し、水害から街を守る機能も果たしています。排出された汚れた水を処理して、綺麗な水を川や海に戻しているため、水質保全にも役立っています。
 横須賀市内には水源となるような大きな川が存在せず、水道水のほとんどは、神奈川県中部を流れる相模川、西部を流れる酒匂川から、いくつものポンプ場や浄水場を通って運ばれています。横須賀市では6つのルートから水が運ばれています。

洗浄廃水槽貯水タンク
写真撮影:2008年04月02日
 なんだか良くわかんないんだけど、カッコイイ感じのタンクがあったので写真を撮ってみた。燃料タンクっぽいメカニカルな感じとは、また一味違ったシンプルな構造をしています。
 走水水系は湧水で、保有水源量(浄水量)は1,000立方メートル/日です。横須賀水道創設時からある市内唯一の貴重な水源です。明治時代に造られた浄水池などは、現在も現役として働き続けています。関東大震災でも枯れることがなかったため、災害時の応急給水の拠点となる重要な役割を持っています。
 半原系統は表流水で、保有水源量(浄水量)は9,800立方メートル/日です。相模川の支流の中津川の水を取り入れ、500m離れた半原水源地で濁りを沈めた後、53kmも離れた逸見浄水場まで電力を使わず、自然流下で送水しています。逸見浄水場では、緩速ろ過方式で浄水処理が行われています。
 有馬系統は表流水で、保有水源量(浄水量)は73,900立方メートル/日です。相模大堰で取り入れた水を、社家導水ポンプによって2km離れた有馬浄水場に送ります。有馬浄水場では粒状活性炭による高度浄水処理が行われています。浄水後の水は、29km離れた田浦第2配水池までポンプで送られています。
 小雀系統は表流水で、保有水源量(浄水量)は143,300立方メートル/日です。城山ダム(津久井湖)の水を相模川の寒川取水堰で取り入れ、小雀浄水場で急速ろ過方式によって浄水処理しています。城山ダムは神奈川県・横浜市・川崎市と、寒川取水堰は神奈川県・横浜市と、小雀浄水場は横浜市と共同で建設しました。
 酒匂川系統は受水で、受水量は18,600立方メートル/日です。三保ダム(丹沢湖)の水を酒匂川河口付近の飯泉取水堰で取り入れ、伊勢原浄水場で浄水処理した水を、有馬浄水場で受水し、有馬系統と一緒に横須賀に送水しています。
 宮ヶ瀬系統は受水で、受水量は113,500立方メートル/日で、このうち27,800立方メートル/日は三浦市分となっています。宮ヶ瀬ダム(宮ヶ瀬湖)の水を相模大堰で取り入れ、綾瀬浄水場で浄水処理した水を、田浦と武で受水しています。

噴水
写真撮影:2008年04月02日
 消火栓かと思ったんですが、どうやら噴水のようです。噴水と言っても、水が吹き上がるわけではなく、垂れ流されるだけの噴水ですが・・・。横の部分に水量を調節するハンドル部分があるみたいですが、いたずらされないように隠れています。もしかして全開にすると、ドバーっと物凄い勢いで水が噴出するのかな?
 でもこの水、どうすればいいのか、何も知らない一般市民にとってはどう扱えば良いのやら・・・。走水水源地の水は別の場所で給水できるようになっているから。それにこの水、浄水殺菌されて飲める水なのか、それともただの湧水なのかもわからないので、飲むのも怖いし。
 噴水と違って、見ていても綺麗なわけでもなく、流れ出た水は側溝の蓋を通って流れ落ちるだけみたいだし。
 龍の口から水が出てるけど、立小便をしているようにも見えるし。この水は、どのように扱えばいいのだろうか・・・
 相模川の支流、中津川に建設された宮ヶ瀬ダムは、水道、治水、発電を目的とした多目的ダムです。宮ヶ瀬ダム完成により、神奈川県内の貯水量は約2倍になり、渇水に強く安定した給水体制を確保しています。
型式 重力式コンクリートダム
高さ 156m
目的 治水・上水道・発電
総貯水量 193,000,000立方メートル
有効貯水量 183,000,000立方メートル
計画取水量 1,300,000立方メートル/日
建設期間 1971年(昭和46年)〜2000年(平成12年)
総工事費 約3,993億円

放水試験
写真撮影:2008年04月02日
 大正11年3月。物凄い勢いで水が噴き出しています。
 水源地の水は、浄水場で飲むことのできる水道水になります。最近では安全で美味しい水を求める人が多くなり、浄水場の役割も多様化してきています。横須賀市では1日約32万立方メートルの水道水を供給することができます。
 逸見浄水場は、1921年(大正10年)に海軍によって建設された市内唯一の浄水場です。現在でも当時の浄水池を使用し、緩速ろ過方式で1日9,800立方メートルの水道水を作ることができます。災害時には災害対策拠点となります。
 有馬浄水場は海老名市中河内にある横須賀市の浄水場です。海軍によって建設が開始されましたが、終戦によって横須賀市に移管され、1945年(昭和20年)に完成しました。高度浄水処理で1日73,900立方メートルの水道水を作ることができます。
 小雀浄水場は水需要の増加に対応するため、横須賀市と横浜市が共同で横浜市戸塚区小雀町に建設しました。1日1,009,200立方メートルの水道水を作ることができ、横須賀市には143,300立方メートルが送水されています。
 有馬浄水場の高度浄水処理プロセス 
@着水井 川から取り入れた水は、着水井から浄水場へ入ります
A急速かくはん池 濁りを取りやすくする薬品を加え、勢い良く混ぜ合わせます
Bフロック形成池 薬品の働きにより水中の濁りを大きなフロック(塊)にして、沈殿しやすくします
C横流式沈殿池 フロックを沈殿させて取り除きます
D傾斜板沈殿池 何枚もの傾斜した板の間に水を通し、さらにフロックを取り除きます
E活性炭吸着池 粒状活性炭の層に水を通し、色や匂いなどの不純物を吸着させて取り除きます
F中間ポンプ井 もう一度、ろ過するために二層ろ過池に送ります
G二層ろ過池 活性炭吸着池で処理しきれなかった不純物を、炭の一種のアンスラサイトと砂の二層で取り除きます
H次亜塩素酸ナトリウム注入機 次亜塩素酸ナトリウムで殺菌・消毒して水道水になります

桜並木
写真撮影:2008年04月02日
 走水水源地で1年に1度の名物、桜の散策。2011年度は東日本大震災による度重なる余震があり、津波の可能性もあるので、残念ながら開催されませんでした。
 普段は立ち入り禁止の場所なので出入り口が限られていて、津波警報が出た場合、パニック状態になってしまうかもしれない。それを懸念しての中止だと思います。楽しみにしていた人もたくさんいたと思いますが、計画停電であったり自粛ムードであったりと、花見をする雰囲気じゃなかったのでしょうがないですね。
 ソメイヨシノとオオシマザクラ、約130本が植えられた桜並木です。毎年3月下旬に開放されますが、ペットの持ち込みや、バーベキューなどは禁止されています。
 走水水源地の歴史・施設の紹介・上下水道事業の紹介などのパネル展示、ビデオ上映、クイズラリー、冊子の販売、利き水、膜ろ過設備公開などのイベントも開催されます。
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